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大階段


 皆さん、こんにちは。ヤルタ会談とマルタ会談がややこしい。木賃ふくよし(芸名)です。
 さて。本日は画像とタイトル通りに階段のお話をする訳なのですが、話には階段ならぬ段階がございまして。ええ。
 まずは最初の段階と致しまして、人の善意ってモノについてお話ししたいと思います。

 善意。これはとても大事なものです。
 基本的に悪意は敵と争いを生みますが、善意は、


 敵と争いを生みます。


 (´・Д・)」 いや、一緒やん。

 ええ。一緒です。善意は時に人を助けたり、敵を味方にしたり、争いを終わらせる事があります。しかし、よく言われる「正義の反対は、別の正義である」のと同じく、善意もまた、敵や争いを生むトリガーになる可能性が低くない。

 「好きの反対は、嫌いじゃなくて、無関心」とか言いますが、善意の反対もまた、悪意ではなく無関心なのかも知れません。

 ワタクシは20年ほど夜の繁華街で働いておりましたので、帰り道なんかで、泥酔して、道端で寝ている大学生なんかを見かける事は少なくない。

 飲み過ぎて路肩で座っているぐらいならまだしも、ゴミ袋を枕に爆睡したり、吐いたりして動けなくなっているような酔っ払いを見かける。時にはそれが女性である事も。

 これが一定年齢より上なら自業自得とも言えようが、まだ酒の飲み方がわかってない、自分の酒量もわからぬ年の泥酔は、さすがに見過ごせない。


 見過ごせないが、

 無視しましょう。



 ここで下手に介抱しようものなら、善意が仇になって返ってくる事があります。

 スリか何かだと勘違いされるケースは少なくないんですよ。


 面倒なのは、実は一人じゃなく、水を買いに行っていただけで友人が傍にいた。とか。戻って来て窃盗を疑われて、相当厄介な事になる。
 あるいは、一人だったけど、既に財布をスラれた状態で、こちらが犯人扱いされるとか。
 女性の場合は介抱を装った痴漢だと疑われるケースも。

 だから、善意を執行するには、それなりの覚悟が必要なのです。
 疑われても善行を仇で返されても、それでも後悔しない覚悟がありますか? でなければ、下手な善意など発揮しない方が身のためなのである。

 かと言って、酔っ払いを放置も出来ない?


 うん。
 そーゆー場合は、警察に連絡しましょう。
 警察官には迷惑な話かも知れんが、ゲロを喉に詰めて死なれるよりはいい。

 同様に、落し物を見つけても、下手に拾って警察に届けたりせず、放置するか、気になるなら警察に電話。
 下手に財布なんかを拾って、既に中身が盗まれた後だと疑われてややこしい事になりますし、捨てる理由がある「問題」のある物を拾ってトラブルに発展する事もありますから。

 ※問題 暴力団新法で組織を抜けた暴力団員が、持て余して捨てたと思われる銃弾(実弾)とか。


 要するに、下手に関わり合うと碌なことにならない。善意が仇になる事はしばしば。

 そんな訳で本日の本題。階段の話です。そろそろ20年は経つと思うので、時効ってことでボカしつつお話ししましょう。
 ワタクシの知人女性の、仮にUさんとしましょう。Uさんはとあるバー(初めて行った店だとか)に飲みに行きました。
 そこで、失恋したばかりで落ち込んでいるという男性と知り合います。
 Uさんは明るく朗らかで押しが強い性格なので、隣でグチグチ言ってる男性が辛気臭かったため、

 「元気出しなよ。女なんて山ほどいるって」


 と励ましたそうな。
 まあ、それで特に男性が持ち直した訳でもなかったが、関わった以上、放置して帰るのも悪いかと思い、その男性の失恋話と今後の展望ってのを酒の肴にしつつ、結構な酒量を摂取したらしい。

 で。その日はそれで特に何もなかったのだが、

 次の日から、
 毎日何度もかかってくる
 イタズラ電話。


 基本は無言らしいが、とにかく日に何度もかかってくる。ハッキリ言うと、そのイタズラ電話の犯人がバーで会った男性かどうかはわからない。ただ、タイミングがそれっぽいというだけである。電話番号を交換したかどうかもイマイチ覚えていない。
 ワタクシが最初に話を聞いたのは、この時点だ。「不用意な善意は発揮しないように」と可能な限り電話は電源オフと着信拒否を活用しましょうとアドバイスした覚えがある。

 え? 着信拒否で全解決?


 いいえ。当時はまだ公衆電話があちこちに存在していたのです。
 そんな訳でその日は、報せを受け、アドバイスしたぐらいでしたが、ワタクシが預かり知らぬところで、事態は急転直下していた模様。

 Uさんが、知人男性Kさんと飲んでいる時、巻き込まれている事態を説明。話を聞いたKさん、「俺が電話に出て一括してやろうか?」と提案。


 言ってる傍から、鳴る電話。


 電話に出るKさん、開口一番に、


 「誰じゃお前! 気色の悪い事すんなボケ!

 ガッタガタに言わせたろか!? あァ!?」


 と怒鳴りつける。


 その日以来、イタズラ電話は止まった。

 それでUさんは安心し、その週末に母親と京都駅まで買物に出掛けました。
 京都駅と言えば、吹き抜けの大階段が有名な場所です。20年以上前の話なので、それこそ、駅ビルが改装されたばかり、話題の大階段にも数多くの来客が。

 Uさんと母親も、買い物を済ませ、大階段を観に行きました。

 その時です。

 Uさんは誰かに背中を強く押され、

 吹き抜けの大階段を何メートルも転げ落ちたのです。
 幸い、転落するUさんが他の誰かを巻き込む事はありませんでした。また、大きな怪我は、Uさんは歯を一本折っただけで済みましたし、その歯も周囲の人が懸命に探してくれたお陰で発見され、すぐに来た救急車で病院に運ばれ、歯も一応くっついたらしい。他は擦り傷や打ち身だけで済んだそうです。

 大怪我こそはなかったものの、救急車で病院ですから、もう大パニック。

 とりあえず一段落した頃、Uさんの電話が鳴りました。

 まさか、と思って電話に出ると、


 「今日は大変やったな。

 後ろには気を付けな」



 という男性の声が聞こえた。



 ってコレじゃ、階段じゃなくて


 怪談 (´・Д・)」ですよね。



 ちなみに、虚実ないまぜですが、実話。なお、話の流れで色々削ってるけど、この話の流れだと余計な事しかしてないように思えるKさん、実は色々大活躍で、知人男性から彼氏に昇格、後に旦那さんになった、といういい話もあったりする。


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(´・Д・)」 文字を書いて生きていく事が、子供の頃からの夢でした。 コロナの影響で自分の店を失う事になり、妙な形で、今更になって文字を飯の種の足しにするとは思いませんでしたが、応援よろしくお願いします。