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人がうわさ話を好む理由

人は、うわさ話や評判についてよく話します。霊長類学者のダンバーは、大学の学食や病院の待合室など人が集まる場所の自然な会話を分析し、会話のほとんどが「今ここにいない誰か」についてのゴシップであることを示しました。(狩猟採集民の社会でもゴシップはとても熱心に行われたのです。)

ダンバーは、ヒトは「今ここにいない誰か」についてのうわさ話をすることで互いのきずなや連帯感を強めていると主張します(サルの群れの毛づくろいの代わりです)。

ゴシップなどの評判メカニズムは、どの相手とどう付き合うべきかをめぐる「対人マーケット」において、重要な選別の機能を果たしているのです。つまり、人はあの人は信用できる(できない)というウワサから付き合う相手をえり分けるのです。

近所のおばちゃんたちの会話、ワイドショーやTwitterで、自分の生活と直接関わりのない芸能人の不祥事で盛り上がるのも、以上の理由で説明できますね。すなわち、「あの俳優、やっちゃったらしいわよ」という話題を共有することで、連帯感を強めているのです。

思考の材料

参考文献

亀田達也『モラルの起源――実験社会科学からの問い』、岩波新書、2017年、82-84頁参照。

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