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脳の仕組みを知ろう! 神経細胞(ニューロン)を解説する

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1. 脳について知ってますか?

本記事では、脳を組織している神経細胞(ニューロン)について解説していきたいと思います。

私たちが心や意識と呼ぶものとに深い関係があることは常識でしょう。けれど、脳がどのような仕組みなのかということはあまり知られていません。よく、テレビや書店では「脳にいい〇〇」みたいなフレーズを見かけますが、ほんとでしょうか。

僕たちパンピー(一般人)は、脳が大事というのは知っているけど、脳の仕組みについてはほとんど知りません。

大学で学ばない限り、学校で詳しく教わることがないというのが最大の理由でしょう。

本記事の目的は、最新の脳科学研究から、脳がどのような仕組みで組織されているかを提示することです。

先に結論を述べると、脳はニューロン(神経細胞)のネットワークとして機能しているのです。

2. 神経細胞の構造と機能

脳には、神経細胞(ニューロン)グリア細胞があります。脳の主役は神経細胞であり、グリア細胞は神経細胞の活動を補助するサポート役です。

具体的に言うと、グリア細胞は神経細胞に栄養を供給したり、正常に働くなった神経細胞を除去したりしています。

脳は 1000 憶ものニューロン(神経細胞)からなる巨大なシステムです。神経系で最も重要な細胞であるニューロンとは一体何なのでしょうか

本章では、ニューロンの構造と機能について説明したいと思っています。 以下の図1をご覧ください(カールソン、2013、31頁)。

多極性ニューロンの主要成分

ほとんどのニューロンは、図 1 に示されているような細胞体、樹状突起、軸索、終末ボタンという4つの構造を持っています。

細胞体(soma)の中には、核や細胞の生存過程にかかわる装置があります。

樹状突起(dendrite)は樹の枝に非常によく似た形をしており(ギリシャ語で dendron は樹を意味する)、細胞本体から樹のように広がった枝を何本も出して、他のニューロンからの信号をここで受け取ります。1つのニューロンが受け取る信号は平均して数千、多いものでは 1 万にもなり、樹状突起の数に対応します。

軸索 (axon) は長くて細い管で髄鞘(myelin sheath)に覆われています。軸索は、細胞体から終末ボタン(terminal button)へ情報を運びます。

軸索が運ぶ基本的な情報は、活動電位(action potential)と呼ばれます。つまり、1つの神経細胞の中では、情報は電気信号で伝えられるのです。

活動電位が軸索を伝わって終末ボタンに到達すると、終末ボタンは神経伝達物質(neurotransmitter)という化学物質を分泌します。

なぜ電気信号でないかというと、終末ボタンと他のニューロンの樹状突起や細胞体の膜との間には隙間が空いているからです。この隙間を、電気信号は越えることができないのです。

この、他の神経細胞との接合部を、シナプス(synapse)と呼びます。(下図は、甘利、2016、34頁参照。)

ニューロンのつなぎ目のシナプス

神経細胞(ニューロン)が情報を伝達するか否かは電位が上がり興奮しているか、すなわちニューロンが発火(fire)しているかにかかっています。

脳の情報は、発火したかしないかという 1か 0 のデジタル情報として処理されているのです。ただ一方で、 1 秒間に何回発火するかという、発火率を用いたアナログ量とみることもできます。 

まとめます。

脳の情報伝達は、ニューロンの膜電位(電気信号)が閾値を超えて発火し、シナプスにおいて神経伝達物質という化学物質が放出されるという流れで行われています

つまり、細胞内で電気信号だったものが、細胞間では化学信号に変わり、また次の細胞で電気信号に変わるということが起こっているのです。

以上のような仕組みで、1000億個以上の細胞が、それぞれ数個から数万個の神経細胞とつながって情報伝達しているのです。エグいですね。

3. ここにも進化論が!!

脳は、なぜ今のような仕組みになっているのでしょうか。神様が創造したのでしょうか。偶然にしては素晴らしく出来すぎです。

自然科学的に(この世に存在する物質を基準にして)考えれば、脳は進化の産物だと言えます。僕たちの脳は、38億年の生命進化の長い歴史を経て出現し、巨大化し、作り出されたものなのです。まーた進化論ですよ。

いまの僕たちって、不思議な状態ですよね。脳が、脳について考えるという状態です。

本記事では、脳の仕組みが神経細胞のネットワークだということを示しました。ちょっとマジメな記事でしたね~。

次回は、この神経細胞がどのように結びついているのかを解説します。その後、昨今のAIブームにも密接に関わっているコネクショニズムを紹介していこうと思っています。


思考の材料

参考文献

甘利俊一(2016)『脳・心・人工知能』、講談社ブルーバックス

カールソン(2013)『第4版 カールソン神経科学テキスト』泰羅雅登・中村克樹監訳、丸善出版

黒柳奨(2003)「ニューラルネットワーク/コネクショニズムとは何か」、1-7頁、戸田山和久・服部裕幸・柴田正良・美濃正編『心の科学と哲学』、昭和堂

蔵元由紀(2009)「総説 自己組織化の科学に向けて」、5-7頁、国武豊喜監修『自己組織化ハンドブック』、エヌ・ティー・エス

合田裕紀子(2016)「ニューロンをつなぐ情報伝達」、93-125頁、理化学研究所 脳科学総合研究センター編『つながる脳科学』、講談社ブルーバックス

櫻井武(2018)『「こころ」はいかにして生まれるのか』、講談社ブルーバックス

ダマシオ(2010)『デカルトの誤り』田中三彦訳、ちくま学芸文庫

チャーチランド(1998)『認知哲学』信原幸弘・宮島昭二訳、産業図書

都甲潔・江崎秀・林健司・上田哲男・西澤松彦(2009)『自己組織化とは何か 第2版』、講談社ブルーバックス

利根川進(2016)「記憶をつなげる脳」、17-57頁、理化学研究所 脳科学総合研究センター編『つながる脳科学』、講談社ブルーバックス

信原幸弘(2017)「コネクショニズム」、232-235頁、信原幸弘編『ワードマップ 心の哲学』、新曜社

ベアー・コノーズ・パラディ―ソ(2007)『神経科学:脳の探究』加藤宏司・後藤薫・藤井聡・山崎良彦監訳、西村書店

その他

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