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うぇいの哲学

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哲学みがある記事のまとめ
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#大学生

言葉が過剰な時代に、どのように言葉を紡いでいくか

本記事は、僕のnote初期に出した記事のアップデート版になります! 論文として仕上げました😁 1. 言葉と人間の新しい関係 言葉と人間は、相互にその存在を支え合う関係にある。すなわち、言葉があるから私たちは現在のような生活が営める一方で、人間が存在し言葉に関わらなければ言葉は存在しないという関係である(1) 。  ところで、言葉と人間の関係は、従来の関係とは少し変わったものになってきていると言える。というのも、その関係がインターネットの影響を大きく受けているからだ。すなわ

「詩」としての哲学——理性ではなく「想像力」重視の哲学

「哲学って、難しいことをゴチャゴチャ言ってるだけじゃないの?」と思っている方もいるかもしれません。まぁ正直そういう側面もあります。「真理探究」の学(Wissenschaft)としての哲学(Philosophie)においては、かなり込み入った議論が行われているからです。 ただ、そのような自分の意思には関係なく定まった対象(例えば客観的真理)を把握しようとする哲学以外にも、哲学の活動領域は拡げられるはずだと僕は思うのです。 本記事は、冨田恭彦『詩としての哲学』を頼りに、「可能

生きること、死ぬこと、応えること

昨日、バイトの同期の一人が亡くなったことを知った。死因は、不整脈による心停止であるらしい。突然の死だ。 彼とは知り合って2年以上経つが、雑談をするようになったのはつい最近のことだ。というのも、彼は深夜で僕は早朝のシフトであり同じ時間に一緒に働くことはほとんどなく、事務的に仕事を引き継ぐことが多かったからである。 1か月ほど前になってようやく、砕けた話をするようになった――そんな矢先の出来事だ。 現代における「信仰」僕を含めて多くの現代人は、「明日以降もしばらく生き続ける

「とりあえずビール!」を哲学する。また、ドイツビールのおいしさを回顧する。

ビール(Bier)が苦手な若者が最近増えてきているらしい。僕は飲み会で「とりあえずビール!」と頼む人間なのだが、他人も「とりあえず」なのかはきちんとヒアリングする必要がある。 ここから大きく2つの事柄が取り出せるだろう。1つ目は、昔(?)の「最初は絶対にビールを頼む」という暗黙の常識が常識でなくなったということ。2つ目は、自分がビールを好んでいるからといって相手がビールを好んでいるわけではないので、そのことを配慮すべきだということだ。その配慮が新たに常識となりつつある。

國分功一郎『暇と退屈の倫理学』要約 YouTube動画原稿①

本記事では、YouTubeの原稿を公開します。 「暇」と「退屈」とどのように向き合うか?どーも、うぇいです。突然ですが、みなさん、暇な時間はどのように過ごしていますか? 例えば、YouTube、Twitter、インスタなどでしょうか。もしかしたらこの動画も、暇つぶしのために見ている人もいるかもしれません。 そもそも「暇」とは、何なのでしょうか。また、僕たちはなぜ「退屈」するのでしょうか? 今回は、國分功一郎さんが書いた『暇と退屈の倫理学』を要約することで、「暇」と「退屈

言葉が過剰な時代に、どのように言葉を紡いでいくか

1. 話し言葉と書き言葉人間の生活と言葉は不可分の関係にあるけど、従来の関係とは少し変わった付き合い方になってきているのではないかと思うんです。 いま人間と言葉は「新しい関係」にあると言える。なぜなら、書き言葉が話し言葉の影響を強く受けるようになっているからです。 インターネットの存在が大きいと思うのですが、この僕のnoteみたいに「誰かに語りかけている風」の文体の文章に多く触れるようになっていますよね。いまの僕の文体からは、教科書や論文みたいな「お硬い」文体の書き言葉と

この世界に、「この自分」が何を付け加えればよいのだろう ハッピーエンドのその先の生き方を構想する

1. 「たぶん、自分が死んでも淡々と世界は続いていくよね」と思う人に向けて現代日本に生まれてよかったなーってすごく思うんですよね。歴史の教科書を読めばわかるけど「衣食住に困らないで暮らしていくこと」がヒトの最終的な目的だったわけで、そう考えると、まぁ大変だけど労働すればとりあえずは目的達成できるねって状況です。 「じゃあ、僕たちは何のために生きるのだろう?何をして生きていこう?」 昔話って、「こうして、いつまでもいつまでも平和に暮らしましたとさ」みたいなお決まりのフレーズ

日常を愛することはできるか? とりわけ、「明日から人生変わる」みたいな書籍や動画を見ても全く人生が変わらなかった人に向けて

本記事の要約 人生のほとんどの時間が日常生活であると考えると、「人生を変える」ためには「日常」を変えることが必要だとわかります。日常生活は、習慣的な思考や行動によって占められています。もし人生を変えたいのであれば、現在の習慣を、自分が望む別の習慣に少しずつ変えていくのがよいのではないかということを筆者は提案します。(要約終わり) 1. 「日常」というものをどのように過ごすか人生の大半の時間は、様々な雑事に追われながら慌ただしく過ごすうちに消失してしまいます。このように考え

自分がおじいちゃんになった時、孫世代に「おじいちゃんたちの時代ってみんなバカだったんだね」と言われそうなことなんだろう、と考える

今日の記事は、いつもみたいに僕の思想を発信するのではなくて、ちょっと妄想してみようと思います。 いまから数十年後、自分の孫と話しているとしましょう。その時に、「おじいちゃんの時代って大変だったんだね」とか、「おじいちゃんの時代ってみんなバカだったんだね」と言われそうなこと、何かあると思いますか? 僕は、たくさんあると思います。例えば、サラリーマンの労働時間がずっと8×5=40時間(以上)より短くならないとか、年上のほうが絶対的に偉いとか、努力すればなんとかなるとか、そうい

「もう誰も信じられない!」「どんな言葉も信じられない!」と病まないための技術

「あんないい人がこんなひどいことするなんて、もう誰も信じられない😭」、こんな思いを抱く人が少なからずいるように思われます。他者を信じては裏切られ、信じては裏切られということが繰り返されると、他人を信用できなくなってしまう。このように他者に裏切られ続けた人々は、人間嫌い(ミサントローポス)になってしまっているのです。 それでは、この人間嫌いの原因とは何なのでしょうか。 このことについて、古代ギリシアの哲学者プラトンの著作である『パイドン』で描かれるソクラテスおじさんに教えて

脳の仕組みを知ろう! 神経細胞(ニューロン)を解説する

1. 脳について知ってますか?本記事では、脳を組織している神経細胞(ニューロン)について解説していきたいと思います。 私たちが心や意識と呼ぶものと脳に深い関係があることは常識でしょう。けれど、脳がどのような仕組みなのかということはあまり知られていません。よく、テレビや書店では「脳にいい〇〇」みたいなフレーズを見かけますが、ほんとでしょうか。 僕たちパンピー(一般人)は、脳が大事というのは知っているけど、脳の仕組みについてはほとんど知りません。 大学で学ばない限り、学校で

神経細胞と自己組織化 どうやって神経細胞は結びついてるの?

1. 神経細胞の結びつきは変わるどーも、うぇいです。いつもはなるべく1記事完結で読めるように書いているのですが、本記事の内容は脳科学の知識を前提とします。ですから、ぜひ前回の記事を見てから本記事を読んでもらえばと思います。 本記事の目的は、前回の脳神経科学的知見をもとに、神経細胞がどのように結びついているかを説明することです。さらに、今回の内容を踏まえて次回の記事を書こうと思います。 さて、本記事の構成は以下のようになります。第2章では、神経細胞は自己組織化という現象に