[読書体験] 『クリティカル・リーディング入門』で学ぶ、物語の読み方
時こそ今は花は香炉に打ち薫じ、
そこはかとないけはひです。
― 中原中也
時こそ今は水枝さす、こぬれに花のふるふころ。花は薫じて追風に、不断の香の炉に似たり。
― シャルル・ボドレエル「薄暮の曲」(上田敏訳) ※一部改変
静かな長期休暇になった。読書日和だ。いつもと読み方を変えたくて、指南書を手に取っている。作品として物語を鑑賞するのではなく、より客観的に読み、理解するためのテキストだ。
筆者の紙上講義を聴いて、わたしはまず3つのコツを実践してみることにした。
・テキストを何度も読む
・匂う違和感から問いを立てる
・他のテキストと突き合せて、裏をとる
例えば冒頭にあげた中原中也の詩や、上田敏のボードレール訳は、いずれもこの本で紹介されていたものだ。何度か音読してみると、何かがおかしいと、おそらく皆さんも気づくと思う。特に、普段から俳句や短歌に触れていれば、なおさら。
わたしは今、自分の専門分野に生じている混乱を物語として整理し、理解しようと試みている。なぜなら、いわゆる“正統派”とされる理解に沿うだけでは、その“正しさ”を主張するだけでは、問題が解決されてこなかったからだ。
世界を、新しい物語として読んでみたい。
※注 わたしの使用ソフトでは変換困難だった二字、「ふるふ」「炉」を改変している。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?