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ハンドブック「なにそれ!?介助付き就労」ができました!

重度身体障がい当事者が働けない現状を変えたい…!そんな思いから、当事者や企業のリアルな声、通勤や勤務中の介助を付ける公的制度、そして一歩踏み出すヒントを詰め込んだハンドブック「なにそれ!?介助付き就労」ができました。

この記事では、ハンドブックの内容を少しお見せしながら、私たちの思いを紹介します。

ハンドブック「なにそれ!? 介助付き就労」の全文PDFを当団体ホームページで無料公開しています。ぜひご覧ください。ご自身で印刷もできます。

さっそく巻頭言を紹介します

重度身体障がいのある人って、どんな人??

さて、そもそも、重度身体障がいのある人と聞いて、ぱっと姿が思い浮かばない人もいるかもしれません。

障害者手帳や福祉サービスを受けるための細かな定義は脇に置くとして、このハンドブックではおおまかに、肢体不自由により日常生活動作(ADL)が一人では不可能、もしくは長時間かかり、著しく体力を消耗する人のこと、を念頭に置いています。

事故でケガを負った、生まれつき難病があるなど理由はさまざまです。人工呼吸器を着けている、言語障がいがあるなど、身体の状況も人によって違います。同じ人でも加齢で状況は変わるし、天気や気温、心のあり方で身体の動きが変わることもあります。もちろん、生まれた家庭の事情も違えば、子どもの頃に特別支援学校(養護学校)に通い寄宿舎や病院にいた人も、実家から普通校に通った人もいます。

介助付き就労って??

そして、重度身体障がいのある人に必要な「介助付き就労」とは何でしょうか?「介助付き就労」という法律用語や行政用語があるわけではなく、これは私たちの造語です。

生活動作(食事、トイレなど)や業務中の動作(PC操作、読み上げなど)に介助をつけながら働くこと全般を指しています。勤務中や通勤に必要な介助のために公的な制度を組み合わせるのか、家族や友人、同僚の手を借りるのか。通勤か在宅か。正社員かアルバイトか契約社員か。起業するのか。フルタイムか短時間か。企業勤めか公務員か、NPOやNGOなどの組織か。どこでどんな働き方をしているか/したいかは、人によってさまざまです。

障がい者雇用って、よく聞くけれど…??

介助付き就労の現状は複雑です。日本では一定規模以上の事業所であれば障がい者雇用義務があるので、「障がい者雇用」はよく聞くフレーズではあります。ただ、「仕事中に介助を付ける」タイプの雇用は、ケースがかなり少ないのです。

通勤や勤務中に介助者を付けられる公的な制度はあるにはあるのですが、それがすべての自治体で運用されているわけではなかったり、雇用側の手続きが煩雑なため敬遠されてしまったり。「重度訪問介護」という公的な福祉制度がそのまま仕事にも使えれば便利なのですが、国はなかなかその方向に向かいません。現在働いている当事者も無理をしていたり不安を抱えたりしています。そこで、現状と目指す未来を図で表現してみました!

重度身体障がい者の就労が難しい背景には、日本の公的な福祉制度の課題、雇用する企業などの敬遠、そして働くロールモデルが身近にいないことなど、いくつもの壁があります。こういった課題は、わたしたち当事者だけでは解決できません。だから、介助付き就労ができる社会を作るために、「働きたい」と思った当事者が次のアクションを起こすためにこのハンドブックを参考にしてもらうだけでなく、企業の方々、学校の先生、支援者など多くの人に手にとってもらい、何ができるか一緒に考えてほしい。「障がい者だから在宅ワークでいいだろう」ではなく、「働きたい」と思った当事者が、通勤も自営業も含め、さまざまな選択肢から仕事を見つけられる社会にしていきたい。それが、ハンドブックを制作した当事者、介助者メンバーの思いです。

目次

介助付き就労の「今」を知ろう
重度身体障がい者の一般就労 就労制度の歴史
わたしたちの「はたらく」  今と目指す未来
「はたらく」にまつわるみんなの経験
自分を支えるものを増やそう!
介助付き就労への4つの課題

いろいろな働き方を知ろう
上野美佐穂さん(イルカ保険サービス合同会社)
登り口倫子さん(日本語教師)
川端舞さん(フリーライター)
Aさん(地方公務員)
國光良さん(大学職員)
日髙美咲さん(㈱エバーライフ)
介助が必要な仲間を迎えてわかったこと(㈱エバーライフ)
障がいと健常、ふたつの立場から見るライターという職業 対談:川端舞×篠田恵

もっと深く掘り下げてみる
教えて!藤岡弁護士! なぜ重度訪問介護は就労時に使えないの?
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「はたらく」に向けて動き出してみる
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就職活動につかえる自分説明書をつくろう! ~新卒学生就職活動編~

このハンドブックは、トヨタ財団 2021 年度研究助成プログラムの助成を受けて制作したものです。全文PDFを当団体ホームページで無料公開しています。ぜひご覧ください。ご自身で印刷もできます。

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