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大人の読書感想文:「能力」の生きづらさをほぐす

この本が届いたのが夕方6時、そこから寝食忘れて(いや、寝る時間じゃないけど)読みふけ、時間としては3時間、がっつり読んじゃいました。

こんなに一冊の本を超ハイスピードで読んで、かつ、早くアウトプットしないと自分の中の想いが発酵ではなく、腐敗しそうな気になったんで、最速の読書感想文をアップしてしまいます。

毎度冒頭に書いていますが、あくまで読書感想文です。書評とか、要約じゃありません。(人様の書いたものを評するなんて、私にはできる資格はありゃしません。)
なので、個人的な思いがいっぱい詰まっているので、ご了承ください。


この本を知ったきっかけは、「スナックひきだし」という昼スナックを運営している木下紫乃さんのtweet。

自分ではツイ廃には程遠いようなチェック頻度なんで、このtweetが目に留まった。という事が自体が運命だったのかもしれません。

最初は山口周さんの帯のコメント「俺にケンカ売ってるの?君、いい度胸してるな」の部分に惹かれて買っちゃいましたが、そんな緩い本ではなく、実際に読んでみたら、かなり硬派な本でした。


本の構成としては、子供と親の会話形式で、軽妙なトーク形式で読み進められるのですが、中身は結構ハードでした。(第9章まで読み込むと、斜め45度の方向からのハードな現実を突き付けてくるので、ハートへの衝撃がキツめです。注意ください。)

前半のハードな部分は、「人を評価する」という闇について語ってます。特に組織開発とか、人材開発などと称する業界へのアンチテーゼと言っても過言でもないでしょう。

筆者の勅使河原さんご自身も組織開発コンサルを経営しつつも、その業界、というか「人を人が判断する」というビジネスモデル自体に必要性を感じながらも、このままでは組織開発コンサルという業界自体が、組織をダメにする可能性がある。と思って、問題提起をしているのではないか?と、私は感じました。


本来、自分と同じ他人など存在しないにも関わらず、我々は性格診断や脳力診断の類を使って、「私は〇〇タイプだから」とか「あなたは△△タイプだから」などと、勝手にカテゴライズしてないでしょうか?

特に年末あたりになると、「あなたの起業家診断テスト」とか「マネジメントタイプ分類」なんてwebテストとかやってませんか?これも一つの「自分カテゴライズ」の罠のような気がしてます。

確かに、こういったテストは「自分と他人の価値観は違う」という自己認識を進める上では一定の効果はあるでしょう。ただ、それは本来あるべき「私」という人間を何らかの型に押しはめる危険性も孕んでいると思います。

本来、自分は自分、他人は他人。そこに優劣なんてなく、ましては「この型の人間は仕事ができる」なんてことは無いはず。それなのに、組織開発や人材開発の業界では、「御社の業績を上げるためには〇〇タイプの人材が不可欠!」なんて言っちゃうんですよね。。。

でもね、個人は決してカテゴライズできるもんじゃない。そのコンサルさんのいう「〇〇タイプ」という人間が、その評価基準だけで決められるのだろうか?私はそれは違うんじゃないか?と肌で感じています。

つまり、二人以上の人が集まった時点で、組織であり、個人という他人の集合です。そんな一方向の見方だけで、ジャストフィットするチームなんて構成できるのか?それって、個々で事情が異なるので、あくまで〇〇タイプというのは傾向、確立を上げるためのツールの一つでしかないはずです。

確率を上げるためのツール、そう、下衆なたとえにすれば、競馬新聞や場外馬券場にいる予想師みたいなモンです。(そういえば、最近みないな、予想師みたいなオッちゃん、、、)

で、もっと言ってしまうと、そのチームが当たるか、当たらないかなんて運でしかない。もちろん血筋や得意な距離、馬場の状態など、様々な解析できる要因はあるが、詰まるところは確率論だろう。


かなり熱く語ってしまったが、組織の中で「できる」とか「できない」という曖昧な指標は、結局のところ結果論でしかないし、どういうフェーズの組織であり、どういうスキルやセンスがマッチするか?という組み合わせ論でしかない。

最近では、この「アンマッチング」な状況に対して、「リスキリング」とか「学びなおし」という話題で、人自身の所属を異動させるのではなく、人の中身(というか性格?)を入れ替えよう、としている組織が多いのではないか?と感じてしまっている。

私個人としては、その「アンマッチング」な組織にとどまり続けるより、自分自身の性格に合わせて、自由に組織を飛び出して、ぴったりとはまる居場所を探した方がよいのでは?と思うのです。

つまり、会社が与える「リスキリング」とか「学びなおし」という流れに身を任せるのでなく、自分自身が何をしたいか?どうしたいのか?そして、自分自身の「好き」の方向性にあう職場はどこなのか?を探し続けられる方が人間らしい生き方なのではないかと。。。


この本、会社に勤めている人は全員読んだ方が良いのでは?と思います。多分、会社の中にいると、「自分自身をわざと見失う事で、精神のバランスをとっている人」が多いと思うんです。かくいう私も社内では管理職という立場もあり、自分を客観視しすぎて、自分自身を一つのコマとして戦略・戦術を考えることが多々あります。

そんな自分をケアしていない状態のとき、言葉巧みに取り入ってくるスピリチュアル関連の人、占い的な人、マルチ勧誘な人などなど、、、そんな人たちの餌食にかかる可能性が高くなります。

私自身は「鋼メンタル」だと自認しているつもりですが、いざ、勅使河原さんのような状態になればどうなるか分かりません。(この辺の話は9章の内容のネタバレになるので書きません)

でも、組織の中で働く人に、「分かったつもりの自分」を客観視するために、是非とも読んで欲しいです。そして、他人の作った枠組みで悩むことなく、自分にもっと正直に生きていける人が増えることを期待します。

組織は人があって成り立ちますが、人は組織がなくても生きていけます。どちらが重要なのかは自明の理である。という事を忘れないで欲しいと願うばかりです。


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