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脱炭素社会の水素コストに思うところ

たまに、ふと疑問に思うことが出てきます。その疑問は大抵曖昧な言葉なので、具体化するためにネットで調べて、自分の疑問が無知からくるものなのか、それともちゃんとした疑問になっているのか調べたりしています。

この記事は、そんな疑問を調べた結果の忘備録です。ですので、意見というものもなく、結論もない、ただの思考の記録です。

最近、SDGsやそれに伴うカーボンニュートラルが話題になっています。カーボンニュートラル、脱炭素の代表格が再生エネルギーと水素です。水素の値段ってどのくらいなんだろうなと思い、「水素 価格 スタンド」で調べてみると、大体1000円~1200円/kgとのこと。体積に換算すると、大体100円/Nm3くらいでした。

水素がメジャーでないことが明らかな、今の世の中です。きっとこの価格はまだ高いに違いありません。いくらが目標なのかな?と思い、「水素 価格 目標」で調べると、30円/Nm3の文字が。でもよく文章を読むと輸入時の目標と書いてありました。プラント引き渡しコスト、と呼ばれているようです。また、その文書に「この価格は水素スタンドの1/3以下」とあります。とすると、さっき計算した100円/Nm3に対して、30×3=90円/Nm3なので、これに国内物流コストを考えれば整合性がとれそうです。ふと、物流コストはそうすると10~20円/Nm3になるから高い感じがする、と思いました。「水素 物流コスト」で調べると、「カーボンフリー水素の経済性とCO2排出量(Vol.1)」というのが検索できました。ざっくり100kmの輸送で5円/MJだそうです。MJってなんだよ!メガジュールかよ!と思って、「メガジュール 水素」で調べると、「燃料定数の設定方法」というものが。ありました!

水素(気体) 
kg/Nm3 0.0899 
MJ/Nm3 10.8 

多分、いろいろ考慮しなくてはこの表を真に利用できなそうでしたが、とりあえず見つけた数字で単位をそろえて計算すると、5×10.8=54円/Nm3!予想よりもかなり高額です。物流コストが、現在の水素の価格の半分を占めているではないですか!とすると、水素の利用には製造と物流の二つの側面が重要そうです。計算ででた10~20円/Nm3のギャップは、本当に国内輸送分か、適当な計算をしていたので誤差が生じたのでしょう。水素のコストを解説する資料に対しては、コスト構造を意識して読んでいった方がよさそです。

思考が脱線しましたが、ところでこの目標コストである30円/Nm3ってどやって設定されたのか?ということが知りたくなりました。ちょうど、検索結果に「水素・燃料電池戦略ロードマップ」というものが引っ掛かってきたので、PDFの資料で「目標」という検索をかけて拾い読みしたところ、ありました!今のLNGの実勢価格と同じエネルギーを水素で賄うとしたら13.3円/Nm3だそうです。

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なるほど、CO2削減の価値として7~10円/Nm3程度上乗せして、将来20円/Nm3、近い将来30円/m3なんですね。ライバルはLNG!

ところで、これで水素と二酸化炭素の関係を経済から数字で示せそうです。CO2が44ドル/t-CO2とすると、水素にCO2削減価値として上乗せされているのが7~10円/Nm3コストですので、44USD=4800円くらいとすると、 4800/10 = 480 Nm3/t-CO2 が算出されます。水素を480Nm3使うと、1tの二酸化炭素が削減できる見込みなので、その価値があるということですね。水素が再生エネルギー由来である前提ではない計算になっている?いろいろな由来の水素の平均値?と疑問もありますが、水素を使うことが脱炭素につながる量的なイメージは、これが本当?を基準にして他の資料を読むことにします。480Nm3と1tだと覚えずらいので、水素を50kgつかうと二酸化炭素が1t減る、という感覚にしておこうと思います。本当かね。。。

もし、30円/Nm3が実現したら、水素ステーションで300円/kgくらいでしょうか。でも輸送コストが現在50円/Nm3あるからな。。。相当劇的な何かが必要です。ともかくは、水素ステーションでの水素の販売価格が500円/kgに近づいてきたら、「ああ、どこかでイノベーションが起こったんだな」と思えるのかもしれません。


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