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【詩】きこえる

よこ…
……
よこたわ
よこたわる
よこたわる
よこたわ
たわって
たわって
たわってる
いる
そら
そらが
そらがみえ
そらがみえる
みえ

みえる
くら
くらい
くらいところ
せま
せまい
せまいくらい
せまいくらいところ
むこ
むこう
むこうに
そらがみえる
みえる
めを
めをほそめ
ほそめたみたい
みたいに
そらが
そらが
そら
そら
そら
そら…
……
……
みえてる
とおく
とてもとおく
とおくとおくに
そらがみえる

き…
きこえ
きこえる
こえ
こえ
こえ
こえ
こえが
なくこえ
とおく
どこかとおく
とおくとおく
とおくでなくこえ
おとこのこ
おとこのこ
おとこのこのなくこえ
きこ
きこえ
きこえる
きこえてる
きこえてる
きこえてる
きこえてる
きこえている
きこえている


聞こえた


聞こえた



聞こえた



遠くで

泣く声が聞こえる

狭くて暗い場所
背中と肩には冷たい水とコンクリートの感覚
押さえられて動けないわたしに
空が
目を細めたときみたいに
すこしだけの幅で遠くに見えた

さっきから聞こえる
泣いている声

知らない子
知らない子が泣いている
小さな子
小さな子が泣いている
男の子
男の子が泣いている

泣く声は
どんどんどんどん
大きく
激しく
争いの声を覆いつくすように
聞こえてきて
声にあわせるように
わたしの体も震えはじめて
どんどん震えが大きくなって
なって
なって
なって
空は霞んで
どんどんどんどん
白くなって
見えなくなって
何も見えなくなって


そして気付いた


泣く声は

わたしから出ていた


道路の冷たい側溝に横たわるわたしの口から


ただ

漏れ出ていた





こんなに悲しいことってある?