【1分大学講義】パーソン論 (パロディ・アジアコミュニティ論:1)
二時間弱あった講義の終盤、教授はぼくたちにこんな質問をしてきました。
教授「脳死状態の人と生きている豚、どちらが価値があると思う?」
おいおい先生、とぼくは思いましたよ。何てあからさまな質問をするんだと。
そんな聞き方をされて「脳死の人より豚の方が大切です!!」と言える生徒なんているわけがないだろ!もっとこっちが悩めるような質問をしてよ!
そう思いました。
でもね、教授の答えは意外なものだったんです。
教授「この質問はオーストラリアの哲学者、ピーターシンガーが考えたものなんだけどね。彼は生きている豚の方が脳死状態の人間よりも大切であると結論付けたんだよ」
ぼく「え~!!マジかよ!!!」
これを聞いた時は結構ビックリしました。何て言えばいいんだろう、こうゆう「命の優先順位」系の問題に対して、「動物>人間」だと結論付けている主張はほとんど見ないじゃないですか。
でもピーターシンガーは「生きている豚>脳死状態の人」と考えている。
何だかPTAから苦情が来そうというか、バイキングでたたかれそうというか、そんな「え?そんなこと言って大丈夫?」感をすごく感じました。
もちろん彼の主張にはしっかりとした理由があります。
まず、彼が重要視したのは人間には二つの大事な要素があるということです。
一つ目は人間の植物的な生。
モノを食べたり、呼吸をしたり、ウンチをしたりなどなど、生命体として自然と行われるようなこと、まずそれが大切だと彼は言いました。
もう一つは人間の意識的な生です。
今、ぼくたちは意識がありますよね。「俺」「私」をしっかり認識していて、物事を考えることが出来る。それが人間の意識的な生です。
①植物的な生 ②意識的な生
そしてね、ここからが重要なんですが、ピーターシンガーを始めとした西洋的な考え方だと「この二つのどちらかが欠けると人間ではねぇ!!」とみなす傾向があるのです。
植物状態の人間は②の意識的な生が無いので、ある意味で「人間」としての大切なものがかけているのだそう。
うぅーーん。中々すっとハラ落ちするような考え方ではないですよね。
でも、この「生命倫理」という問題は現代のコロナの中、非常に重要であることは間違いないので、この先もっと調べてみたいと思いました。
ピーターシンガー。この名前しっかり憶えておきます。
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