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湯むきトマト

トマトをお湯に入れると、皮がペロンと剥ける。
その割に内側の実はしっかりしていて、ジューシーさも健在だ。

時折、この湯むきトマトを食べたくなって仕方がなくなる。
それもミニトマトじゃなくて、大きいトマトの。

大きいトマトを料理に使う時、さあ作るぞ、と腕まくりをしてから台所に立つ。
何でかちょっと気を張るのだ。湯むきトマトは尚のこと。

鍋にたっぷりの水を張って、強火で一気に煮立たせる。
その間に、トマトの表面に包丁を滑らせて十字の切れ目を入れたなら、1つずつ静かに湯に沈める。

あっという間に皮がめくれ始めてくるので、脇にキンキンの冷水を用意しておく。
そこへまた1つ1つ静かにとって沈めたら、指で優しく皮を剥がしていく。
そうしたら丸っこい湯むきトマトが出来上がる。

かぶりつきたくなる気持ちを抑えて、もう少し手を加えておかずの一品に。
本当はそのままでもいいのだけど、折角ここまで来たからにはと、その先も何だか手をかけたくなってしまうのである。 
可愛らしくそこにいる、トマトが持つ魅力かな。

ボウルに張った冷たい水の中で手を動かしながら、今日はこの子をどんな風に仕上げようかとトマトの行く末を想像するのも心をくすぐり、湯むきトマトを飽くことのないものにするひとときなのである。


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