3月7日(土)暮らして行こう、何もいいことがなかったこの街で(3年前の退職エントリ)

【読みもの】

言い訳ならいくらでもある。でも本当は言い訳じゃない。それはれっきとした理由なのだ、本人にとっては。

文章が下手くそになってしまった。もう昔のようには書けない。豊かな描写なんてできるはずもない。

眼の前に情景が広がる文章を書こうとすると、体験が蘇る。

人は簡単に言う。向き合おうとか、考えようとか。だけど向き合ったって過去は過去のままだし、考えたって変えようのない、どうしようもないことばかりだ。

もう、病気が苦しすぎる。何も考えたくなくて、感じたくなくて、悲しいことの数々を乗り越えるために、私は感情がしんでしまった。これは心の防御反応であり、間違ったことではないはずなのだ。

だけど、しんだ感情では良い文章は書けない。それを知っているから悔しくて、腹立たしくて、やるせない。悔しさにも慣れて、悲しいとか、つらいとか、いちいち感じたりもしない。

もうあんまり泣かなくなった私に、一つの曲が降りてきて、誘われるように再生ボタンを押した。すべてを認めてくれるような歌詞に、久しぶりに涙がぽろぽろ出てきて、その言葉聞きたさに何度も何度も再生を繰り返した。

悩み続けた日々が
まるで嘘のように
忘れられる時が来るまで
心を閉じたまま
暮らして行こう
遠くで汽笛を聞きながら
何もいいことがなかったこの街で

心を閉じたままでもいい。
やけに開かなくてもいい。
ただ今、この日々を生きていこう。

この投稿を、約3年前に書いた退職エントリーで終わります。まだ感情がしんでなかった頃、まだ多感であれた頃。今はもうこんな文章は書けないけど、せめてここで日の目を見てほしい。あの頃の私に。あの頃の私が見つめていたはずの、今の私に。

🌸

職場で迎えた最後の日。
東京に来てから毎日見上げた
ずしんと重たいグレーの外壁も
いよいよお別れ、今日で見納め。

本当にいろんなことがあった。
本当にいろんな人に出会った。

嬉しいこと、
いやなこと、
ありがたかったこと、
助けられたこと、
むかついたこと、
もう無理だって思ったこと、
でも頑張ろうと思ったこと、
いろいろ、いろいろあったけど、
最後にたったひとりでも
心からの「ありがとう」をくれたから
ここまで這ってこられたんだと思えた。

大人の社会にはいろんな人がいて、
みんながみんな温かいわけでもなければ、
その場しのぎの乾いた言葉で
見栄えばかりを取り繕う人もいるけれど、
ふたつの目の奥の漆黒が、その向く先が、
本当の気持ちを教えてくれることを肌で感じた。
たったそれだけ、
その体験ひとつができただけでも
十分な儲けもんだ。

生きてるだけで丸儲け。
バカじゃないのと思っていたこの言葉が
いつの頃からだろう、
自分の奥底から
とめどなく湧いてくるようになった。

この半年は
突然訪れた怪我という理不尽や
どうにもならない身体への無力感と
自分が選ばれてしまったことへの怒り、
一人きりの生活、
終わらない痛みとの戦いと
先の見えない絶望感で
ただひたすらに辛くて、
辛くて、辛くて、
死ぬほど辛くて、
なんのために生きているのかも
わからなくなったりしたけど、
その度に、ありとあらゆる優しさに触れて
私はここまでやってこられた。

人は一人じゃないなんて
チープな言葉に聞こえるかもしれないけど
そんなことない。人は一人じゃない。
たった一つでも、
それがどんなに遠くても、
本当があれば、それでいい。

本当の優しさってなんだろうと
毎日のように考える。
本当の優しさってなんだろう?
なんだろう。全然わからない。
どうやって決めるんだろう。
誰が決めるんだろう。
決める権利があるのかも
決めたところで実行できるのかも
もうちっとも、
まったくさっぱりわからない。

多分一生わからないし、
死ぬ時にだって
「いい人生だった」と言えれば
それが個人が到達し得る究極の幸福で、
それ以外のことは
何もわからないんじゃなかろうか。

それでも、わからなくても、
誰かと少しでも
ほんのわずか、少しの時間、
心を通わすことができたなら、
それが一生分の優しさに
つながっていくのかもしれない。

みなさんにいただいた
たくさんの優しさを胸に、心の支えに、
私は毎日をがむしゃらに頑張って、
そしてきっといつか、恩返しをして、
誰よりも人の心に寄り添える、
そんな人間になれたらと、なりたいと、
心の底から思う、
そんなさよならの日、
そして、決意の日です。

こんな私情たっぷりの投稿を
読んでくれている人がいるかわからないけど、
辛いとき、寂しいとき、
もちろん嬉しいときも、
もしも私をふっと思い出すことがあったなら、
頼って下さい。連絡して下さい。
非力でなんにもできないけど、
話を聞くことはできます。頷くことはできます。
一人じゃないことを、
どうかどうか忘れないで下さい。

本当に、本当にありがとう。
この想いが届くよう、
心からの感謝をこめて、この場に刻みます。

私の人生 上京編 第一章
ー完ー


HAPPY LUCKY LOVE SMILE PEACE DREAM !! (アンミカさんが寝る前に唱えている言葉)💞