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インスタ闇ビジネスの世界 「#フォロー・ミー インスタの偽り 」

インスタ闇ビジネスの世界を覗き見してみませんか?あの憧れのインフルエンサーも、本当は裸の大将かもしれない……

「読まれる文章は最初の1行が勝負」だそうなので変な書き出しから始めてみましたが、「インフルエンサー」と「裸の大将」って言葉の組み合わせ的にミスマッチすぎて面白くないですか? そうでもないですか? そうですか……

というわけで(どういうわけだ)、インスタの闇ビジネスを取材したドキュメンタリーを見ました。オランダの公共放送制作の「Follow Me(邦題:#フォロー・ミー インスタの偽り)」という番組です。NHK BS1で放送されていました。

NHKは定期的にこういった海外テレビ局のドキュメンタリーを輸入して放送しています。今はNetflixやAmazonがあるので海外コンテンツに触れるのも容易ではありますが、前述のネット局はコンテンツがサブカルチャーに寄っている気がしています。なので海外のメジャーなテレビ局の番組が見られるのはありがたいです。フラットな視点を保つのに役立ちますね。


■NHKの見逃し配信はこちら(有料/日本語吹き替え)

NHKドキュメンタリー - ドキュランドへようこそ「#フォロー・ミー インスタの偽り」 https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/4471/1418037/

■YouTubeはこちら(オランダ語)

Why fake accounts dominate Instagram - VPRO documentary
https://youtu.be/r5dQO7lV5DQ


詳細は番組本編を見れば分かると思うので省きますが、個人的に衝撃的だった部分を覚書しておきます。


■フォロワー売買闇業者の話

インスタのフォロワーを売っている闇業者が取材に応じていた(顔出しNG)。

・誰でもインターネットからフォロワーを有料で購入できる。意外と安くて、確か1万人あたり35ユーロぐらいだったかと。

・いいねも自由に購入可能。取材した記者が試したところ、通常150から300いいねなのに、数分で1万いいねを獲得できた。

・闇業者では三種類の販売用アカウントを持っている。

①bot
コンピューターがランダムに作成したアカウント。フォローやいいねをするだけで、アカウント名は文字の羅列、投稿もしない。

②クローン
実際に存在する個人ユーザーの情報を無断で複製(クローン)して作られたアカウント。

③個人ユーザーのアカウント(個人情報を抜き取ったもの)

闇業者は有料でのフォロワー販売以外に、無料でのフォロワー提供も行っている。提供を受けたいユーザーは、自分のインスタアカウント名とパスワードを登録する。闇業者はその個人情報を抜き取り、アカウントを自由に操る(これは合意の上なのか無断なのか語られていなかった)。これは私の憶測だけど、売買されるフォロワーの中には発展途上国の子供の個人アカウントなどが存在するようなので、こういう子供たちの個人情報が抜き取られているのではないかと思う。

・闇業者はインフルエンサーの宣伝も行う。Webメディアのライターと繋がっていて、彼らを買収しインフルエンサーの宣伝記事を書かせることがある。buzz feedなど超有名メディアの名前も挙がっていて衝撃だった。

・セレブリティでもフォロワーを買うことがあるらしい。元から200万フォロワーがいるのに、追加で50万フォロワー買ったり。すでに有名なのに何のためなのかわからない…



■体験談(トラベルインフルエンサー)

昔はフォロワーを買ったりしていたが、疲れてやめたというトラベルインフルエンサーが取材に応じていた。彼女が使っていたのは、サービスの登録ユーザー同士で、希望の投稿にいいねをし合うコミュニティ。コミュニティねタイムラインにURLを投稿すると、ユーザーがいいねをしてくれる仕組み。ギブアンドテイクで成り立っているので、もちろん自分もいいねを返す(手動ではなくそういう巡回ツールがあるらしい)。わずか1分でコミュニティのタイムラインには1万件が投稿されていた。


■不正インフルエンサー解析会社

インフルエンサーの不正を暴く解析ツール開発、サービス提供する会社もあるらしい。ブランドや企業などがインフルエンサーにPRを依頼するのはもはやインスタ界の常識だが、そのインフルエンサーが信頼できるのか、不正を行っていないか(いいねやフォロワーを買っていないかなど)、事前に解析会社に調査を依頼する。

解析ツールではインスタ上に存在するすべてのユーザーのフォロワーの種類が分析できる。国、性別、bot であるかどうかなどだったと思う。ちなみにケイティ・ペリー(人気歌手)のフォロワーは20%がbotだった。botだからといって彼女が購入したかどうかは分からないが。


■ロシアの闇

ロシアでは、サービス利用ユーザー同士でインスタにコメントを投稿し合うコミュニティが存在する。主な利用者は個人事業主などで、マーケティングの一環。取材を受けていたのはまつげエクステのサロンオーナー。コミュニティに投稿をシェアすると、他のユーザーからポジティブなコメントをつけてもらえる(「綺麗なまつエク!」「いくらですか?」みたいなもの)。相互に助け合うシステムなので、もちろん彼女も他のユーザーの投稿にコメントをつける。本当は微妙な投稿だと思っていても、ポジティブなコメントをするために嘘をつくこともあるそうだ。

さすがロシアとしか言いようがないけど、コミュニティの設立者は本も出版していて、書店でトークショーのようなものも行っていた。全く悪びれる様子はなく、「ここはロシアですよ?」と言っていたのが印象的だった。怖いよー!!


■ここから個人の感想

私も昔はインスタをファッション誌を見るような感覚で使っていましたが、いつの頃からか、きな臭さを感じるようになりました。どれもこれも作り込まれた投稿ばかりで嘘っぽく見えるようになったし、広告を見ているようで心に響かなくなった。なんでこの人は人気があるんだろうとか、このフォロワー数は一体どこから?と思うこともたくさんあった。

私はインポートファッションが好きなので昔は海外のおしゃれなユーザーをフォローしていましたが、競い合いのような空気を感じて疲れてしまい、フォローも全部外してしまいました。というか単純に「見ず知らずの他人(しかも謎のセレブ)の生活が覗ける」ということに興味がなくなったのかもしれませんが……今は芸人さんや、いかにも一般個人だな〜って感じのアカウントをちょっとだけフォローしている程度です。投稿もしますが、タグを付けると見ず知らずの人が巡回いいねを付けていくので、動画の再生数<いいね数、というおかしな状況が生まれています。

ネットで無料の物が溢れかえってる今、「まあまあのものを無料で見る」より、「本当に面白いものにお金を払う」方が自分に合ってるなあと思うようになりました。もちろん無料でも面白いものはありますが、マーケティングの息がかかりすぎて、今や見つけるのも相当難しくなってきました。時間は資源です。タイムイズマネーだと考えると、自分の貴重な時間を何に費やすのか、考えて行動したいものです。

そういえばファッション誌でもよくありますよね。どこが編集部が作った記事か分からないくらい広告が多い雑誌(大抵めちゃくちゃ分厚くて重い)。それでも雑誌は有料な分、ハイブランドの広告などは美しく見応えもありますが…

インスタの事例をnoteに置き換えて考えてみました。noteでもたまにいますよね。明らかに記事を読んでいないであろうに「スキ」を押してくる人。noteは通知欄にリアクションの日時が分単位で表示されるので、同じ時間にいくつもスキを押されたらすぐにソレとわかります。そしてそういう人たちが順調にフォロワーを増やしてるのも事実だと思います。

最初に大量フォローして、フォロワー(フォロー返し)を増やして、他ユーザーへのスキ連打で自分の投稿への好き返しを増やして、最後に大量フォローをリムーブする。そうすればパッと見「フォロー<<<フォロワー」になり、人気ユーザーへと仲間入りです。実際、そういうやり方で人気ユーザー化した人のことも結構認識しているので、おすすめ欄とかで見かけるとイラッとします。「めっちゃスキ押して来てた人やん!」と思います。

私はそういう人たちのことを正直めちゃくちゃバカにしていますが、反面、彼らの生き抜く力の強さと言うか、図太さや器用さを妬ましく思ったりもしています。まあしかし、文章を売り物にする以上、誠実さを失ったら終わりだと思うし、単純に虚しくなりそうなのでやりたくないですが…。って、きっとこれは嫉妬なんだろうな〜。全く面白くなかったらさすがに読まれないだろうから、実力もあるんだろうし。完全にビジネスと割り切って使ってたら気にならないのかもしれませんね。誰が正義を決めるのかという話で、気にせず自分は自分でやっていくのが良いのでしょうね。

最後に、結局誰が悪いのかと言うと、闇業者も嘘つきインフルエンサーも悪いとは思いますが、審美眼を持っていない一般ユーザーの責任もあると思います。数字に踊らされて、パッと見で人気者だからってその人がすごいと思うのはどうなんだ。中身をどれくらい見ているのか。実生活でもそうですよね。友達が多い人、少ない人、いろんな人がいて、人気者だからって感性が合うとも気が合うとも限りません。その人の中身を見るべきなのです。

これは個人的な話ですが、思い返せば私は昔からグループで群れるのが苦手でした。どこのグループにも属さず(というか人間関係にそこまでの熱意がないので属せない)、いろんなグループの気の合う個人とだけ一対一で仲良くなる…みたいなことが多かったです。まあこれは単純にド根暗涼子サイドの意見なので一般論ではないのかもしれませんが…音楽でも本でもなんでも、売れてるから、人気だからといって、自分の感性もなく飛び付くような人が苦手なんです(だんだん人嫌いの話になってきた…)。もちろん人気な上に素晴らしい作品もあることは認識していますし、そういうのは好きです。

個人的な話は置いといて、このように、様々な人間模様を描き出すインスタ闇ビジネスの実態。もはやインスタグラムは素敵なクリエイティブ空間ではなく、企業のマーケティングツールでしかなくなってきたのかもしれませんね。


HAPPY LUCKY LOVE SMILE PEACE DREAM !! (アンミカさんが寝る前に唱えている言葉)💞