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#2 事実収集/法人営業の構造理解

株式会社ブレーンバディの石原と申します。
当社は成果を生み続ける営業組織作りを支援すべく、①セールスアウトソーシング②営業トレーニングの生産性向上SaaSの2つのサービスを提供する営業支援企業です。

社内のセールス立ち上げや、社外向けの営業研修でお伝えしている内容を全7回(くらい)に渡って解説していきます。前回は#1として「関係性構築」をテーマに書きましたが、今回は#2として「事実収集」についてまとめていきます。

これまでの記事はこちら

事実収集の流れ

繰り返しお伝えしている通り、法人営業の仕事は問題解決であるため、問題解決のフレームを理解する必要があります。問題解決のフレームは「事実収集→問題把握→課題設定→解決案策定」。このステップを進めることが顧客の問題解決に繋がります。

つまり、事実収集とは「顧客の目指す姿と現在のGAPから問題を特定し、課題設定するために必要な事実情報を収集すること」と言えます。

事実収集のステップは下記になります。事実収集において最も重要なのは「事前準備」に他なりませんが、そこは別記事で詳しくまとめていくので、今回は商談現場の事実収集ステップ(ヒアリング)にフォーカスします。

事実収集の際の頭の中

事実収集(ヒアリング)をしている際の、営業担当の頭の中はどうなっているでしょうか。事実収集とは「顧客の目指す姿と現在のGAPから問題を特定し、課題設定するために必要な事実情報を収集すること」なので、下記のようなイメージで情報を整理しながらヒアリングをしているはずです。

ヒアリングが上手い人は、上記の図をある程度想定できている(仮説がある)状態で、課題設定のためにさらに顧客解像度を上げにいく作業をしています。もちろんヒアリングをしてみないことには顧客内のリアルは分かりませんが、自分の中で一般的な成長プロセスや阻害する壁のパターンを想定していないと、どの観点からヒアリングすればいいか分からず、「御社の課題はなんですか?」と言ったような、答え方に困るヒアリングになってしまいます。

フィットネスのトレーナーによるカウンセリングなどをイメージすると分かりすいかと思います。目指す姿である「どう痩せたいのか?」を聞く際にもおそらく、とにかくシュッとしたい、マッチョになりたい、結婚式があるから3ヶ月後までに5キロ痩せたいなど、ある程度パターンを想定して聞いてくれるでしょう。

現状や、目指す姿までのプロセスの解像度を上げる際にも、人による痩せ方のパターンや、一般的に躓きやすいポイントを想定した上で質問をしているはずです。だからこそ、お客様の情報をシャープに収集することができ、「あなたなら、こういう痩せ方をすべき」という課題設定をしてくれるのです。

もし、トレーナーに「どうやって痩せていきたいですか?」と質問されたら、「とりあえず食事と定期的な筋トレですかね。」としか答えようがなく、その情報は全く解像度を上げることには繋がりません。

欲しい情報を収集するためのヒアリング方法

ある程度顧客状況を想定できていれば、あとはヒアリングをしながら解像度を高めていくだけです。しかし、そう簡単ではないのがリアル。聞きたいことは決まっていても、「どう聞くか?」によって得られる情報の量と質は大きく変わります。

欲しい情報を収集するためのヒアリングに必要な観点を整理すると私は下記の3つだと思います。(かなり一般的な話になってしましいますが)

①仮説とセットで質問する
②質問の目的を明確にする
③質問のマナーを意識する

①仮説とセットで質問する

仮説とセットで質問をすることによるメリットは2つあり、1つ目は「専門性の高さと顧客理解度の高さにより信頼を構築することで、収集できる情報の質が上がる」こと。2つ目は「仮説の具体性で、収集できる情報の抽象度をコントロールできる」こと。

1つ目に関しては、前回記事の関係性構築の話です。信頼できない(専門性を感じない・顧客を理解しようとしていない)人に詳しく情報を話す訳がありません。

2つ目は、お客様に「どの程度の具体性で、どの事業レイヤーの回答をして欲しいのか」を仮説や回答例を伝えることで理解してもらうという意味です。基本的にその仮説や解答例と同じ具体性や事業レイヤーでお客様も回答を思考してくれるはずです。下記は具体的な質問イメージです。
※もちろん目的があってオープンに聞くことは多々あります。

②質問の目的を明確にする

目的や背景が不明瞭な質問も、お客様を困惑させます。皆さんも目的の分からないヒアリングをされるのは嫌でしょう。(事前情報のない状態での回答が欲しい場合は、あえて目的を伝えずに質問し、回答をもらったあとで目的を伝えてお客様が不快にならないようにフォローするケースもあります。)

③質問のマナーを意識する

お客様から正しい情報を引き出すには、切り込んだ質問が必要となることも多くあります。ただ、深く切り込んだ質問は、時にお客様に不快感を与えてしまいます。不快感を与えずに切り込むコツは枕詞を使いこなすこと。これは「無敗営業」で有名なTORiXの高橋さんがTwitterで綺麗に整理されていたので皆さんもぜひ見てみてください。

正しく情報を整理する

事実収集とは「顧客の目指す姿と現在のGAPから問題を特定し、課題設定するために必要な事実情報を収集すること」であり、重要なのは情報が”事実”であることです。

収集できた情報に自信の解釈や、お客様の解釈が入ってしまうとそれは事実ではなくなり、適切な課題設定ができなくなってしまいます。

事実収集ステップに置いて重要な最後のテーマは「正しく情報を整理すること」。そしてその情報の整理に必要な考え方は、下記の2つとなります。

①事実と解釈を分けて整理する
②言葉の意味を擦り合わせる

①事実と解釈を分けて整理する

事実とは、定量情報・比較対象のある評価・事象そのものなどのことであり、解釈とは、個人的意見・比較対象のない評価・事象への印象などのことです。例えば、「今日は雨が降っている」は事象そのものなので事実情報ですが、「今日は寒い」は個人的意見なので解釈となります。逆に、「今日は昨日より2度気温が低い」は、定量情報なので事実と考えられます。

事実と解釈を分けて情報を整理していかないと、お客様の目指す姿の実現に向けた適切な課題設定を行うことはできません。とは言え、解釈としての情報が提案活動に置いて不要かと言うとそうではありません。お客様が評価しているものに対して、「それは解釈であり、他社と比較すると大きな問題です。」なんて言ってしまう営業の提案をお客様が聞き入れるはずもなく。「お客様がどう思っているか(どう解釈しているか)」という情報はお客様に課題設定・提案に

②言葉の意味を擦り合わせる

事実と解釈を分けて整理するという話とかなり近いテーマにはなりますが、ヒアリングの際に情報を整理するためにはお客様の言っている言葉の意味を細かく擦り合わせていく作業が必要です。

お客様の話す「単語の意味」「抽象的な言葉」「評価」「優先度」などを自身で勝手に解釈し、商談を進めてしまう営業は多くいますが、往々にして的外れな提案をしてしまっています。

適切な課題設定を行うためには、”お客様と同じモノを見続ける”必要があり、それはお客様の会社に属していない営業にとっては本来非常に難易度の高いものです。だからこそ、必要以上に細かく言葉の意味を擦り合わせ、できるだけお客様と同じモノを見続ける意識を持ちましょう。

最後に、正しく情報を整理する2原則についてまとめておきます。

ここまでお読み頂きましてありがとうございました。

その先の営業ステップの詳細や、求められる営業行動についても整理していきますので、次編以降もお読み頂けますと幸いです。

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