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占領下の抵抗(注xxxii)

大杉重男は志賀直哉の「国語問題」について

志賀の言説の中で真に批判に値する部分があるとすれば、それはこの国語として採用された英語ないしフランス語が日本化され得ることへの自信である。それは「吾々は日本人の血を信頼し」という「日本人の血」への信頼とつながっている

大杉重雄「森有礼の弔鐘 ー 『小説家の起源』補遺 

しかし志賀は、英語やフランス語が日本に導入された場合、さまざまな植民地で現実に起きている言語の混淆こんこうが、日本でも起きるであろう事を述べているのに過ぎない。それをよりポジティブに捉えようとしているところがあるとしても。

拙論せつろんでも論じたように、志賀の「日本人の血」への信頼は、もっと大きなもの、言語の強制に伴うあらゆる困難に対して向けられているだと私は思う。

「重力01」初版第一刷発行 2002年2月28日
発行者: 「重力」編集会議
発行元:株式会社 青山出版社
P234. 大杉重雄「森有礼の弔鐘 ー 『小説家の起源』補遺 


この記事は↓の論考に付した注です。本文中の(xxxii)より、ここへ繋がるようになっています。

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