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スタートアップCFOの今 #2 経理効率化

スタートアップにとって経理業務はやっかいな仕事の一つです。
リモート勤務に慣れてきたとはいえ、売上請求書の郵送・メール、紙の請求書、経費で使った領収書、正しい売上数値を確定させなくてはいけないけどどこにある数字が正しいのかわからない、など。

そんな経理業務を、"ワンオペ" で少しでもスムーズに進めるために何をすべきかを書いていきます。
なお、先にお伝えしておきますと、完全自動化が実現している素晴らしい事例ではありません。経理業務は、会社によって癖がある業務で、常にイレギュラーが発生します。完全自動化の図を書くよりも、イレギュラーにも対応するチェック体制をいかに整備するか、ということに参考になると思います。
なお、社内はワンオペではありますが、入力代行業務を会計事務所に委託しています。


売上計上は、この流れで確定させる

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会社にとって最も重要な売上ですが、「請求書の発行が漏れていた」「誤った金額を請求してしまった」などは、相手先にとっても失礼な話になってしまいます。

①売上入力
弊社では、営業管理支援ツールとして「SENSES」を導入しています。導入前は自社で構築したkintoneを利用していたのですが、使い勝手、見やすさ、オンボード期間の短さでいえば圧倒的にSENSESがよいと思います。
SENSESに売上入力するのは経理担当ではなくセールス担当です。経理担当は、SENSESに入力された情報がGAS(Google Apps Script)でスプレッドシートに連携しているため、売上のチェックは一覧性があるスプレッドシートでチェックします。

②売上チェック
売上チェックするスプレッドシートには、SENSESからGASを使って自動連携させています。その詳しい方法は今回説明しませんが、どのような方法でも構わないのでなるべく転記を少なくする方法がよいです。

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スプレッドシートでは、売上金額の確認はもちろん、請求書発行にあたっての注意事項も記載しています。「請求書だけでなく納品書も添付しないといけない」「月末ではなく、当月25日までの請求書発行を求められている」「メール・郵送両方必要」など。また、売上金額が正しいかどうか、セールス担当の確認ももらっています。
この部分は、自社としても効率化をより進めなくてはいけない課題がある部分です。一方、完全自動化していないので、「追加作業を行ったので金額が一部変更になる」「請求書を送るにあたっての注意点を記載しておきたい」という、イレギュラー対応を忘れないようにするためのメモ機能としては、うまく活用できています。

③請求書発行
正しい売上金額が確定したら、請求書発行業務になります。これには、boardという請求書発行ツールを使っているのですが、これが非常に使いやすくて便利です。

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見積書・発注書・発注請書・請求書・納品書・検収書など、売上にまつわる一連の書類が簡単に作成できます。見積書に入力した売上明細が、発注書以下すべての書類に自動コピーできます。毎月同額を請求する場合は自動で金額が均等に分割されたり、もちろん別々の金額にすることもできます。さらに、boardからのメール送信は開封確認もでき、郵送代行もボタンひとつです。これだけ使えて月額980円〜なので、コストメリットもあります。

④会計入力
会計ソフトはfreeeを使ってます。boardで確定した売上データを、API連携でfreeeに渡すことができます。

ただし、board側のステータス設定が正しいことが前提であり、データを連携させるときの勘定科目の設定も、会計を理解していないとわかりづらい点があるかもしれません。ここは、必ずしも連携させることに拘らなくてもよいかもです。
連携させずに入力したとしても、
スプレッドシートの金額 = freeeの金額 
であれば問題ありません。

費用計上は、この流れで確定させる

費用については、一般経費、立替経費など種類も金額も様々です。今回は、請求書費用(一般経費)についてお話します。

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①請求書受領
費用についてやっかいなのは、一般経費の請求書です。郵送で届く、メールで届く、または、相手先に指定されたシステムにログインして請求書をダウンロードする。クレジットカードの明細から入力するなど様々です。ここは今のところ、漏れなく正確に処理する方法が見つかっていません。ある程度、手作業になるのは止むを得ないです。また、入力漏れ、計上漏れなどは、日常茶飯事で起こります。
すべての請求書はPDF化して、Google Driveに保管します。

②請求書管理
請求書は月別にフォルダ管理しています。PDFファイルがフォルダに保管されているだけでは一覧性がないため、Google スプレッドシートに相手先や金額を入力しています。

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ポイントは、先月の金額を入れておくことです。先月の金額があれば、継続的支出なら計上漏れを防ぐことができますし、費用の増減もわかります。

③会計入力
情報を管理するのは手間です。入力にあたって、何の科目なのか、税込みか税抜きか不課税かなど金額を1円も間違わずに入力するのは経理のプロでも難しいと思います。そこで、弊社では、一般経費に限らず、売上・人件費計上などを、会計事務所に入力代行の委託をしています。入力代行を使うということが、社内を省力でオペレーションするために必要です。
売上や費用の内容により、入力すべき勘定科目が迷います。また、前受・前払・償却などややこしい内容になれば、検討・入力・確認に時間がかかります。その部分を専門家に任せれば、大幅に手間が省けます。餅は餅屋ということで。

最も言いたいこと

完全自動化は目指さない。難しい部分は、専門家を頼る
ワンオペ経理をするにあたって、完全自動化されていれば最高ですが、自動化するための設計もかなり手間です。自分もできる限りの自動化を目指していますが、無理に目指すと時間ばかりかかってしまいます(その間もやるべき業務は増えていく)。
自動化してもイレギュラー対応は必ず発生するので、難しい業務は思い切って専門家に任せましょう。

今日書いたこと以外にも、経理業務には様々な面倒なことがあります。
また役に立ちそうな情報をまとめて、シェアしていきます。