見出し画像

音楽家と演出家の隔たり

こちらの記事にも書きましたけど、劇音楽作曲家にとって作曲技術より大事なものは監督との対話です。

監督との対話を通して物語を理解し、俳優の感情を読み取り、適切で効果的な音を選択、作曲する技術を、どうすれば学生に体得させる事ができるのでしょうか。

大学で劇音楽の技術体得の為にやっていること3つ

武蔵美とのコラボ

武蔵野美術大学の映像学科とのコラボ。映像学科の学生さんが制作する映画に大音の学生が音楽をつけるというものです
とても実践的で効果的です。

授業の課題

大学の授業では、実際に私が音楽で参加した数々の映画やアニメを題材に、選曲や作曲に取り組んでもらっています。
作曲部分を重点的に。

大音ラボ

他にも大音ラボという音楽プロダクションを学内に設置し、CM音楽制作など実際の仕事を学生に依頼しています。仕事のスピード感や緊張感は良い経験になっていると思われます。

カリキュラムの壁

大学にはカリキュラムというものがあります。4年間を通して、どういう授業をするのかという事を予め決めておくのです。それをもって学生と契約するのです。
それをもって予算が組まれ、執行されるのです。

他大学とのコラボや学生への仕事の依頼というのは、予定できるものでもないので、カリキュラムには入れられません。つまり、授業以外での成果をあげている取り組みはカリキュラム外で行われています。

なんだか、歯痒いのです。

監督の思考法

音楽家の考え方と監督の考え方の間には大きな隔たりがあります。
どうしたって音楽家は音を届けようとしてしまう。演出家が届けたい、物語の機微は無粋な音楽によって一瞬で砕け散ってしまう。

構想から完成まで10年かけた映画なんてザラにあります。音楽家が呼ばれるのはその最後の2ヶ月だけなんて事もザラにあります。

その2ヶ月で監督の10年分の考え、思念にまで手をのばし理解しなければならない。どこまで深く考える事ができるか。作曲はその後なんです。

この作曲の前の深く考える部分をどうすれば学生に伝える事ができるかなと日々悩んでる訳です。

本日は私の悩みの告白でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?