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営業企画・営業推進は中央集権の時代へ

こんにちは。Magic MomentでBizDevをしています、渡邊(@Yusuke_W8)と申します。Q2で7本noteを書くと決めたのですが、本日は最終日で本noteが7本目です・・・。いつもながらぎりぎりの日々ですし、note毎週欠かさず書かれている諸先輩がたは本当にすごいなあと思う次第です。
さて、本日は”営業企画・営業推進”という観点から、今後こうなっていくのではないかなという予測をしてみたいと思います。

日本の営業企画・営業推進は現場起点で個別性の高い役割だった

営業企画・営業推進は営業組織がある企業は多々あれど、このロール自体が存在しなかったり、存在する場合も会社によっていろんな役割がある印象です。JobPicksの定義では下記のように記されています。

営業企画・営業推進の仕事内容
自社の商品・サービスを販売していくために、各種データや営業現場の声を基に営業戦略を企画・推進する仕事。自身が直接営業をするのではなく、営業パーソンの活動をサポートしながら売上向上を支援する。そのため、企画だけでなく、営業チーム全体で動くための戦術設計・仕組みづくりも担う。

Jobpicks 営業企画・営業推進

また、最近スタートアップ界隈を中心に、BizOps、RevOps、SalesOpsのような"XX-Ops"という言葉も一般的になりつつありますね。このあたりは、上村さんがたくさんの企業のJobDiscriptionから整理をしてくださっていますので、ぜひ読んでみてください。

いろいろな言葉や定義があるのでややこしいので、あえて本日は”営業企画・営業推進”を一括りにして考察をしていこうと思います。

仕事柄様々な企業の営業関連の方とお話しさせていただいていますが、一つ共通しているのが、営業企画・営業推進はまだ規模の小さいスタートアップやベンチャーではほとんど存在していないということです。
これは至極当然のことで、極端なことを言えば例えば営業が2人しかいなければ営業企画・営業推進なんてしないで営業するほうがよっぽど生産性が高いからです。
営業組織の発達に伴い、プレイングでないマネージャーのポストができ、さらに組織化が進んだ段階で、マネージャーとメンバーの一部機能・タスクの切り出しという形でようやっとこの役割が生まれ、それ以降の拡大で生産性にレバレッジを効かせていくという状態になっていきます。

終身雇用を前提としてきた日本の営業組織では、営業の経験をしこたま積んでから、営業推進へ移動するというキャリアパスが最も多く、”支社・支店文化”が強く現場の声も大きいことから、現場起点でさまざまなタスクを請け負うという傾向が強くなります。結果的に企業と営業現場の特性によってまったく違う仕事をしている、というのが日本における営業企画・営業推進の現状だと思います。

”人材の流動化”と”分業化”によって大きく構造転換が起こっていく

営業だけではありませんが、年々人材の流動性は高まっています。流動性が高くなっていく中で、働き手は企業の特性に依存しない、ポータブルスキルを求めるようになりますし、企業側もこうしたスキルをきちんと定義する中で、ジョブ型雇用への転換を進めており、日立、ソニー、資生堂、SOMPOといった大手企業がぞくぞくと導入していることからも大きなうねりを感じる所であります。

マイナビ「転職動向調査2022年版」より "正社員転職率"

また、営業職に限った話ですと、いわゆる"The MODEL型”と呼ばれる分業化が進み、インサイドセールスやカスタマーサクセスといった役割が急増しています。企業としても、分業化して効率化を図る観点もあれば、育成コストへの投資をこれまでほどはかけられないことから、すぐランプアップ(入社後、営業として一定の成果が出る状態に成長すること)できるように、業務の範囲を細切れにしてキャッチアップしやすくしているわけです。

logmi Biz "インサイドセールスは「究極の営業スタイル」 富士通・マネーフォワードのキーパーソンに訊く、営業職のスキルセット"

”人材の流動化”と”分業化”。この2つの大きな流れによって起こる変化として、それぞれのロールから企業独自の役割の色が弱まり、役割が一般化されていくと考えています。これまで営業といえば、企業ごと、もっというと支社や組織ごとにやっていることが違うことすらあった状態から、それぞれの役割ごとに、どんな企業、どんな組織でも大差ないという状態に変わりつつあるという変化が起きるということです。

営業の役割が一般化すると、営業企画・営業推進の軸足は現場から経営に移動する

役割を一般化することで、企業としての競争優位を獲得する。そのためには、現場起点で個別性の高い仕事ではなく、一般化を目指して営業の仕事・営業の役割を経営起点で再構築していくことが必要になります。
そして、この転換は経営と現場の分断を解消しなくては成立せず、故に多くの大手企業が苦しんでいるのはここなのではと感じています。

ただ、ここにさらにもう一つの変数が加わります。
コロナによって、web会議・チャットといったオンラインでのコミュニケーションの比重が大きくなり、結果的に経営と現場の距離は近くなっているということです。その分、物理的に普段リアルでコミュニケーションをしていたマネジメント層と現場の距離は遠くなりました。

(余談になりますが、私もリクルート時代、多大なコストをかけてでもオフラインでやり続けていた営業現場のロープレ大会を、オンラインでリモート実行するという経験をしました。結果的に、リモートの方がトップ営業の手元や表情・息遣いまで視聴者側が感じ取れるということで、終了後アンケートの満足度が大きくあがったというのは大きな気づきだったのですが、もともと物理的距離があったものは、オンライン化で近くなれるということなのです)

こうした武器を得て、徐々にですが、でもinevitableな未来として、営業組織は経営起点に中央集権化していき、その中枢を担っていくのが営業企画・営業推進という役割になっていくでしょう。

中央集権化は2つのプロセス統合で加速する

営業活動の基盤としてCRM/SFAをお使いの企業の企業は非常に多いかと思いますが、CRM/SFAを中心に2つのプロセス統合が起きることで、この流れはさらに加速すると考えています。

一つは、事業横断でのプロセス統合。大企業ではこれまであまりにも躯体の大きな各事業とその顧客情報を共通のCRM/SFAで管理することができていませんでした。ですが、事業ごとで別々のCRM/SFA環境を使っていたものを、統合していくことで、一つの顧客情報基盤を通じてクロスセルの機会損失をなくし、企業ALLでの顧客への提供価値を広げていくという流れが起きつつあります。これによって、それぞれの商談管理やフェーズ定義、記録の入力規則が統一化されていきます。

加えて、単体事業のプロセスでみても、顧客価値を実現するための一貫したプロセスへと再構築が行われます。まさにSales Engagement Platformのようなツール群が好例なのですが、分業化によって起きてしまっていた負の側面であるサイロ化(企業組織が縦割り構造になっており、かつ業務部門同士の連携が取れてない状況)を解消していくテクノロジーの登場によって、この流れは強化されていくでしょう。

特に重要性が増していく3つの役割

加速する中央集権化のなかで、営業企画・営業推進が持つ役割のうち、特に3つの役割の重要性が増していくのではないかと考えています。

①プロセスマネジメント
②コンテンツ
③セールスイネーブルメント

それぞれ詳しくみていきましょう。

①プロセスマネジメント

事業横断統合、事業プロセス最適化という大きなトランジションをリードしながら、プロセスを構築していきます。その間業績を悪化させていいわけではもちろんありません。また、短絡的に全てのプロセスを統合してしまうと、業績に悪影響が出る場合もあるでしょう。

各変数とその連関を高いレベルで理解し、プロセスのうち共通化する部分と個別性として残す部分を、うまい塩梅でコントロールしながら、業績を伸ばしつつもトランジションしていくという必要があるわけです。現場と経営の視点を行ったり来たりしながら、プロセス再構築しツール群へ落とし込んでいくという複雑性も難易度も高い仕事です。

もちろんこれを一人で実行することは不可能です。いかに経営ボード/マネジメント/現場が一体になってPJTを推進できるか。スピード感をもって戦略変更の意思決定を行い、結果出すことができるか。PJTを完遂できた時のインパクトは非常に大きく、これを実行できる営業企画・営業推進の市場価値はもっとも高くなると考えています。

②コンテンツ

統合が進むことで、コンテンツ群の利用価値は上がり、結果的に良質なコンテンツの価値はレバレッジされ、業績に大きなインパクトを残します。ここでいうコンテンツは、メールテンプレート、スクリプト、営業資料、その他営業ツール、営業とマーケティングが両方使うような記事や動画等も含めてです。

ナレッジマネジメントの各施策や、動画や資料を格納し効率的に取り出せることで、施策を推進するツール群もコンテンツの価値を上げる要因となるでしょう。誰もが使いたくなる質の高いコンテンツを生み出せる営業企画・営業推の価値は高くなっていくでしょう。

③セールスイネーブルメント

こうした中央集権化の中では、これまで配属された各組織でのOJTに任されていた育成業務の多くを巻き取り、共通化されたプログラムで育成するということが可能になっていきます。育成も中央集権化したほうが効率的というわけです。顧客への提供価値からブレイクダウンされた、各役割における標準の営業プロセスが定義され、そこへ最速で辿り着くためのサポートを担う形になります。

また、テクノロジーの発展に伴い、先ほどご紹介したCRM/SFAやSales Engagement Platformだけでなく、様々なツールを駆使した営業活動が求められていきます。ですので、そもそも営業として一人前になるという定義の中に、ツールイネーブルメントの比重も大きくなっていきます。

プロセスマネジメントからのスピード感のある要求に柔軟に応えながらも、人材をきちんとランプアップさせていくこの役割も、非常に重要性が増していく役割だと考えています。

営業企画・営業推進はもっとエキサイティングに!

ここまで、中央集権化していく営業企画・営業推進について考えてきました。先にご紹介した3つの役割もそうですが、全体的に営業企画・営業推進の仕事の価値は上がっていくと考えています。

ぜひ、営業企画・営業推進の皆さんや、目指される皆様と議論をしながら、営業組織の未来を作っていきたいと思っています!志高い皆様、ぜひ渡邊(@Yusuke_W8)までDMなどいただけたら嬉しいです。

2022年も半分おわりました。7月からも走り抜けていきましょう!

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