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実写化の正解を叩き出したドラマ版『ゆるキャン△』

漫画やアニメの実写化というと、否定的な意見やイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。僕もその一人です。作品を愛していれば愛しているほど、その実写化作品は観ないようにしています。

しかし、そんな僕でも最高に楽しめる実写化作品があります。それが、現在第2シーズンが放送中のドラマ版『ゆるキャン△』です。

今回は、なぜこのドラマが実写化作品として素晴らしいのかについて語ってみたいと思います。


コスプレ感の排除


漫画やアニメの実写化作品で最悪な失敗パターンが「コスプレ感」です。アニメキャラクターの容姿を必要以上に忠実に再現することによって、ただのコスプレにしか見えなくなってしまい、ストーリーに没入出来ないというパターンです。

アニメキャラのなかには派手な髪色や奇抜な服装のキャラが多く存在します。二次元だと違和感がなく、むしろ派手な方がキャラクターとして魅力的だったりするのですが、三次元でそれをやられると正直引いてしまいます。

『ゆるキャン△』の場合、例えばメインキャラの各務原なでしこの髪の毛はピンク色です。また、同じくメインキャラの犬山あおいの眉毛は特徴的な三角形になっています。ドラマ版『ゆるキャン△』でなでしこを演じる大原優乃さんの髪色はピンクではありません。犬山あおいを演じる箭内夢菜さんの眉毛も自然な形です。

このような要素を完全に排除したことによって、「コスプレ感」をなくすことに成功しています。この判断は実写化作品においてはこれ以上ない英断だと思います。


細部まで行き届いた再現度の高さ


原作を必要以上になぞり過ぎないことで「コスプレ感」を排除したからといって、再現度が低いわけではない、むしろ原作愛を感じる再現度の高さも評価すべきポイントです。

キャラクターたちが使用しているキャンプ道具や衣装、はたまたペットまで、全てが原作から飛び出してきたかのように感じます。特に、志摩リンが乗るオートバイや斉藤恵那が飼っている犬のちくわは原作そのものです。

またこのようなビジュアル的な再現度だけでなく、役者さんたちの演技の再現度も目を見張るものがあります。

特に、志摩リン役の福原遥さんと各務原なでしこ役の大原優乃さんの演技はアニメ版のイメージとぴったりです。リンのテンションが抑えめながらも感情豊かなしゃべりかた、なでしこの絵に描いたような天真爛漫さを感じる邪気のない声。実写の演技では難しそうなキャラクターを完璧に演じていると思います。

そして、演技とビジュアル両方で圧倒的に存在感を示しているのが大垣千明役の田辺桃子さんです。見た瞬間に「大垣がいる!」ってなりました。


不必要な設定変更はしない


実写化の失敗でありがちなことのひとつに「設定変更」があります。尺都合や役者さんに寄せるためなど理由は様々ですが、キャラクターや世界観の設定を変更してしまうのです。このパターンが一番原作ファンから嫌われてしまうかもしれません。原作ファンからすれば「設定変えなきゃいけないくらいなら実写化すんなよ!」って思うのかもしれません。

ドラマ版『ゆるキャン△』の場合、目立ったキャラクターの設定変更やストーリーの改変はありません。可能な限り忠実に原作をなぞることで、「アニメで印象的だったあのシーンは実写になるとどうなるんだろう」という視聴者の期待にしっかりと応えることが出来るのだと思います。


雄大な景色とキャンプ飯の破壊力


『ゆるキャン△』という作品は山梨や静岡が舞台になっており、キャラクターたちが実際にある名所でキャンプをするのが魅力です。実際にあるスポットが漫画やアニメになるというのは近年よく見られる現象で、作品を楽しむ一つのポイントです。僕みたいにインドアな人間は漫画やアニメでしか観たことがない景色がたくさんあります。

このような作品が実写化することで、作品の舞台になっている名所の景色が実際はどんなところかを目にすることが出来るのです。言うなれば、擬似「聖地巡礼」が出来てしまう。『ゆるキャン△』の実写化は家にいながら聖地巡礼を可能にしてしまうのです。奇しくもこの時世にはぴったりです。

そして、『ゆるキャン△』において忘れてはならないポイントがもう一つあります。キャンプ飯です。『ゆるキャン△』に登場する食事はどれも食欲をそそるものばかり。アニメを観ているときもお腹が空きましたが、実写で観るとよりリアルなご飯が画面に存在しているのでお腹が空くこと間違いなしです。

また、先程の演技の話とも繋がるのですが。キャンプ飯をなでしこやリンがこれでもかと美味しそうに食べるのが、『ゆるキャン△』のアニメに引き込まれた理由の一つでした。食事シーンのキャラクターの表情や声優さんの演技がよりご飯を美味しそうに見せます。1話を観たあとすぐにカレー味のカップ麺を買いました。ドラマ版でも食事シーンの演技は素晴らしく、これでもかと美味しそうにご飯を食べています。そういう意味でも再現度が非常に高いです。


『ゆるキャン△』は二度おいしい


アニメ2期の放送が終了すると同時に始まったドラマ版。両方観ることでそれぞれの魅力と『ゆるキャン△』という作品自体の素晴らしさを感じられます。

漫画・アニメの実写化史上最高傑作であるこの作品を存分に楽しみたいと思います。




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