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社員構成:ITエンジニアが知っておきたい、社内の役割分担のありかた

謹賀新年。ITエンジニアの会社選びについての記事の10回目です。今回の記事では、「社員構成」についてとりあげたいと思います。これまでの記事はこちら。

エンジニアは売上と粗利を生み出す

この記事を読むITエンジニアの多くは、自分自身の稼働が月にいくらの売上を生み出すか(=人月単価)を把握していると思います。(信じがたいことに、社員に教えない会社もあるのですけど。。。)

一方で、自分自身の給料が「原価」とみなされることもまた、ご存知かと思います。原価の算出方法は会社によりけりでしょうが、ここでは話を単純にするため、原価=エンジニアの給料、と考えてしまいます。なにせ私は会計に詳しくないので。

さて、売上(人月単価)と原価(給料)にはがあります。方程式で表すとこうですね。

売上 原価 粗利

会社の利益なんてもの、無くたっていいような気もします。式を変形すると

売上 - 粗利  原価

こうなりますので、粗利をゼロにできれば、売上を全部原価、すなわち自身の給料にしてしまえる。これ、いいアイデアかも。

ところが、粗利をゼロにはできない事情が会社にはありそうなのです。

粗利はバックオフィスを養う

会社には、エンジニアが生み出した粗利を使って食わせなければいけない人たちがいます。エンジニアは給料で家族を食わせるまえに、まず、家族でもない人を食わせなければいけない。

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このイラストの雛たちは誰でしょう?

営業部、総務部、人事部、経理部のひとたち、そして、あなたの直系の上司たちです。上司たち。課長、部長、事業部長、事業本部長、常務、専務、、、 自分と社長との間にある、肩書のバリエーションの数は、そのまま現に自分が養っている上司の人数を示しています。これらの人々に給料を出すため、エンジニアは粗利を生み出しつづけなければいけません。

バックオフィスの人たちは、実態としてエンジニアに養われる存在です。であるからこそ、社内では彼らは、逆にあたかも自分たちがエンジニアを養っているかのように振る舞おうと、必死になっています。なんだか、「政治家・公務員」と「国民」とのあいだの関係に似ていますね。

直間比率

採用面接では企業担当者から、エンジニアの人数と、役員、営業、バックオフィスの人数を聞き出してみましょう。その目的は、つぎの比率を把握するためです。

エンジニア社員:バックオフィス社員 の人数比

この比率のことを「直間比率」なんて言うようです。かけた人件費が、そのまま比例して直接売上に反映される直接部門と、売上に直接反映されないが業務を円滑に進めるために必要な固定費の間接部門、その比率、ということです。

直間比率は、エンジニアの成長機会に直接は関係しませんが、給料にも、そして働くモチベーションにも大きく影響します。そしてこの比率は、企業によって驚くほど異なるものです。その最も極端な例が、間接部門がゼロの個人事業主(フリーランス)という働きかた。これだと当然、収入が大きくなりますよね。

社内の役割分担はいかにあるべきか

いかにも間接部門を悪とするような話の流れになってしまいましたが、私は間接部門は小さければ小さいほど良い、と乱暴に考えているわけではありません。

そもそも一般論として、会社組織は役割分担による分業で生産性を上げられるという点に、そのメリットと強みを持つはず。そして、営業やバックオフィスは、エンジニアをシステム開発以外の雑務から解放する、という重要な価値を低コストで提供している。それを雛扱いするなど、もってのほか。と、まあ、こっちのほうが、波風の立たない常識的な物事の考え方。

ですが。

では例えば、現場営業は、エンジニアの本業なのでしょうか、それとも営業や上司が行うべき雑務なのでしょうか? また、専業の営業職による現場営業は、はたして現場の顧客にどれだけの価値を与えているのでしょうか? 

上の問題提起に対する回答やスタンスは、エンジニアによって、企業によって、大きく異なるものです。そして「直間比率」という数字は、上の問いかけに対する、その会社のスタンスの結果として、現れるのです。

面接では各部署の人数を聞き出すとともに、この問題に対する企業のスタンスを聞き出し、意見交換をするのも一興だと思います。

まとめと次回予告

今回は直間比率をみてみました。次回は企業の社員待遇について考えてみます。

あらためて本年もよろしくお願いいたします。

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