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詩集

159
現代詩をいくつかまとめた詩集です。どんな人にも届くように軽めでわかりやすいものを集めたつもりです。週に数回更新されます。
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2015年5月の記事一覧

いつかの自分へ預けておこう

どんな自分であろうとも自分から切り離せはしないから
少し怖いけどじっとその顔をみつめてみよう
今はまだ受け入れられなくても
大事に 捨てないで

その至らなさも未熟さも
いつか わかってあげられると思うから
いつか もう少し落ち着いたなら

受け入れてあげられない今の自分も
いつか きっと

始まりの笑顔

少しぎこちない
少し照れくさい
けれど
灰色の空に 朝日がのぼるように
君の笑顔をよびおこす
そんな始まりの笑顔を
僕は持ちたい

夏に気圧されないで

何も見つけられない自分に降り注ぐ
夏の午後の日差し
物言わぬ緑葉の姿を借り
ざわめきたてるセミの声
急かされる気がしても走り出せないのは
言い訳の準備に忙しいから

逃げ込むところのない世界に居たい

木陰は人のために作られたのではない
木々が自らの命を
日差しから守るために作ったもの
ほんのひととき
木々の情けにて
居させてもらえるだけのこと

そんな世界で
何かを見据え走り出したい
焦りに耐え

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奪えないもの

暗い部屋
疲れてしまった君の胸を埋めるあきらめの独り言
全て思い通りになる人生なんてない
自分のやりたいようにはできないことばかりだ

でも
「やりたいようにやろう」
と「思う」ことは
自分の心のままにできるはず

どんなに困難でも
障害があろうとも
誰に何を言われようと
その意志までは縛れない
奪えない

そこから始めれば
結果はどうあれ
手応えは残るよ

固いハリガネの伝説

1人荒野を歩み始めたとき
矮小なプライドで織り上げたものの
掲げることさえびくびくしてた
自分の旗

噂に聞いた硬いハリガネ
必死に探して埋め込んだところで
旗自身が強くなれるわけじゃないって
気付かずに

やはり風には耐え切れず
不釣合いなハリガネに頼ったがゆえに
旗は跡形もなくちぎれ飛び
手にはハリガネだけが残った

のちに旅の者が行き倒れた彼を見つけたとき
そのハリガネは
ひどく錆びていて

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変わる

変わるべきときがくれば
変わるものではないですか
無理に変えようとするひとへ
何が理由ですか
世間体
情報


それとも
誰かへの思い?

旅人は
放浪しているのではない
旅立ちの地と
目的の地の間の
必然的な
けれど誰にも定められぬ
旅の途上にいるのだから

泉にわざと斧を投げ込むことは
錬金術師のまねごとをしているのと同じ
何も変えられない自分がいることと
正体のない何かに追い立てられて

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答えの前に

いちたすいちは

なんてきまってないよ
いちたすいちが
なんなのか

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砂時計の世界

上には未来
落ちているのは息づく瞬間
底には思い出

あの人との時間の詰まった砂時計
あのころを懐かしんで
未来のあった最初から

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明かりを消せばみえてくるもの

夜のとばりが光をとざすと
僕が僕にかえってくる
部屋の明かりを月明かりに変えると
僕の真ん中が輝きだす

僕の光は僕を照らす
それは強い光でなくても
僕の中の確かなものをみ

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草の背丈で歩いていこう

流れ流れてゆくものたち
広きを求めれば
深きを失う
早さを求めれば
小さな道には迷わぬけれど
いずれ大きな道に迷う

だから 大丈夫
道端の草の姿を覚えてゆこう
豊かさを 見つめよう

占い

恋愛運は「最悪」がいい
来週も再来週も
ずっと「最悪」がいい

何もできずに
何も変われずに
傷つくこと怖がってるだけの私だから

やさしい時間

夜の波音
月明かりと影
あしたが待ってくれている

時の歩みは滞ることはないなどと
魅力のかけらもない顔で
何を守っていたんだろう

頑なさでしか守れない正しさ
しがみつかなければ保てない安心
世界に入りこめない自分の輪郭

あしたはまだこない
自ら歩み出すまで
永遠に

「冷めた缶コーヒーのような笑顔でも」

           
人は
笑うことがある

ときとして
あまりにも
笑いとは不釣合いな状況においても
笑うことがある

そして
まだ笑える自分をみつけて
共に笑える存在をみつけて

目の前の
相変わらず最悪な状況に
もう一度挑んでみようという気力が蘇る

友よ
しばしの別れだ
元気でいろよ

とびきりのくだらないことで
再び笑いあう日まで

冷たくても
苦くてもいい
お前の笑い顔を待ってるぜ

どちらでもないもの

涙には
全てをつらぬく涙と
全てをのみこむ涙がある

心の袋小路には
身動きできない暗闇と
無限に広がる真っ白な空間がある

生きているのに死んでいる
死んでいるのに生きている
あなたは

世界を2つに分け続けても
何も生み出すことはできない
選択は結果でしかない
2つに分かれてしまったときは
きっとそのどちらでもないものが
そのそばにころが

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