固いハリガネの伝説

1人荒野を歩み始めたとき
矮小なプライドで織り上げたものの
掲げることさえびくびくしてた
自分の旗

噂に聞いた硬いハリガネ
必死に探して埋め込んだところで
旗自身が強くなれるわけじゃないって
気付かずに

やはり風には耐え切れず
不釣合いなハリガネに頼ったがゆえに
旗は跡形もなくちぎれ飛び
手にはハリガネだけが残った

のちに旅の者が行き倒れた彼を見つけたとき
そのハリガネは
ひどく錆びていて
屑鉄としても使い物にならなかったということだ

なぜ彼は
なによりも強い
自らの信念にて
その旗を支えようとしなかったのか

もしかして
そんなものは
なかったのだろうか

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