砂時計の世界

上には未来
落ちているのは息づく瞬間
底には思い出

あの人との時間の詰まった砂時計
あのころを懐かしんで
未来のあった最初から
もう一度懐かしむことはできても
新たな砂を足すことはできない
それはもう閉ざされた時間だから

引越しのたびに何故か連れてきている茶色いカバーの文庫本とともに
戸棚の奥で眠っているだけ


今の私の砂時計
まだ少ない思い出
零れ落ちる今
あなたが足してくれる未来

ガラスの底は
大地のように果てしなく広く
見上げる空のように
上の蓋などなくて

零れる砂にこの手で触れ
流れる時を見つめている

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