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494*指輪は運べなくても出来ることがある

『ロード・オブ・ザ・リング』の映画3作目、「王の帰還」を観て、特に印象に残ったこと。
※これから観る人がいたらネタバレ注意

主人公フロド・バギンズの従者として同行してきたサムが、クライマックスでフロドに言った言葉。

「俺には指輪は運べないけど、あなた(フロド)なら運べます」

自分にはフロドと同じような務めは果たす力は無いけれど、自分にも出来ることはある。自分が主人を支えるという強い信念を感じた場面でした。

いくら強い意志を持っているフロドでも、邪悪な力を帯びた指輪を片時も離さず持ち続けているうちに、少しずつ心が蝕まれていきます。身を削る旅や戦いの中で、心身ともに傷つきながらも、一人で使命を果たそうとする主人を少しでも支えたいという思いが人一倍強いサム。彼がいなければ、フロドは使命を果たせなかったのではないかとさえ思います。

普通の人、特に精神的にトラウマや負い目を抱えている人ほど、指輪を近くに見ただけで手に入れたいという欲望を抱きます。

そんな中、サムは誰よりもフロドと一緒にいるのに、指輪の力にほとんど影響を受けていなかったように見えます。

勝手な考察ですが、フロドは世界や大切な人たちを救いたいという気持ちが強かったこと。目の前で仲間たちが争ったり、血を流していくのを見ていられなかった。対するサムは、世界がどうという大きなスケールよりも、フロドという大切な主人であり親友を助けたかった。

世の中にに優れた功績を残す起業家にも、二人三脚で成功を目指す経営参謀のような存在が必要不可欠。フロドを起業家に例えるなら、サムはそんな参謀のようにも思えました。

指輪を巡る旅は、フロドという英雄を支えたフロドという信頼のおける相棒がいてこその成功でした。もちろん他の仲間たちの活躍もあってこそ。ただ仲間が増えれば対立も起こります。どんなときも味方でいてくれる右腕のような存在が、リーダーが抱える孤独を癒やすのだと思います。

どんな人にも役割がある。
誰かにとっての支えとなれる。

二人のホビットの友情にも感動した作品でした。




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