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事務所的な場所に喜びが溢れてるので、昔の思い出話を。

幸﨑誠司学習塾の奥の奥のお部屋に、100の企画室のリアルな企画室を作らせてもらえた。

たった1人の探偵さんの事務所とか、作家さんの部屋とか書斎とか、つまり1人で、少し古めかしくて、机と椅子だけがあって…という部屋が昔から欲しくて、46歳になってやっと理想に近い場所を手に入れたような気持ちになってます。

小さい頃は長屋で、そのあと4階まで階段で上がる古いマンション、そして、祖父母が住んでいた場所で父親が建て替えした時に、とうとう自分の部屋が持てることを知った。

それを聞いてからもういてもたってもたまらなくて、建設中の現場に何度も足を運んでは、自分の部屋はどこだろう?どんな感じだろうと想像してた。

ある日棟梁さんが、「多分ここや」と教えてくれた場所。2階で、思った以上に大きさがあった。実際は6畳半くらいなのだが、骨組みしかないその場所とてもとても広く感じた。

押し入れが大好きだった(というか、必然的にそこしかなく)僕は、少し戸惑った。なにせはじめて部屋を持つ時には、机を置こう!しか考えが及んでない。こんなに広かったら、サッパリどうしていいかわからないのだった。

とはいえ、日に日に木の板が張られ、どんどんイメージが湧いてくる。木の床、木の壁、木の天井。かっこいい。これが自分の部屋になるのか!!!

完成間近になり、これからは汚れてはいけないからと入れなくなった。あと少しで僕の部屋ができる!年玉も置いてるから、ミニコンポもおいてやろう。まとめて箱に突っ込んだままのガンプラも全部並べてやろう。大好きな本は、全部机の上に並べよう。古物屋で、僕が部屋のイメージに合う木製の机も買ってもらってる。あとはどこに置くか!!

完成し、すぐに部屋に走り込んだ。

天井は白く、なんかよくわからない可愛い模様。壁面は白いクロスで、これも小さな花があしらわれていた。そして、出窓。少女漫画でヒロインが扉を開けてそうななんとなくそんな感じの出窓。灯りは何故か縁が薄いピンク。

違う…。全く違う。

僕が見てきた部屋、それを元に想像してきた部屋と全く違う。床は木だったが、テカテカにコートされていた。少し滑る。

出来上がるまでは、木材そのままの姿だった。今思えば当たり前だが、当時はこのままの風合いでどんどん部屋になっていくと思っていた。簡単に言うと、木の箱のようなものをイメージしていた。

だから、少し古びてるけど、木のままという感じの机を選んだ。椅子もキャスターではなく、漫画に出てきそうな椅子をみて、「これがいい」とおねだりした。(実際これのの方が他よりも格段に安かったはず)

小さな図工室のイメージだったのに、目の前にある部屋はピカピカの、少しカワイイ感じの白くて落ち着かないであろう部屋。当然お気に入りの机も椅子も不釣り合いで、とても変な感覚だった。

確か少し泣いてしまったかもしれない。そんな気がする。

ひとつだけいいことがあった。
新しい家には「屋根裏」があったのだ。
鍵のようなものがついた棒で留め具を回し、そのまま扉を下ろしてくると、折り畳まれた階段が出てくる。重たい階段は3つにおり曲がるようになっており、引き上げて伸ばし、そして登っていくと、小さなと言っても大人1人は寝泊まりできる部屋があった。

柱も、床板も全て木材そのまま。木の匂いというより、長くいると少し頭が痛くなる匂いもする。建設中に匂ってきたあの匂いのまま。立ったりはできないが、座ってならなんでもできるほど広い。灯りも剥き出しの電球。子供ながらになんかかっこいい。しかも、上に上がった後に慣れれば自分で部屋を閉じ込めることもできた。

ここがいい!!

早速、タイヤのチェーンや、父親が置いていた大きな荷物を自分の部屋に下ろし、プラモデル、大好きな本、あとラジオ(電池式)を上にあげて、ボーイスカウト(当時はカブスカウト)で使う寝袋を広げて、ご飯を食べて宿題をするまでの間と寝るまでの時間をここで過ごした。

ここに、机が置けたらなぁ。。
秘密の、誰も入ってこない部屋。テレビで見るカッコいい人たちが色々調べたり、何か作ったりする部屋。しかも屋根裏。ここに机を置けたらなぁ。
と思いながら、数時間いると頭がガンガンすることだけはしんどかったけど、本当に長くそこにいた。ラジオの電池が無くなりすぎると怒られた。

その後中学生になり、高校に上がる頃には、自分の部屋ですごすようになった。好きなバンドのポスターを貼ったり、なんかいい匂いになるものを置いたり。いわゆる、普通になった。

屋根裏から数えると35年ほどたった今、あの時のワクワクが目の前にやってきた。

トティエから譲り受けてきた古びた木の机。タイルが張られ、色が変わった壁。塗装されてない木の床。とうとう、あの時のテレビで見るカッコいい人たちの部屋が作れるかもしれない。

椅子はどこかでもらってこようか。壁はどうしようか。蔵書はどうしよう、実家から持ってくるか?いやいや、それはダメ、間借りの部屋だ。

ここで、たくさんの企画を練ろう。あーでもないこーでもないと落書きしながら、誰かの仕事をほんの少し後押しできることをここでしよう。ずっと使ってるカシオの大きな計算機と、MAXの鉄製のホチキス、昔シアトルで買ったスタバ本店のマグも持ってこよう。1日の数時間しかここに居れなくてもここで、憧れの仕事の仕方をしよう。


と、そんな昔の話を思い出しながら、自分がこんなにも喜ぶとは思わなかったので、久々にnoteを書いてみました。

横の板をどっちに置くか悩み中。

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