AIとメタバース(3DUI)がどんな未来を想像しているかの思考整理
ローカルAIとサーバAI
ついにNPUの時代に入りました。
これが意味するところはローカルでAIが動作し、サーバ側のAIとも連携するシステムが考えられること。
マーケティング側として、これが人々の行動にどのように影響してくるのかを考えなくてはいけないタイミングに入りました。
さらにOpenChat社のChatGPTが目立っていますが、日本語に対してやはり揺らぎが生じているので、国産LLMも注目していかないといけません。
ということで、ELYZER の日本語LLMデモンストレーションで「ローカルAIとサーバAIの組み合わせによるワークフローサービスは考えられていますか?主に処理分散など」と聞いてみましたら…
下記のように答えてくれました。
ちなみにCoPilotさんにも聞いてみましたが、ELYZERの方が自然な答えになっていた印象です。(僅差でしょうが…)
ちなみに、内容は似たり寄ったりでした。
その中から抜粋した、なるほどと思える答え。
画像認識: ローカルAIで画像の前処理を行い、サーバAIで画像認識を行います。ローカルAIで前処理を行うことで、サーバAIへのデータ送信量を抑えることができ、通信量や処理時間を削減することができます。
音声認識: ローカルAIで音声の前処理を行い、サーバAIで音声認識を行います。ローカルAIで前処理を行うことで、サーバAIへのデータ送信量を抑えることができ、通信量や処理時間を削減することができます。
自然言語処理: ローカルAIで文章の前処理を行い、サーバAIで自然言語処理を行います。ローカルAIで前処理を行うことで、サーバAIへのデータ送信量を抑えることができ、通信量や処理時間を削減することができます。
推薦システム: ローカルAIでユーザーの行動履歴を分析し、サーバAIでユーザーの好みに合わせた推薦を行います。ローカルAIで行動履歴を分析することで、プライバシーを保護することができます。
これらは実現してくると考えられます。
すでにGoogle Lens AIでもデモンストレーションをしており、現在のところすべてサーバで処理している(と思う)サービスも、ローカルで映像プロンプトを生成して、サーバで答えを返し、UIに表示させる…
このとき、現在はブラウザで結果を返しているようですが、AI音声で答えることやアバターが答えるUIが出現してくる未来が考えられます。
90年代との違い
NPUの時代に突入かぁ…とイメージしていましたが、90年代のワープロからPCへ変化したような「ハード」の変化ではなく、「情報処理フローの柔軟化」と「より理想に近いUI/UX」への変化だと気がつきました。
情報伝達がどのような経路を通っても、AIが入る場所はすでに普及しているものに組み込まれるだけと考えても過言ではないからです。
90年代のPC普及とIT化は「見えやすかった」…なにせ「紙」から「データ」に変化したわけですから。
今回は「処理」の部分にAIが使われるので「見えにくい」状態です。
つまり目に見えて変化が表れないため、IT化以上にふるいにかけられる人が激増しそうです。
またことごとく慣れてきた「無料」で利用できるサービスはAI時代では少なくなってくると予想されますので、余計に格差が広がりそうです。
マーケティングにおけるメタバースとAI
まずは2005年から2020年まで、デジタルマーケティングが辿った主なトピックと変化を振り返ります。
2012年:テレビからオンライン動画へのシフトが始まる
オリンピックの視聴者行動に変化が現れ、ブロードバンドの普及により、テレビからオンライン動画へのシフトが進む。
世界のWebトラフィックの約85%はデスクトップPCでしたが、モバイルが台頭してくる。
2013年:実用的な情報と観念的な情報の両方を検索
検索は実用的な情報から人生の観念的な質問まで多様な理由で利用されていることが判明。
2014年:セカンドスクリーンの台頭
ワールドカップの視聴者行動予測により、セカンドスクリーン(テレビ画面で試合を観戦しながらスマートフォンで関連情報をチェック)が主流になる。
2015年:マイクロモーメント
欲しい情報を瞬時に求めるようになり、スマートフォンでの検索が増加した。
2017年:モバイルの速度が成功に不可欠
モバイル用途において、ページの読み込みが遅いと直帰率を増加させることが判明。
2018年:インタラクティブでソーシャルな体験としての動画の台頭
スマートフォンから目を離さず、動画を通じての情報発信が増加。
この流れは購買層側の変化として、即時性や即応性が注目点として挙げられます。では今後はどのようにシフトしていくか予測してみることに。
AIと自動化の進化
人工知能(AI)と自動化技術はますます重要になり、マーケティングプロセスの効率化やパーソナライズされたコンテンツの提供に活用される。
顧客行動を予測し、適切なタイミングで適切なメッセージを送信するAIベースのマーケティングプラットフォームが増加する。
プライバシーとデータ保護の重要性
GDPR(一般データ保護規則)などの法的規制により、個人情報の保護がますます重要になり、データ収集と利用に対する透明性を提供し、ユーザーのプライバシーを尊重する必要がある。
ビデオとライブストリーミングの増加
動画コンテンツは引き続き人気を博し、ライブストリーミングはさらに増加する。
ブランドはストーリーテリングを通じて視聴者とのつながりを強化し、エンゲージメントを高めることが求められる。
モバイルファーストの戦略
モバイルデバイスはますます重要になり、ウェブサイトやアプリのモバイル最適化が必須。
モバイル・アプリ内広告、およびモバイルSEOの重要性が高まる。
音声検索とAIアシスタント
スマートスピーカーや音声アシスタント(例:Amazon Alexa、Google Assistant)の普及により、スマートフォンでも音声による検索が増加する。したがって、音声の検索に適したコンテンツを最適化する必要がある。
これらの変化予想から見えてくることは…
既存のWebサイトに加えて、プライバシーに配慮され、パーソナライズされた情報提供の仕組みが必要となる。したがってローカル側で処理するAI搭載のOSが必要になる。
音声アシスタントが一定数普及していることから考えられることは、スマートフォンにも音声によるインプットが当たり前になる時代が来る。すでに音声入力で検索する人も増加している。またアウトプットは動画コンテンツに近いUXが求められる。
動画コンテンツに近いUI/UXは、メタバースに代表される3DUIが有力だととらえるのが妥当だと考えています。
その一端はすでにVketによって表れている為、大きなブレはないと予想されます。
またMRデバイスによるオペレーションも普及すると思われますが、モバイルには適していない為、オフィスでの利用用途が主流になると考えています。
動画コンテンツに近いUXとは、視覚的な情報に加えて柔軟な(インタラクティブな)インプット・アウトプットが必要であり、ゲームコンテンツのNPCがイメージに近いと思われます。
この部分にAIをどのように組み込み、どのようなUI/UXを設計するかがポイントとなると考えられます。
これら3DUIにおいてはウェブサイトに追加される新たなチャネルと考えて、Anayticsデータを取得。その解析にもAIを活用するフローが考えられます。
AI PCについて
AI PCとは、NPUが搭載されたPCのこと。2024年から販売が開始されています。ローカルAIよりも、AI PC呼称が広く知れ渡るような気がします。
そのAI PCで稼働するOSですが、過去のCPUを搭載するPCとは切り離されるアナウンスがすでに出ています。
PC Watchさんの記事掲載以降に、インテルからLunar Lakeの発表があったので、Copilot+ PCを実現できるNPUはSnapdragon X Elite/PlusとLunar Lakeだけとなりました。
このことから、AI PCは当面ビジネス現場への導入がメインと考えても良いと思います。
何が変わるのか?
Microsoft Japan News Centerの「Copilot+ PC の紹介」の記事(上図リンク)を一通り見てもらうと、目を引くのは「PC 上で見たことがあるはずのものを再度見つける」Recall 機能。あれどこだっけ? 探してぇ〜Copilotが実現します。その他にも画像生成・編集、動画編集時のマスク、Adobe製品でも大きなアドバンテージがありそうなので、Web開発・デザイン・コンテンツ制作系の業務でこれらを取り入れるか否かで大きく差が出そうです。
コンシューマはどうか?
アーリーアダプターの人々が率先してAI PCを使うことが考えられます。その際UIに対してなんらかのアプローチを考えるでしょう。その一端としてAIアシスタントは注目ポイントになる気がしています。
Gateboxがその片鱗を見せていると感じますので、ディスプレイ+AIアシスタントガジェットの組み合わせはスタンダードになりそうな予感です。
おそらくスマートフォンとも連携して、携帯モードAIアシスタントとしてサポートしてくれるようになると予測しています。
アバターとAIアシスタントは相性が良く、またユーザーがアバターをまとったAIアシスタントとの対話を楽しんで利用できるメリットが存在しますのでUX(ユーザーエクスペリエンス)が向上します。
ここが発端となって、さまざまなタイプのガジェットが考え出されると思われますが、コンシューマ向けにはスマートフォンアプリが数多く考え出されるのではないでしょうか?
専用アプリ・ウェブアプリの違いはあれど、パートナーポジションよりもペットポジションに近い感覚で提供される予感があります。
電脳コイルの電脳ペットはかなり分かりやすいイメージだと思います。
オーナーの情報を学習して、どんどんオーナー好みの電脳ペットになっていくという設定でした。
アバターAIアシスタントとメタバース
いわゆるNPCとパーソナルに特化したアバターAIアシスタントとユーザー本人とがコミュニケーションをする空間としてメタバースは考えられます。
また他ユーザーとそのアシスタントとのコミュニケーションスペースとしても有効なので、ペット同伴旅行に近い感覚になるのではないでしょうか?
また電脳アシスタント用のアイテムお土産など、物産とリンクしたマーケットスペースの存在は、そのアイテム企画・デザイン・制作・販売といった独自の経済圏を作り上げる可能性を秘めています。
DC3
ブロックチェーン技術を使ったコンテンツディストリビューションサービスが開始されています。円ベースでデジタルコンテンツの流通をコントロールすることができるサービスなので、仮想通貨を使わない分、利益分配がやりやすい仕組みになっているようです。
こうしたコンテンツディストリビューションサービスをメタバースと連携させることで、EC販売でもデジタルデータと実物のセットという考え方ができます。
VketCloudでは、現在メタバース上で決済ができる仕組みを導入しており、サポートサービスが増えていく中でDC3のような仕組みの導入も考えられるでしょう。
ゲーム業界の曲がり角
大手ゲーム業界は曲がり角にさしかかっているようで、反面インディーズゲーム界は元気です。
この現象が意味していることは、既存の考えの延長では立ち行かなくなってきたことが表面化していると見て良いでしょう。
ゲーム業界は主に若年層がコアになる業界だけに、ここの動きが数年遅れてあらゆる業界に同様のことをもたらすアンテナ的存在になると考えても良いと思います。
まとめ
AI PCの発表やゲーム業界の曲がり角が表面化したタイミングで、政府が「新たなクールジャパン戦略」を発表しました。
要約すると…
クールジャパンのリブート
クールジャパン政策の再起動が提案され、アフターコロナ時代の「日本ファン」の拡大と多様化に対応する新しい戦略が必要とされています。環境の変化への対応
デジタル化の進展、国際的な政治・経済情勢のリスクの高まり、サステナブルやウェルビーイングへの意識の高まりなど、変化する環境に適応するための方策が検討されています。具体的な取組
コンテンツ産業の海外展開、インバウンド誘致、農林水産物・食品の輸出など、様々な分野での具体的な取組が進められており、デジタル・DX化への対応や人材育成が強調されています。2025年大阪・関西万博
2025年に予定されている大阪・関西万博を契機に、日本の魅力を世界に発信し、日本ファンを拡大する機会として位置づけられています。
ここから見えているのは、モノづくり産業からコンテンツ産業への転換。
日本の経済と産業構造の変化を反映しています。
この転換は、製造業が直面するグローバル競争の中で、新たな価値創造と収益源を見出すための戦略的な動きとして理解されています。
その転換に関する主なポイントをまとめると…
デジタルトランスフォーメーション
製造業はデジタル技術を活用してサービス化を進め、製品だけでなく、付加価値の高いサービスを提供することで差別化を図る。サービス化の推進
「モノ」から「コト」への転換は、製品中心のビジネスモデルから顧客体験やサービス提供に重点を置くモデルへのシフトを意味しており、これにより顧客との関係性を深め、継続的な収益を目指している。グローバル競争
日本の製造業は、グローバル市場での競争力を維持・強化するために、デジタル化やサービス化を通じて新しいビジネスチャンスを探求している。コンテンツ産業の強化
コンテンツ産業は、アニメ、ゲーム、映画などの文化的な製品を通じて、国際的な影響力を拡大し、新たな市場を開拓している。政府もこの産業の海外展開を支援している。
この転換は、単に製造業からサービス業への移行だけでなく、経済の持続可能性やイノベーションの促進にも寄与していると考えられます。
AI活用はこの転換の流れと呼応して、ワークフローやサービスに取り込むことを意識したマーケット開発をすることが急務だと感じます。
ちょっと前(2022年)に書いた関連記事↓
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