見出し画像

『「仮面浪人説話集」(生方聖己とされる)』 第3章



“モード受験生俺”に憑依した際に必ず訪れてきた“モード受験生俺特有の、人間を失う瞬間” 。

簡単に説明するとその瞬間とは、“頭が真っ白になる瞬間”である。もっと言えば、自分は常日頃何か辛いこと、嫌なこと、悔しいこと、しんどいことがあるときに決まって自分に言い聞かせる言葉である、“人間必ずしもいつかは死ぬ(命のありがたみを理解した上での言葉選び)”が全く効果を発揮しない瞬間でもある。

その瞬間の強度は3段階に分けられる。
1・2 段階目レベル(頭は薄白く、“あの言葉”がまだ少しばかり通用する)はこの1ヶ月前という日を迎えるまでに少なくとも3回(そのうち1回は結構きわどかったが)は経験していたのだが、その度耐性がついていたので割と簡単に乗り越えられる。

そうじゃなくて鬼の3段階目。
これはかなり曲者であり、一度来てしまうとその後約24時間は自分の人間的活動は停止する。

どういう時にこの瞬間が訪れるかというと、例えば去年で言ったら、前のブログでも書いたが、てかめんどいので前のブログから引用すると、

【2週間前から明治の赤本を始めた。センターである程度とれていたので結構いけるのではないかと過信していた。本来は60分が制限時間の英語を90分かけ正答率が4割くらいだったときに初めて自分の愚かさに気づかされたものだ。その日は、どう考えても残りの日数ではこのレベルに達成できないということが判明してしまい一日中ベッドの上で天井を眺めていた。】

↑こんな時。
まあだから“不可能を知り絶望を超えた時”のことかな。ただ、第一志望に落ちて、負けたのが悔しくて許せなくて仮面浪人を決意した時点(この時も、さっきとは違う方面で”あの言葉“が通用しなかった)でその”瞬間“、それに現役時とは比べ物にならないであろうプレッシャーを受け、なんなら3段階では収まらず、自分でも経験したことのない、そして経験している自分を想像することなんてできるはずのない5段階目の”瞬間“をいずれ迎えることはわかっていたし、覚悟もできていた。

【“頭が真っ白になる瞬間”の強度の段階分け】
第1段階:少し思考レベルが低下する。
第2段階:かなり思考レベルが低下する。しかし、まだ正気を保つことができている。
第3段階:完全に思考レベルが停止する。自分の不可能を知り、絶望を超えた瞬間に訪れる。


問題はその“魔王”がいつ自分を迎えに来るか、であった。
そいつが出現する条件は、先程述べた①「不可能を認識し絶望を超える」に加え、②「本番まで1ヶ月を切る」というこの2つの条件が絶妙に重なったときであるということだ。

【魔王出現の条件】
①「不可能を認識し絶望を超える」=“頭が真っ白になる瞬間”の第3段階
②「本番まで1ヶ月を切る」

この時はもう既に1ヶ月を切っていたため、②の条件はクリア。そして本当なら①の条件も本来ならクリアしているはずであった。 センタープレ模試の結果を受けて。
そしてこの浪人期間中自分は、“授業をしない”と話題の某有名予備校(予備校と呼ばれることは不本意でしょうか)であるT塾の、現役時の受験が終わってすぐに最寄りの高崎校に駆け込んで無料で貰った参考書ルートに沿って勉強していて、そのルートは「日東駒専」→「MARCH」→「早慶ルート」と段階があったのだが、前回のブログでも述べたように、(*1)“午後練出現問題”や(*2)“夏場の練習場移動問題”、(*3)“Iリーグ大やらかし問題”などの影響もあり、当初計画していた予定より進度に大幅に遅れが出ていた。本来ならばセンター1ヶ月前には早慶ルートまでのすべての参考書を終わらせ、足りなかった所を補い、ゴリゴリに過去問を解いていたはずだったのだが、実際のところは確かこっちに帰ってきた時点で「MARCHルート」がようやく終わり、「早慶ルート」をほんの少しかじった程度であった。

(*1)午後練出現問題:仮面浪人時代に進学先として選んだ日体大では、サッカー部の練習は朝練だけだと聞いていたため、授業後の全ての時間を勉強に充てられると思っていた。しかしその矢先、練習が午前と午後の2部練に変わってしまった。
(*2)夏場の練習場移動問題:夏休み期間、日体大のグラウンドが芝の張り替えで使えなくなり、少し離れたグラウンドで練習をしていた。その移動時間が中途半端で、まとまった勉強時間の確保を阻害していた。
(*3)Iリーグ大やらかし問題:過酷な受験勉強と部活の両立ながら、サッカー面で成長を感じられてはいたが、やっとの事で出場するチャンスを掴んだIリーグでいきなり大ミスをかましてしまった。


そして、上記の”問題”たちに加えて1つ結構大きな問題が生じていた。





第4章へと続く…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?