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#2【考察】なぜ、企業研修に登壇実績があると仕事の依頼が増えやすくなるのか?中小企業診断士が企業研修講師に取り組むべき理由

みなさん、こんにちは。中小企業診断士の岩瀬敦智(いわせあつとも)です。
この記事では、私が考える中小企業診断士が企業研修講師に取り組むべき理由を紹介します。

企業研修講師の実態はどうなのか、という問いに対して

早稲田出版での受験指導、経営教育総合研究所での理論政策更新研修の講師、法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科MBA特別コース(診断士養成課程)の教員をしていることから、診断士を登録して間もない人から活動方針の相談を受けることが少なからずあります。

その時に話題に上がるのが、企業研修の講師です。企業研修講師についての相談の内容は千差万別です。「やっていきたいと思うがどのようにキャリアを積んだらよいか」という人もいれば、「興味はあるが自分にできるかどうか悩んでいる」という人もいます。

ただ、どのような相談でも入口は「果たして、自分が取り組むべきキャリアなのか、企業研修講師の実態を知りたい」という要望に集約されるように感じます。その要望に対して、私は個人的には「中小企業診断士は、企業研修講師をキャリア形成のオプションの一つに持つべきである」と回答します。

なぜ、診断士は企業研修講師をキャリアに組み込んだ方がよいのか。その理由について紹介します。

企業研修講師に取り組むべき理由 仕事の依頼が増えるから


なぜ、診断士が企業研修に取り組むべきか

キャリアのスタート時は先輩診断士から仕事を紹介されることが多くなります。経験が少ないうちは、営業をして自分の専門を主張しても信頼を得にくいことがしばしばです。私も多くの先輩方に仕事を紹介いただきました(大変お世話になりました!)。

最近、私も人を紹介することが増えて改めて実感していることがあります。それは、良い人を紹介すれば自分の信用が高まり、ダメな人を紹介すると自分の信用を棄損することです。当たり前といえば当たり前ですが。

ただ、紹介して良い人かどうかの見極めが難しい。良いと思って紹介したものの、クライアント側が紹介の時点でいまいちと判断したら、クライアント側とも紹介される側とも微妙な空気になります。実際に仕事につながったものの結果的に低評価だったら、もっと悲劇です。

もちろん専門分野の書籍などを出している方、あるいは誰もが知る代表的な仕事を持っている人は別です。

例えば、最近も研修ベンダーに、登壇実績は希薄なものの誰もが知る英語学習法の開発者を紹介しました。実績が少ないにも関わらず、研修ベンダーの担当者の方も前向きに対応していただきました。ただ、これは特別枠みたいなものですね。

診断士キャリアのスタート時からそのような実績を持っている人は少ないでしょう。そこで、お薦めなのが1つでも良いので専門分野で企業研修実績をつくることです。

研修実績がきっかけで仕事の紹介につながった

私の活動開始3年目の事例を紹介します。

研修講師業を始めて間もない時期に、特別親しかったわけでない診断士の先輩から、ある企業のリテールサポート力構築コンサルに推薦を受けたことがあります。当時の私の独力ではとても商談の席にすらつけない大企業でした。先輩に「どうして推薦いただけたのですか」と尋ねると、「検索したら岩瀬さんがある事業のリテールサポート研修に登壇した際のチラシがヒットしたから(実際には後輩の診断士の先生に聞いたそうですが…)」という理由が返ってきました。登壇した研修の受講者がブログでアップしてくれていたのがきっかけだったのです。

研修実績がきっかけで声を掛けていただきました

これは、たまたま受講者のブログがヒットした特殊事例かもしれませんが、私自身、後輩の先生に何かをお願いする時に「〇〇系の企業で、〇〇研修の登壇実績があるよ(もちろん、依頼する仕事に近しいテーマ)」と聞くとお願いすることが多いです。また、その後、紹介した企業で話がまとまる確率も高いと感じます。

なぜ、企業研修実績があると人に紹介しやすくなるのか

なぜ、企業研修実績があると人に紹介しやすくなるのか

答えは、仮にその研修に1回しか登壇したことがなくても、経験がある時点でそのテーマの専門家と認識されるからです。

私の個人的な肌感覚では、特にキャリアが浅いうちは「〇〇系の企業のコンサルの実績があります」と伝えるよりも「〇〇系の企業で研修をやりました」と伝えた方が、案件自体が例え研修以外の業務であっても交渉の席につける確率が高いように感じています。

マイク・マッツェオ 他の「道端の経営学 戦略は弱者に学べ 」という書籍では、財を「探索財」「経験財」「信用財」の3つに分類しています。

探索財は購入前の情報収集によってある程度までは品質が判断できる商品やサービス、経験財は購入して初めて品質を確認できる商品やサービス、信用財は購入した後でもなお、品質の判断が難しいか長期にわたって品質が確かめられない商品やサービスです。

私の考えでは、コンサルや研修は信用財にあたると思います。信用財のブランドは信頼性や確実性を基盤に築かれるとされています。つまり、クライアントにとって本当にその人が信頼できるのか、任せられるのかという観点が重要といえます。そして信頼を形成する大前提が、その人の信用です。

もちろん、ベテランの先生で誰もがイメージしやすい代表的なコンサル実績がある方はそれを伝えるだけで、信用を得られるでしょう。私がある大手企業のコンサルでご一緒しているコンサルタントは、「〇〇(有名企業)の○○という新規事業立ち上げのコンサルをしました」の一言で仕事を受注します。その先生はもともと入社した企業で新規事業立ち上げ部門を担当し、それがきっかで、社内で十分なキャリアを得て自営に転じた背景から、早くにそのような代名詞となるコンサルに巡り合えたとのことです。

しかし、多くの場合はコンサルタントとして代名詞となる実績をつくるために数をこなす必要があるのではないでしょうか。その数をどのように受注するかが大切です。その際に、企業研修の登壇実績が、診断士自身を保証する機能を発揮し、クライアントからの信用を形成してくれるのです。

ここまでのまとめ

今回は、中小企業診断士が企業研修講師に取り組むべき理由を紹介しました。

なぜ、企業研修に登壇実績があると仕事の依頼が増えるのか

結果として、企業研修に登壇実績があると仕事の依頼が増えやすくなるのです。

いかがでしょうか。あくまでも自分の経験を踏まえての個人的な見解ではありますが、ぜひ、キャリア設計の参考にしていただければ幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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