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冒険心を胸に選んだ宇宙スタートアップへのキャリアチェンジ。人工衛星のスペシャリストが捉えるロードマップとは。

メンバーインタビュー第25弾に 登場するのは今年2月にジョインしたBramです。
幼いころから宇宙一筋。前職では数々の宇宙ミッションに携わった人工衛星のスペシャリストです。そんな彼のこれまでのキャリア、そしてなぜワープスペースへとジョインしたのかを訊きました。

宇宙飛行士になりたかった幼少期

-幼いころから宇宙に憧れを抱いていたと伺いました。これまでのバックグラウンドを教えてください。
1984年にベルギーで生まれました。3〜4歳の頃、周りの子ども達は消防士や医者になりたいと言うなか、戦闘機パイロットであった父や、カーニバルのために宇宙飛行士の服を自分のためにつくってくれた祖母の影響もあり宇宙飛行士になる夢を抱いていました。

その夢は体の都合もあり変わりましたが宇宙への憧れは持ち続け、数学や工学に強く関心を持つ子ども時代を過ごしました。私にとって宇宙は常に身近な存在でしたし、14~15歳の頃には将来学びたい大学や宇宙工学でできること、どう宇宙へ行くかの方法を考え続けてきました。

高校卒業後はオランダのデルフト工科大学へ進学し、宇宙力学や航空宇宙工学を専攻しています。修士まで過ごした学生期間のうち、実地研修や卒業論文を執筆するために関連する企業の現場に実際に出て働く機会がいくつかあり、特に論文執筆の過程ではスペインの航空宇宙事業者であるGMV社※1で宇宙産業の現場を体験しました。GMV社では卒業後も3年間、継続してお世話になりました。

ESAで培ったミッション運用の経験

-ワープスペースへのジョイン以前はESAにいらっしゃったそうですね。どのような仕事をしていましたか?
前職では欧州宇宙機関(ESA)に所属しSenior Mission Analysis Expert(上級ミッション解析エキスパート)として、数多くの人工衛星のミッションに携わってきました。ミッション解析の仕事の要点は、衛星ミッションを成功させるためにミッションでの要求を解析し、シナリオを設計することです。たとえば、どの軌道を狙い、どのロケットを利用してそこへ辿り着くか。衛星にはどのリソースをどのように積み、地上とはどの地上局で通信をするのかなどの検討を重ね、調整をしながらミッション全体を構築し、運用していく仕事でした。

-そんなBramさんがワープスペースに出会ったきっかけはどこだったのでしょうか?
最初にワープスペースを知ったのはその当時勤めていたIMS※2を通じてでした。徐々に会社の取り組みやコンセプトに触れ、ワープスペースが目指す社会のコンセプトをとても高く評価していたので、面識があったDanieleさんから会社について聞かせてもらっていました。

-スタートアップに飛び込んだ理由は?
ESAなど公的な宇宙機関の特徴として、どうしても組織が縦割りと多様で複雑なレイヤーによって構成されていることや、学術的で複雑なミッションは走り出しから打ち上げまでに10年~20年を要し、さらに打ち上げ後も、目的地に到達してミッションを開始するまでに14年以上必要なこともあります。

つまり、始動からミッションの終了までの全てのサイクルを終えるために40年かかることもあるのです。もちろん、全てのミッションがここまで時間を要するわけではなく、私は並行して複数のプロジェクトに関わっていましたが、2010年にESAでの勤務が始まって以来12年間以上沢山のミッションを経験した私は、宇宙業界でのキャリアとして、これまでと違う、よりプロジェクトサイクルが短く、夢抱いた幼少期の様にさらなる冒険心を持てる環境で自分自身を試したいと思うようになりました。

ちょうどワープスペースを知ったのはその頃で、これからまさに技術が発展していく領域にあって様々な事業者とのシナジーが感じられるビジネスを行っている企業であること。日々ビジネス情勢が変わる社会でも事業を進める素晴らしいビジョンとエネルギーを兼ね備えた企業であることを感じ、メンバーに加わりたいと声をかけさせてもらいました。

ワープスペースのミッションを成功に導くために。

-現在ワープスペースで担っている業務を教えてください
これまでの経験を活かし、人工衛星のシステムエンジニアとしてのポジションにつきながら、我々の衛星と周辺環境、他社のプロダクトとをつなぎ最大限円滑に設計・運用するための橋渡しをしています。それはハード面の設計に留まらず、例えば欧米の関連企業や組織とワープスペースが連携する際のアシストなどに置いても発揮できると考えています。

-ESAなどで数多くのチームを体験してきたBramさんは、ワープスペースのチームにどんな印象を持っていますか?
現在のワープスペースにはそれぞれの分野のエキスパートが所属し、各々の専門性を持ちながら建設的で積極的な意見交換が日々活発に行われています。プロジェクトに対してプロフェッショナルであることはもちろんですが、各メンバーが個人としても会社のビジョンに賛同し、それだけ多くの熱量や努力が注がれていることを体感しています。

だからこそ自分自身も専門性を活かしながら、我々ワープスペースに限らず市場やパートナー企業全体にとってベストな規格や設計、仕様開発に貢献していきたいと思います。

-ワープスペースのビジョンを実現するために必要なこととはなんでしょうか?
いま会社が取り組んでいるような、関係各所との戦略的パートナーシップを構築していくことが必要だと考えています。特に欧州に関してはESAとの連携も行うことで、私たちのビジネスを拡大するだけでなく、連携する他の企業からの可視性を上げ存在感を強めていくことが重要です。

また、私たちの光通信プラットフォームの顧客を将来確実に獲得していくため、まずはプロトタイプを作りながらニーズを緻密に分析し、実証と改善を重ねていきます。顧客にとって使いたいと思ってもらえる様、プロダクト力をあげ、市場に訴求していくことが必要だと考えています。我々はいまニーズ分析フェーズに適切に取り組めていると捉えています。

-ワープスペースの事業を通して一番ワクワクする瞬間があれば教えてください
永田さんや日野さんが取り組んでいる、月面との通信の実現に関するプロジェクトに今とても関心があります。地球と月面のシームレスな通信が実現できる将来を思うと、とてもワクワクします。

-最後に、Bramさんが最も大切だと思うCompass of Behaviorはなんでしょうか?
どれか一つを選ぶことはとても難しいです(笑)
個人的にはチームメンバーを尊敬しているので「06.Respect your crew」が大事ですが、衛星エンジニアとして専門性を発揮すべきポジションにいる身としては、ナレッジベースで積み上げるべく「03.Decide with fact」を選びます。同様にスタートアップ企業である我々としては、そう何度も巡って来ることのないチャンスを確実に掴み形にする点で「04.Chase one chance」を大事にしていきたいと思っています。

※1 GMVとは:
GMVは、情報通信技術(ICT)ソリューションに特化したスペインの多国籍企業です。1984年に設立され、宇宙、防衛、サイバーセキュリティ、輸送、通信、健康分野など、いくつかの分野で革新的なサービスを提供しています。特に、衛星ナビゲーションや宇宙開発ミッションにおいて重要な役割を担っています。GMVは、技術の進歩を促進するソリューションを生み出すことで知られており、複数の国にオフィスを構え、グローバルな存在感を示しています。その貢献は、欧州の衛星航法システム「ガリレオ」やさまざまな宇宙ミッションなど、数多くのプロジェクトで役立っています。
https://www.gmv.com/en

※2 IMSとは:
IMS Space Consultancy GmbHは、衛星のエンジニアリングと運用の分野で活動するダイナミックな会社で、現在、欧州の宇宙機関にコンサルティングを提供しています。宇宙船の設計から運用まで幅広い経験を持ち、挑戦的なプロジェクトの開発や、幅広い産業界のパートナーや国際機関とのコラボレーションを通じて、長年にわたって成長を続けています。IMSが提供するサービスは、専門的なコンサルティング、プロジェクトサポート、ソフトウェア開発、研究などです。
https://www.ims-space.com/


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