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【ベンチャー組織論7】「経営管理部のお仕事」(PR / IR編)

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皆様是非ご活用ください!

1.はじめに

花粉症の季節です。
もう、ほんにしんどいです😨
目が痒い!頭がクラクラする!体が重い!
でも、花粉症のお薬をもらってからはだいぶ良い😆
医学って凄いですね!5月くらいまで戦いは続きますけど、同士達よ、今年も頑張りましょう!


さて、前回に引き続き今回も「ベンチャー組織論シリーズ」(以下、「本シリーズ」という)です。本シリーズは、大手企業にお勤めの皆様やベンチャー企業に少し興味を持っている士業の皆様が、『ベンチャー企業の中ってそんな感じなんやね😁』と思っていただけるような情報をお届けする連載です。

経営管理部は、以下の図のとおり、9つの部署に分かれています。
※内部監査は社長直下の部署なので、青枠で囲っています。

経営管理部の組織図 (4)


今日はこの中でも「PR / IR」についてお話しよう思います!

かなり特殊というか、珍しい部署なので、普通に仕事をしている限りではあまり関わらない方が多いと思います。
今日はそんなニッチな部署を書くので「イイネ」の数が心配ですが、きっと大丈夫なはず。
読者の皆さんがきっと押してくれるはず |д゚)チラッ


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2.PR / IR部のお仕事

まず、PRとは、Public Relationsの略称です。
次に、IRとは、Investor Relationsの略称です。

どちらも広い意味では「広報」ですが、PRはより広く公に対する情報発信を担当し、IRは投資家に対する情報発信を担当します。

どちらが専門性が高いかというと、圧倒的にIRです。
特に、上場企業のIRは極めて高い専門性が必要で、財務諸表を分析する力、資料を作る力、日本取引所グループの定める規則についての深い理解などが高いレベルで要求されます。

一方でPRも一定の専門性が必要ですし、広報戦略については経営戦略を深く理解した上で行わないとズレが生じます。
PRは未経験からの応募も可能なところが多いですが、本当の意味でのPRのプロフェッショナルは、IRと同等に専門性の高い人達です。中には法学・会計学の修士号等を持った方々もいらっしゃいます。

では、PR・IRは、具体的にはそれぞれどのような業務を行うのでしょうか。


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(1)PRのお仕事

PRの主な業務は、プレスリリース及びニュースリリースの記事執筆・配信と取材対応です。

まず、プレスリリースとニュースリリースの違いからご説明します。

プレスリリースは、主に報道機関に向けたお知らせです。
決算発表を出したことをお知らせするニュースや、人事異動のお知らせなどがこれに該当します。

一方で、ニュースリリースとは、より広く一般に向けたお知らせです。
プレスリリースほど固くないお知らせ全般が該当するとお考えください。

プレスリリースでは、会社のホームページやPRTimesに載せるような正式なものが多いので、PR担当者は気を引き締めて記事を書かねばなりません。
ニュースリリースは、会社の公式ブログやTwitterの中の人の書くツイートなど様々ありますが、こちらも会社のブランドイメージを崩さないように細心の注意を払って記事を書いていきます。


このように、あらゆる発信手段を用いて会社のイメージを創り上げていくのがPRのお仕事です。
しかも、低コストで!
ここがマーケティング部との違いともいえます。
マーケティング部は、広告宣伝費をかけて、自社商品・サービスの広告を配信しますが、PRは原則としてお金をかけずに会社のことを宣伝していきます。

お金をかけないPRで最も多く利用されているのが、ニュースリリースの配信です。
お金をかけないニュースリリースで最も活用されている「会社の公式ブログ」や「Twitterの中の人が行うツイート」などでは、拡散を狙ってある意味ギリギリを攻めた際どい書き込みをしなければならないことがあります。

皆さんご存知、SHARPさん(82万人ものフォロワーを抱えるスタープレーヤー)もその大変さを以下のように表現しています。



中の人をやったことがある人はわかると思いますが、本当に気を使います。
そもそも「ボケたい気持ち」が強い人が中の人をやることが多いのですが、世間から見たその会社のイメージとの関係で、常に批判に晒される立場にあります。
一歩間違うとスベるだけでは済まされない……。
中の人達は、毛根が死滅するほどのストレスを抱えながら一文字一文字絞り出しています。

何を隠そう、私も今、WARCの社名を背負って文章を書いています。
これもPR業務の一環といえますから、私もある意味PR担当者です。
私は基本的に失言大魔王なので、本来であれば外に出してはいけないタイプのおっさんです。
恩ある山本さんにご迷惑をかけてはならないと思いつつ、でもボケたいという発作に駆られ、その鬩ぎ合いの中で毎日文章を考えています。
だからこそ、失敗したらいつでもクビになる覚悟です!
PR担当者にはそれくらいの覚悟が求められているといっても過言ではないでしょう(※ボケずに真面目に書いていればいいだけの話)。


さて、業務内容の話に戻りましょう。
PRが行う主な業務で、プレスリリースと同等に重要な業務が取材対応です。

企業が有名になってくると、外部の媒体などから取材依頼が来るようになります。
このときの一次対応はPR担当者が行います。
取材対応を行ったことがある人はわかると思いますが、取材に来る人の質は千差万別です。
プロフェッショナルな人から素人以下の人までいろいろいます。
中には明らかな悪意を持って取材に来る人もいます。
だからこそ、好き勝手に書かれては困るわけです。
しっかりと記事のクオリティをコントロールしましょう!

特に、社長が語ったようなテイストで書かれる記事(インタビュー記事)などは細部までしっかりチェックして、間違いのないようにしなければなりません。
ライターの質が悪いと、危ないドラフト(記事案)があがってきます。
そこを容赦なく赤入れする力もPR担当者には求められています。

ベンチャーやスタートアップでは、広報担当者は原則1名です。
多くても2~3名だろうと思います。
有名企業になってくると、日々取材とプレスリリースのタスクが降りてくるので、かなり忙しくなります。毎日文章を書いて、読んで、修正してを繰り返す部署です。
その上でPR戦略を練っていかないといけないので、高い事務処理能力と経営学全般の知識が必要になってきます。


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(2)IRのお仕事

IRの主な業務は、投資家とのコミュニケーション、開示資料作成、株主総会の運営の3つです。

この中で、重要な業務は、投資家とのコミュニケーションです。

コミュニケーションのとり方は様々ございます。
四半期ごとに決算書等を公表したり、様々な任意開示を行ったりするのもコミュニケーションの一つです。
また、機関投資家に対する決算説明会などを開催・運営するのもコミュニケーション手段の一つです。
その他、直接対面での1on1なども行うことがあります。

そして、上記のコミュニケーションをスムーズに行うために、IRは、ほぼ毎日のように開示資料を作成します。
一番重いのは決算説明会資料だろうと思います。
上場企業のIRページに行くと見ることができます。
あの資料を作り込んでいるのがIR担当者です。
上場企業ごとに個性があって面白いです。

法定開示・任意開示いずれにおいても、開示資料について日本取引所グループの開示担当者によるチェックが入りますから、何度も微調整を繰り返すことも多いです。IRは資料が完成するまでその対応をし続けます。
開示には細かいルールがあって、日本取引所グループがその規則を定めています。
これらの規則をしっかりと読み込んで、適切な開示を行わなければなりません。

そして、いざ開示されると、その資料は広く一般に公開されます。
それを読んだ投資家が、会社に電話をして、問い合わせをしてくることが多いのですが、その対応も原則としてIR担当が行います。

この際とても気をつけないといけないことがあります。
それが、情報漏洩です😨
特に、他の株主にはまだ開示されていない情報などをIR担当が電話口でポロッというてしまった日には……
下手するとインサイダー取引になるので、逮捕者が出ます。
極めて慎重な回答が求めえられる重要職種です。

また、多くの上場企業では、株主総会の運営もIRの業務に分類されています。
総務や法務の協力も得つつ、数ヶ月ほどの準備を経て実施されるので、これも大変な業務です。
一年間の総まとめを株主の前に発表する会です。
業績が良いときの株主総会はきっと胸を張って仕事ができますが、業績が悪いときの株主総会は胃が痛くなると思います……。


上記の業務をなぜIRが行うのか。

それは、IRが「投資家と内部者の情報の非対称性をなくすこと」を使命としているからです。

情報の非対称性とは、情報量の格差だとお考えください。

ベンチャー企業が創業間もない頃は、株主≒経営陣であることが多いです。
しかし、会社が大きくなり、ベンチャーキャピタルなどからの資金調達も経て、上場の準備に入る頃になると、株主が複数人~数十人になっていきます。
そして、上場を果たすと一気に何千、何万人もの投資家(株主候補)が自社の情報に注目するようになります。

この際、投資家は外部にいて経営に参画しませんので、会社の内部者との間で情報量の格差が大きくなってしまいます
IR担当者はこの情報格差を縮めるために、日々情報を発信していくことをミッションとしています。

そのため、小さなスタートアップやベンチャー企業では、通常はIR担当は置かれません。
IR担当が必要になるフェーズは、N-1(上場目標年の1年前)以降で、より重要になってくるのは上場後です。
したがって、IR担当が活躍している会社は、原則として上場している企業です😁


そして、IRが日々行う業務の先にあるのが市場からの資金調達です。

上場企業である以上は、資金調達手段の一手段として「市場からの資金調達」(新規で株式を発行したり、自社で持っている自社株を市場で売り出すことで調達する)はあり得ます。
この市場からの調達はいつでも好きなときにできるわけではなく、厳格なルールの下で行われます。

そして、この市場からの資金調達の前提として、株式が投資家間で流通し続けている必要があります。
流通量が乏しく、誰も売買をしない状態だと、株式を売り出そうとしても誰も買わないので、資金調達なんてできないからです。
この流通量が確保され続けるためには、投資家に対し、しっかりと内部の情報が公開されていなければなりません。
IRはそのために存在しています。

なお、株式が投資家間で流通した(売買された)総額を「出来高」といいますが、この出来高は、日々集計されて公開されています。
ヤフーファイナンスなどで見てみると面白いかもしれません😁


3.PR / IRに向いている人

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(1)PRに向いている人

PRに向いている人……🤔

完全なる私見ですが、私は財務・法務・マーケティングに明るく、かつ、文章力があり、人と接するのが大好きな人が向いているように思います。

「財務・法務・マーケティングに明るく」という点は特に大事だと思っています。
PRは、自社のサービス・商品の宣伝も一部行いますし、IR領域に関するプレスリリースも一部関わります。
そして、様々な市場調査も行いますから、財務・法務・マーケティングの知識が必須になってきます。
景表法の知識統計学の基礎的な知識は持っておいてほしいところです。
また、最低でも簿記2級程度の会計知識も持っておいてほしい😨

そういう社会人としての基礎を身に着けた上で、文章力が必要であると思います。
ほぼ毎日文章を書く・読む・添削する仕事なので、そもそもの文章力がないと務まらない仕事です。

その上、大量の人間と接する職種ですから、人と関わることが好きでないといけません。
人が苦手という人にはオススメできない職種です。

なぜかはわかりませんが、企業のPRって8割くらいが女性なんですよね🤔
もしかしたら、女性のきめ細やかな感性や社交性が必要なのかもしれません。

ちなみに、私はコミュ障なのでダメです。
PR担当はできません😨


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(2)IRに向いている人

IRの場合は、緻密性勇敢さを両方持っている人が向いていると思います。

IR担当は、企業のイメージを大きく動かす立場にいます。

たった一つの開示資料で株価が大きく上下します。
自分の行った業務が、株式市場で一瞬で評価され、目に見える形でフィードバックされます😨

こんな恐ろしい職種を任されている人が、大雑把な性格では務まらないでしょう。
間違いが許されない職種なので、徹底的な緻密性が必要です。
細かく数字・文字をチェックできる人であることが大前提です。

私の同級生にIR担当を10年近く勤めている若手がいるのですが、彼は恐ろしいスピードで人の文章の添削を行います。
ある意味特殊能力だと思っています😨
IR担当はそういう能力を身につけている人が多いです。

一方で、ベンチャー企業のIRには勇敢さも求められます。

これは法務でも同じことがいえますが、守るだけなら誰でもできるのです。
保守的に考えて、選択そのものを「しない」という選択は、やろうと思えば誰でもできます。
指示を待つだけで自分からは何も提案しないIRは、存在価値があまりありません。

開示すべき情報をしっかりと選別し、経営陣に提言できるか。
それがIRに求められる姿勢です。

特に、会社の従業員が不祥事を起こしてしまった場合、迅速に開示できるかどうかは、IR担当の勇気にかかっていると言っても過言ではない😨
本来、CEOが即動いて開示を行うよう指示するべきですが、手が回っていないときに、IRが先陣切って開示の準備をし、CEOに対して事実を説明し、開示すべきであるという助言ができるかどうか。
こういう勇敢さがIRには求められていると思います。

自分の行う業務が、株主の利益に直結しているという自覚を持って業務に当たらないといけない職種です。
そして、会社の株価が低迷しているときは、矢面に立つ職種なので、メンタルがタフじゃないと続かない仕事だろうと思います。


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4.活かせる資格

PR・IR共に、財務会計の知識は最低限必要です。
そのため、簿記2級までは最低限理解しておくべきだろうと思います。
IR担当者に関しては1級まで持っていてもおかしくありません。

また、法務領域に関する知識も一定以上必要なので、ビジネス実務法務検定2級以上は取得しておきたいところです。

ただ、PR・IRは、特定の資格がすぐに活かせるという職種ではありません
だからこそ難しい職種です。
最低限知っておくべきことはたくさんあるので、日々勉強をし続けなければなりません。

私がもしIRやPRをやるなら、大学院に行って経営学について全般的に学ぶだろうと思います。
IRをやるなら、MBAで学ぶ知識は必須知識ばかりだと思います。
上場企業であれば、決算発表と同時に決算説明資料を開示することが多いのですが、これを作る際に経営学の知識があると非常に楽です。
経営戦略、マーケティング、市場分析、企業分析などの科目を取って、しっかり学んでおくと良い資料が作れるかなと思います😁

また、IRは経営陣との関わりが多くなる部署なので、経営陣と同等程度に経営を語れないと、そもそも議論に参加できません。
経営企画部のメンバーと互角に渡り合えるくらいの知識は身につけておくべきだと思います。


5.おわりに

今日はPR / IRについてお話させていただきました😁

PR / IRはあまり馴染みがない方も多いと思うので、これを期に知っていただければ嬉しいです😆

IPOを目指すベンチャー企業の経営陣の皆さんにも是非読んでいただきたいです!

さて次回は、ついに来ました法務部のお時間です。
私の専門分野ですわな😒
ゆえに辛口になってしまいがちな部署。
この部署については言いたいことが山程あるけども、それをグッと押さえて、良い感じに柔らかくしてお伝えできればと思っております。


では、次回をお楽しみに😍


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【著者情報】

著者:瀧田 桜司(たきた はるかず)
役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長
専門:法学、経営学、心理学
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