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NovelJam2018(秋)推薦状【特に編集役希望者向け】

2泊3日の合宿形式で小説をつくるイベントことNovelJam。2月にこのイベントが終わった後も、参加者である僕は「編集とは何か」をよく考えている。
なので今回は、「NovelJamの編集役」について私見をまとめ、かつ今年11月の秋大会での多様な方々の参加に繋がればなあ…という思いで筆を握っている。

さて、僕はNovelJamに第1回大会は著者として、第2回大会は編集として、そして秋に開かれる第3回大会ではボランティアスタッフ(※お茶菓子配給担当)の一員として参加予定である。
特に、第2回大会で「編集」役を務めたことは大きな刺激だった。普段はフルタイムのサラリーマンと働く自分が色々あって「編集」役となり、紆余曲折を経ながら2冊の本が完成。感慨深いものがあった。
役割を担うと不思議なもので、「編集」を名乗ったり、目指したりする方々と会う機会がなぜか増えた。そして先日、「編集」に関する話を聞きに行った中で、「これはNovelJamを考える上でとても重要では?」と思うくだりがあったので、紹介しようと思う。

それはオンラインコミュニティ・SUSONOが主催する「トークイベント 山本由樹×松浦弥太郎」で得たものだ。
両者とも執筆や編集の第一線で大活躍する方であり、自ら及び他者の思いを伝えるのはどうすれば良いか? を深く考えていらっしゃった。
この中で大変興味深い発言があった。それは「表現者」と「編集者」の差異についてである。

さらに付け加えるならば、表現者(=作家)にはなかなかなれるモノでは無い一方、編集者にはなることができる、という趣旨の発言もあった。

これは僕の感覚とは全く異なるものだった。なぜなら、NovelJamの応募者数は圧倒的に「作家>編集」だからである。

主催する日本独立作家同盟が作家の支援から始まった組織であるがゆえに、このような偏りが出続けているのだろうか。でも、その要素を踏まえたとしても、意外な見解だった。「編集」ができる、あるいはその可能性がある人がたくさんいる? 本当? 本当ならば、どしどし応募者が増えて欲しい!(毎回応募者が少ないという話を聞いているので…)

では、山本氏が抱いている「表現者よりも編集者の方がなれる可能性がある」という感覚は何なのだろうか。当該部分のメモを読み返しながら、僕はある仮説に辿り着いた。
「NovelJamの編集役」から「出版」「文芸」の要素をあえて差し引くと、純粋な意味での「編集という役割」が見えてきて、ちょっとは参加のハードルが下がる…のでは?

というわけで、NovelJamのルール、そして僕自身の大会参加経験を踏まえ、「編集役」という要素を分解していった。すると、下記の3つが残った。

・チームビルディング
・パーソナリティ
・マーケティング

それぞれの要素を、NovelJamのルールと照らし合わせながら掘り下げていこう。

・チームビルディング
→NovelJamはチーム戦である。生まれも育ちも違う作家2名+デザイナー1名を率いる。しかも、今日初めて出逢う可能性が高い方々だ。その状況下で求められるのが「自分はどういうスタイルで集団をまとめてきたか(あるいは、まとめていきたいか)」である。
自分自身もチーム戦であることを踏まえ、どのようなチームをつくろうかというのを練りに練った。その結果が「フォロワーシップ」なのだが、ひとまず詳しいことは下記投稿を読んで頂ければ幸いである。

・パーソナリティ
→チームビルディングが1対多のコミュニケーションである一方、NovelJamには作家やデザイナーとの1対1で話し合う時間が多々ある。かつ、その過程で自分自身の内面を見つめることというのも、避けられないのである。他者が創作をする上で大事にしている軸は何かを理解する。そして、事前に自分自身の表現に対する考え方も確認するにこしたことはない。

・マーケティング
→本は読まれなければ、真の価値を有さない。第2回大会からNovelJamに「売る」という要素が加わった。1か月後に開催されるグランプリには「販売部数」や「販売手法」も審査要素に加わっている。NovelJamは長期戦になったのである。
前回大会ではまだ試行錯誤の段階であり、勝利のセオリーも見つかっていない。未開拓の分野を切り開く精神力と柔軟なアイデアが求められるだろう。

以上である。

さて、この3要素を眺めていると気がつくことがある。

NovelJamから出版や文芸というジャンルを薄めていけば、普段の「仕事」で求められている能力と大して変わらない。
でも、NovelJamには普段のアクビしながらチンタラこなす仕事
(※賢明な本稿の読者にはまさかそんな人はいないと思いつつ!)とは遥かに異なる、面白さと熱量がある。
それはなぜかというと、「表現者」というオリジナルなスキルを有した他者と対峙し、濃密な時間を過ごすことができるからだ。だから、自らが有するスキルを全て使っていく必要がある。講義やセミナーとは異なり、とても実践的だ。そして、その果てに「本」というかけがえのない成果物が現れるのだ。

そういう要素が無ければ、僕は2回も参加しないし、こういう原稿を書くことは無いだろう。

最後に、ノベルジャムに編集で応募されることをお勧めしたい方を超個人的に定義するならば、下記の通りになる。合否は全く保証しないので、予めご了承下さい。というか、公式ページにある参加要項をしっかり読んでね!

・「編集」という言葉に惹かれる
・表現者との対峙を通して、自らの「編集スタイル」を確認したい
・表現者との対峙を通して、自らの仕事(チームビルディング、パーソナリティ、マーケティング)の素の力量を知りたい

自らの内的動機にこの感情があれば、まずはオッケーではないだろうか。

もちろん、出版経験の有無というのは、ゲームを進める上で大きな差に繋がるというのは致し方がない部分ではある。仮にその経験が薄い方は、不利を覚悟する必要がある。
ただ、大学時代の新聞部+セルフパブリッシングが編集経験だった自分も、この大会を乗り越えることができた。そして、分不相応なお土産を得ることもできた。


故に、本稿読者の積極的なご応募を、心から願っている。次は八王子の山奥でお逢いしましょう! ではまた!

どうもです。このサポートの力を僕の馬券術でウン倍にしてやるぜ(してやるとは言っていない)