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「信長のリモート・武将通信録」webパンフレット

ごあいさつ(代表より)

 みなさま、パンフレットをご購入頂きまして誠にありがとうございます。笑の内閣代表の髭だるマンです。こういった文章を書くたびに、そういえば自分が代表である、という事を思い出します。
 私が笑の内閣の代表に就任してからというもの、前代表高間が鬱で創作が出来なくなり、急遽再演を演出する事になったり、それを乗り越え、高間の鬱も回復したと思ったら、今度はCOVIDー19の影響でそもそもの演劇活動が制限されてしまったりと、何でこんなことばっかり起こるんだよ!と思うことが多い今日この頃。
 といっても、嘆いてばかりいても仕方ないので、こんな状況下でも出来る事がある筈と急遽立ち上がったのが、この企画です。全国から、出演を快諾してくれた皆様と共にZoom演劇の可能性を提示出来れば、と思う次第です。
 しかしこうやって自宅で稽古をしていると、演劇というものは皆から時間を空けてもらいながらやっているという事がよく分かります。また、協力してくれているスタッフさんのありがたみが今になってよく分かります。今回のZoom演劇も取り組みとしては非常に面白いものだと感じています。が、やはり稽古場に行き、目の前にいる共演者を意識しながら稽古し、劇場に入り舞台や音響・照明を仕込み、お客さんに来場してもらって、上演するというのが一番だなあと実感しております。
 ということで、今回の配信を見て「これも面白いけど、やっぱり生で見たいなあ」と思ってもらえると幸いです。どうぞ最後まで、自分のペースでご覧くださいませ。

笑の内閣代表 髭だるマン

ごあいさつ(脚本・演出より)

 みなさんこんにちは。webパンフレットをご購入いただきまして、誠にありがとうございます。笑の内閣前代表の高間です。
 私にとって昨年は、人生で散々な1年でして、立憲民主党公認で京都市議会議員選挙に立候補し落選。まあ必勝の戦いではなく、もともと厳しい戦いだと覚悟していたのでいいのですが、選挙とは別の原因で家族と不和になって鬱病になり、予定していた公演の脚本をかけず、助成金も取り消しになり公演は大赤字。私は常に希死願望と戦いながら日々を過ごしました。鬱は死にたくなる病気だと言いますが、逆です。鬱じゃなかったら確実に自殺していました。自殺の方法を調べる元気すらなかったのです。
 それまでの病院は通っていても全く良くならず、このまま一生治らないんじゃないかと思っていましたが、今年頭から転院した病院との相性がよく、2月頃からみるみる元気になりました。しかし、それと反比例するかのように世の中は、COVID-19の影響で悪くなっていきました。というか先日、宮台真司先生とのトークショー(7月6日までに無料でYouTubeに公開しています。URLは下記に)ではっきり、「自分(宮台さん)や高間さんのような社会に物申すことが好きな人間は、社会が安定していると鬱になり、世の中が混乱しだすと鬱が治る」と言われまして、COVIDー19が流行って良かったとは口が裂けても言いませんが、その影響で回復したのではないかというのは否めません。
 しかし、私の鬱がよくなったのはいいとしても、世の中としては全然良くありません。どの業界も(宅配業とかオンライン系の企業はウハウハでしょうが)きついと思いますが、演劇業界もまたしかりです。笑の内閣は幸いなことに、2月以降に公演がなかった(というか、私が鬱治ってなかったので、そんな時期に公演できないってことで計画してなかったんですが)ので、大きな影響は受けなかったのですが、お世話になっている劇団、劇場、ライブハウスなどは大変な事態に陥っていたところもたくさんあります。
 そこで、その中のライブハウスの支援のために、笑の内閣ではGWに、簡単な動画の有料配信をいくつか行いまして、予想外に100人以上の視聴、10万円以上の売り上げが上がり、寄付をすることが出来ました。そこで、手応えをつかんだことからもっと、大きなオンライン演劇をしたいと思いたったのが今回の企画です。
 この2ヶ月で、いわゆるzoom演劇はたくさんできました。しかし、私に言わせれば問題点は二つある。まず、舞台用に書かれた脚本をZOOMでやるもの。例えば東京サンシャインボーイズの「12人の優しい日本人」です。あれはとても面白かった。しかし、あれは元々の三谷さんの本が面白いからこその面白みです。演出をしていた冨坂くんとは友人でして、彼のZOOMならではの演出も面白いと思うところがたくさんありましたが、それでも舞台版の方が面白かった。次に ZOOM用に書かれた演劇。それはZOOM用に書かれたという点では、その特性を生かしていますが、肝心なところの「脚本として大して面白くない」というのが大問題です。ZOOM飲み会や、ZOOM面接の様子を演劇にされてもそこまで面白くないわけです。
 そんなことを考えていた矢先、京都市では「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う京都市文化芸術活動緊急支援金」というものができまして、その奨励金の原資が、歴史シュミレーションゲームでお馴染みのコーエーテクモホールディングスさんだったんですね。そこで閃いたのです。私は信長の野望の大ファンで歴史好きになり史学科に進学したほどですし、そして市議会議員になりたいと思うほど大好きな京都市への感謝もこめ「歴史」と「京都」に関連するオンライン演劇を作りたいと思いました。そこで思いついたのが「織田家の武将がZOOMで軍議をしている最中に、信長が本能寺で襲われて通信が途絶える」というとてもばかばかしい設定の芝居です。
 何せオンライン演劇なので、生の舞台にはかなわないことはたくさんありますが、しかしオンライン演劇だからできることもたくさんあります。その一つが普段は、稽古期間中の京都での滞在費を払わないとならない、他地域の人も呼べることです。北は北海道から南は大分まで全国各地の役者総勢40名以上が出演しこんな豪華メンバーが揃いました。慣れないZOOMでの稽古、生の稽古であれば出来ることもできずに歯がゆいこともありますが、ZOOMだから出来る方法もたくさんあります。劣化舞台でも劣化映画でも出来ない、ZOOMでしか出来ない演出もたくさん取り入れ、それを私はこの制作期間中「誰一人参加者と直接会うことなく、ZOOM、メール、電話、LINE、宅急便のみで作り上げる」ということを目標に、新たな表現を作っていきたいと思います。
 普段の演劇と違い、7月6日までは何度も何度も見返せる演劇ですので、何度も見返したくなる仕掛け(シナリオ1とシナリオ2は前後編ではなく、同じ時間軸の違うZOOMのトークルームの話ですから、何度も2つ見直すことで面白味が出ます。シナリオ1の織田家側のトークルームだけ見ると、ある武将が退出している間に出た初出の情報を何故か知っていて「脚本のミスか?又はその武将は元から明智と通じていたのか」みたいなシーンもありますが、シナリオ2を見ると、退出中明智側に招待されていてそこで聞いた情報だったというような仕掛け)もたくさんあります。元ネタなんかもわざとわかりづらくして、このパンフの元ネタ辞典を読んでから見返すとなるほどと思うようなこともしています。ぜひとも配信期限まで何度も何度もご覧いただけますと幸いです。
 では、ごゆっくりご視聴ください。

笑の内閣前代表 高間響

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