見出し画像

人生を変えた後遺症②


母を呼んで!!


薄々は気づいていたが
いつも症状が出るのは薬を飲んだ後。

検査に疲れ、やっと寝られると油断した矢先だった。
【思い込み】とは怖いもので、入院して
検査をしたら結果も出ていないのに
自分に合った薬に変更されてるものだと。

何も確認せず、出された薬を飲んでしまった私。

再び、あの痛みを味わうこととなった。

何かあったためのナースコールだが
若いときの”恥ずかしい”と言う感情が邪魔をして
なかなかナースコールが押せない。


不安からなのか、怖さからなのか
今までで一番の痛みを感じた。

どんどん痛みは増していく。

そして限界を感じた瞬間、恥ずかしさなどなく
ナースコールを押していた。

スピーカーから
「はーい、どうかしましたか?」と看護師さん。

私「すぐ来てください!」

あまりの痛さに声が大きくなる。

わけなく看護師さんが来た。

看護師「どうした?」
私「体が痛いんです!」
看護師「どこが痛いのかな?」
私「分からない!とにかく体が痛い!!」

どこが痛いなんて言い表すことができないくらい
全身が痛かった。

看護師「ここかな?」
私「違う!」

このやり取りを何回かした後
看護師さんは
「痛いのは分かるんだけど、私もずっとここに
こうしていられないのよね~」
と、ベットでのた打ち回る私に言った。

あまりの痛さと、迷惑をかけてはいけないという思いで

「母を呼んでください!」

と、叫んだ。

すると、また看護師さんが口を開いた。

看護師「でも、こんな時間にお母さん呼び出されても
困るでしょ。もう、高校生なんだから、ね?」

高校生だろうが、大人だろうが
痛いものは痛い。
それに、看護師さんをずっと引き留めているわけにも
いかないからと必死で絞り出した訴えだったが
看護師さんは、なかなか受け入れてはくれなかった。

入院しているのに、親が呼び出されるなんて
今、この年になるとすぐ受け入れられない事情も
分からなくはない。

しかし、当時の私はそんなことはどうでもよくて
ただ、どこが痛いかも分からない体を
母にさすって欲しかった。

そしたら、看護師さんの手も止めずに
痛みと戦えるから。
それだけだった。


結局は、看護師さんが病院と相談し
母を呼んでくれることを了承してくれた。




遠のく意識

ほどなくして母がひきつった顔で現れた。
焦りと、心配と、不安と…
きっと色々な感情が入り交じっていたのだろう。

母も疲れてるだろうに。
だが、母は手を止める事無く
ずっと「治れ、治れ」とさすり続けてくれた。

しかし、なかなか痛みが引かない。
いつしか母の手もゆっくりになってきていた。

私「もう大丈夫だよ」と口では言ってみるが
全然引かない痛み。

数時間が経った頃、母が急に席を立った。
向かった先は、ナースステーション。

変わらない状況に、堪り兼ね事情を説明に行ったのだった。


戻ってきた母は
「痛み止めを打ってくれるって。でも、ちょっとその薬は
強い薬なんだって。どうする?」と不安げな表情で
私に言った。


私は、早く痛みを取って
母を安心させてあげたいのと、自分自身も
痛みから解放されたいのとで
すぐに「打つ!」と返事をした。

母に支えられ、診察室に入ると
当直のドクターらしき人がすでに準備をしていた。

ドクターは
「はい、ここに座って」
と、ぶっきらぼうに言い放つ。

私は、小さな椅子に腰かけ袖をめくった。

そして、細い針が私の腕に刺さったと同時に
目の前が真っ暗になり
激しい耳鳴りと共に意識が薄れていった…


続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?