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【SFアイデアノート】サブスク・平等

発想の種

Spotify、新聞、Amazon Prime、Netflix、休日ハックなどなど、この世界はサブスク(subscription)で溢れている。
常用するなら安いし、企業が提供する内容をお任せで選んでくれるサービスもあり、選択にかかるストレスがなくなり楽だ。

人口増加による資源の枯渇にもサブスクは一役買うかもしれない。
サブスクにより事前にサービス利用者の絶対数がわかりロス(売れ残りや食品ロス)がなくなる。企業は決まった数だけ作って提供すれば良い。
さらにロスに対する法的バッシングが大きくなれば、企業は発注→生産の流れに移行していく。よりサブスクが増えていく。

サブスクが普及すれば平等問題に対しても一つの答えが出る。
提供内容が均一化し、みんなが同じものを飲み食いできるようになりみんなが同じ娯楽を享受できるようになる。
ある意味平等になる。
むしろサブスクで生活の全てを事前に登録できるようにすれば選択肢の自由が担保され、機会の平等性が達成される。

この流れからSF的世界を考えた。

あらすじ

以下あらすじ。『サブスクリプション』

半年に一度一斉にサブスク登録会が行われる。
そこでは半年間の仕事内容、食事、娯楽、着るもの、、全てが決まる。選択は自由。
登録会には事前登録調査があり、そこで反映される人数比から本登録では条件の調整が入る。職業などに偏りが生じないようにするためだ。
その光景はまるで、大学の履修登録のように簡素で軽薄なものになっている。

時代が進むにつれ場所特異的に、サブスク利用者の利用内容が同一のものになっていく。人がより良いと思うものとはみんなが利用するもの。収斂するのだ。
これによりその世界では他者との会話がどんどん減っていく。なぜなら同じものを食べ同じものを着、同じものを娯楽として消費するからだ。
会話とは他者との違いが情報共有の必要が喚起されることで起こるのである。同じものからは同じ体験が生まれそれを会話で共有する必要がなくなるのだ。
(中略)
主人公はある日自分だけのサブスクを見つける。
それは「空気」のサブスクだった。試しに登録してみると毎月透明の瓶が贈られてくるようになる。中には空気がもちろん入っているのだが、普通の空気との違いがわからない。お金だけが減り、全く意味がないサブスクなのだと主人公は気付く。
だが主人公はサブスクを止めなかった。無駄なことをする楽しさ、他者と違うという幸福を感じるようになっていたのだ。

事前登録で条件調整をするというのは、給料を変えることで応募人口を調整するということだ。みんなが商社で務めたら大変だ。

平等の恐ろしさとサブスクによる思考停止の恐怖を描く。

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