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恐ろしく酒が美味い夜

 飲みの場などでつぶれる人にはどれだけ酒を飲んでも語りつくせない闇がある。私の勝手な偏見ですが。


 仕事が、彼氏が、あるいは人生そのものが。毎回、何かしらの理由をつけてつぶれる友人がいた。誰にでも愛されるように振舞うのに、誰かしら嫌いな人が常にいる人だった。

 ある日、借りている家の更新料が払えなくなったという彼女は、彼氏との同棲を決め、東京を離れるという話をしてくれた。つい先月、1年同棲した人と別れた私にである。彼女はその日も、結婚を前提に彼氏の家に住み込みに行くような女とは思えないほど酔って、郵便受けが催促状でいっぱいの家まで私に連れて帰られた。

 その後、大量の催促状から逃げるように東京を離れていった。


 そんな彼女を思って、今夜は一人飲んでいる。彼女は幸せに暮らしているだろうか。彼氏に変に気を使って家事ばかりしていないだろうか。まだ、誰にでも好かれようとしているだろうか。もう、飲み仲間は見つかっただろうか。



 ああ、今晩は酒がうまい。月に数回やってくる、恐ろしく酒がうまい夜だ。自分でも驚くぐらいうまい。もしかしたら今日は潰れてしまうかもしれない。そんなことを思いながら一人酒を飲む。

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眠れない夜に

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