映画【Life With Music】
この映画、
ステージでは素顔を見せないことで有名なオーストラリアのシンガーソングライター、Siaさんの初監督作品です。
多少、ストーリーの説明もさせていただきます。
これから鑑賞される場合は、できれば読むのは後回しで‥^ ^
アルコール依存症のリハビリプログラムを受けながら孤独感の中で生きているズー。自分を変えたいと願いつつも、どうすればいいかがわからない。
そんな彼女に祖母の訃報を伝える一本の電話が。
家族とも疎遠になっていたズー。
ズーには半分だけ血の繋がったアスペルガー症候群の妹、ミュージックがいます。祖母が一人で彼女の世話をしていたため、妹が頼れる身内はズーただ一人になってしまったのです。
こうして始まったミュージックとの二人暮らし。
妹のことはそのうち施設に預ければいいと軽く考えていたズー。これまで自分のことだけを考えて生きてきた彼女にとって、誰かの朝食作りのために起こされる朝にはじまり、何もかもが初めての経験です。ミュージックとの意思疎通もままならず、癇癪が起きてもどうやって接すればいいかもわかりません。
そんなズーに手を差し伸べてくれたのが隣人のエボでした。似た経験を持つエボは、ズーの戸惑いも憤りもすべてを理解し優しく包み込んでくれる人でした。そんなエボもまた、ズーの強気で破天荒な振る舞いの奥に垣間見える繊細で優しい人柄に、これまで感じたことのない安らぎを覚えるのでした。
支えてくれるのはエボだけではありません。
ミュージックは祖母と暮らしていた時から、たくさんの町の人たちに見守られながら生活してきました。
ミュージックのルーティンである朝の散歩も、周りの人たちの見守りのおかげで、祖母は安心して孫を送り出すことができていたのです。
人と人との繋がり、支え合い、優しい眼差し。
それらが序盤から溢れんばかりに描かれていて、
思わず「現実の世はどうだろうか」と考えさせられました。
人に迷惑をかけないで生きることは立派かもしれません。けれど、人に迷惑をかけながら生きている自分を肯定し、そのぶん人から迷惑をかけられても愛を持って許し受け容れる。
そちらの世界のほうが幸せな気がするのは私だけでしょうか?
一見、順調かに見えたズーとミュージックの共同生活。しかし、どうしても真っ当に歩めないダメな自分が頭をもたげてきます。
エボとの関係にも暗雲が立ちこめ、やがてズーの情緒も不安定に。
ミュージックを施設に預ける決心をするズーでしたが、これまで二人で過ごした時間がズーの心に変化をもたらしていたのでした。
この映画の魅力、それはなんといってもミュージカルシーン。ミュージックの頭の中を映像化したようなものや、ズーの心の揺れを表したようなもの。
カラフルでポップで、それでいて深遠な言葉たち。なんといっても一緒に踊り出したくなる!
そんな楽曲の数々は、監督であるSia自身が映画のために書き下ろしたのだとか。納得!
どのキャストも魅力的なのですが、
とりわけミュージックを演じたマディジーグラーがたまらなくチャーミングで目が離せませんでした。
Siaの「シャンデリア」という楽曲のミュージックビデオに出演し、圧巻のダンスで一躍有名人の仲間入りをしたのが当時11歳のマディでした。
彼女を有名にした責任が自分にはあるとして、
Siaは公私共にマディをサポートし
「貴方が辞めたければいつでも辞めていい。普通の子にいつでも戻れる。」と言い続けていたんだとか。
Siaが惚れ込んだだけあって、マディが演じるミュージックはめちゃくちゃ魅力的でした。
人を愛するということ、
人から愛されるということ。
誰かを支えるということ、
支えられるということ。
相手を大切にするということ、
自分を大切にするということ。
何度失敗してもいい。
どれだけ自分を嫌になっても、きっとまたチャンスはある。
人を傷つけるのも人だけど、
傷ついた人を救い出せるのもまた、
人だということ。
そんなメッセージを、あなたもどうか受け取ってください!
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