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自閉症の子どもへのコミュニケーション指導〜「関係」を育て「暮らし」を支援する〜

通常学級においても特別な支援を要する児童と関わることはたくさんある。文部科学省の調査からも8.8%の児童が教育的支援を必要としていることが明らかになっている。また、これから特別支援学級における児童との関わりも増えてくるため、まずは青山先生の本を買って読むことにした。

特別支援教育は、どうしても「こういう特性が見られたら、この障害と言えますよ」「この障害にはこうやって対応するといいですよ」といった方法論としてのものが数多くある。こうやって特性に応じた対応がある程度決まっているからこそ、誰でも最低限の支援ができる部分があるし、必要なことだと感じている。

青山先生は講演を聞いていても原稿を読んでいても、そうした方法論だけではなく、子ども一人ひとりの個別のストーリーをいつも大切に追い続けているのが分かる。ストーリーを大切にしていく支援について学びたくて読み進めた。
本書においても、第1章、冒頭の部分で

相手の心境を思いつつ、相手へのことばを探って伝える。人を育てるということは、何かを教えるだけではない。その人の気持ちを支え、気持ちを引き上げていくことが必要である。

P11

と述べている。
知識や技能を伝達するだけではなく、相手が今、何を感じ考えているか、そうしたことを大切にしながら進めていくことが重要だと分かる。
これは子どもと向き合うこともそうだけれど、保護者や担任と話をするときにも同様のことが言える。
第2章には、児童とのエピソードが数多く書かれている。一人ひとりの困りにどのように寄り添っているのか、表層の出来事だけで判断をするのではなく、その奥にどのような子どもの願いや困りが隠れているのか、そうしたところに丁寧に目を向けて考えて支援に携わっていることがよく分かる。

自分の身体が上手にコントロールできない子、自分の気持ちを素直に表現することができない子、伝えたいことが伝えられない子、一人ひとりの想いや願いを丁寧に汲み取って関わっていける教師でいたいなと思う。

どの本を読んでいても、結局は「子ども個人にどれだけ真剣に向き合えるか」に尽きるのだと感じる。それは組織づくりにおいても、若手や自分の学校現場にどれだけ尽力できるかと似ているものがある。
そのために理解を広げたり、手段を得たり、見取る方法を工夫したり、少しずつ少しずつ日々模索し、変化しながら歩んでいくしかないんだろうな。



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