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猫の背中がむわい

猫は愛らしい
そして猫と同じくらい猫の背中は愛らしい

猫の背中の愛らしさは愛らしすぎて言葉では表すことができない

でも世の中に言葉では表すことができないことはたくさんあって

宇宙の広大さとか

好きなひとに会うときの嬉しさと気恥ずかしさがまざった気持ちとか

偉大な美術作品に込められた時を超えた思いとか

どれも言葉で表すことができない

じゃあ そういったものが猫の背中の愛らしさと一緒かというと全然違う
なので言葉では表すことができないと言っても猫の背中の愛らしさの何も語っていない
むしろ他のいろいろなものと暴力的に一緒にしてしまっている


誰も猫の背中の愛らしさに適切な名前をつけることができずに何千年の時が過ぎた

ソクラテスもピタゴラスも猫の背中の愛らしさに適切な名前をつけることができなかった
あんなに偉大だったのに

猫の専門家も世界好きの猫好きも今まで何の名前をつけることもしてこなかった ほんとうに猫のことを真剣に考えてきたのか

だいたい猫の背中というが猫の背中と人間の背中は全然違う

人間の背中は背中と腕が離れているけれども
猫は背中なのか腕なのかよくわからない
そしてその背中なのか腕なのかよくわからないところをなでているとたまらなく愛おしい気持ちになる

誰も名前をつけないのならわたしがつける

「むわい」にしよう

あの柔らかさは柔らかそうな語感じゃないとだめだ
なので「ぐごい」とか「こるい」とかだとしっくりこない

なので「むわい」にする

やわらかそうな語感なので文句も言われにくい

世界ではじめて猫の背中の愛らしさにわたしが名前をつけた
ノーベル賞ものだ

たぶん日本中、世界中の何千万人の猫を飼っているひとが毎日猫の背中を撫でながら「むわいなぁ」と思っていたのに
今までその言葉がなかったから表現ができなかった
でももう今日からは大丈夫

女子高生も「ちょーむわくない?」と言うだろうし
おじいちゃんも「このむわさは死んだ親のむわさそっくりだなあ」と言うだろう

「むわい」は商標登録をしたり特許をとったりしない

なので猫を飼っている方はご利用はいくらでも使ってください

今日も猫の背中がむわいなあ


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