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ワンオペ事務員②

社内地獄の始まりは

社内地獄の始まりというのは、ドジョウ鍋に似ていると思う。
最初はぬるま湯なのだが、気付けばもう煮立った湯になっており、逃げだそうにも逃げ出せずただただ煮詰まっていくだけ。

そういう風にしてわたしのワンオペ地獄も始まった。

前回、「前の事務員さんが用意してくれた引き継ぎ書の内容は引継ぎし終わった」というところまで書いたと思う。
彼女が作成してくれた引き継ぎ書はExcelでタブごとに仕入れ先の名前や仕入れ先の商品が記載されていて、

・メールで発注する会社
・メールに先方から提供された発注書(Excel)を添付して発注する会社
・電話、またはLINEで発注する必要がある会社

等、割と細かく書いてくれていた。

また、産廃処理会社のことやFAXの送り方、月に一度だけ社内の領収書送る税理士さんのページもあった。

わたしは今後「販売商品の発注をこなしながら、デザイン関係の仕事を中心にやっていくんだろう」と考えていた。(今更ながらですが、面接からいってもそういう内容で採用された認識でした)


それにしても気になるのは、他の事務員さんの姿が見えないことだった。
今のところわたし一人なのだということはわかっていたが、経理の人も広報兼雑務の人も一向に入社してこない。どうなっているのだろうと思いつつも日々は進む。毎日、前の事務員さんに教わったことをこなしながら、入社当時から事務所の体を成していなかった事務所の片づけも行った。

そして、まず最初に判明したのは、あり得ないことだった。


納品書を捨てている。

ん?
と「?」が頭に沢山浮かんだ方が大半だろう。
商品の仕入れをして販売をするような会社が、メーカーから納品された商品の「納品書」を保管せずに捨てていたのである。

あり得ない。

あちこちに散らばっている紙類をかき集めて分類するところから始めた。
わたしが入社する以前の納品書で残っているものは少なかったが、納品書専用のフラットファイルを用意してそこに納品書を月別で綴じ込んだ。

納品書を捨てている。

つまり、在庫数の把握も何もあったもんじゃない。ここにある商品はどういう管理をされているんだろうか。

とんでもないところに来てしまった・・・

入社一週間で後悔し始めるには十分な出来事だった。

しかし、これは冒頭で書いた通り「始まり」でしかなかったのである。


・・・つづく。

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