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#368 残業・長時間労働は成長を呼ぶという錯覚

昔は終身雇用が一般的で、一つの会社で長く働くことが善とされていました。その見返りとして、昇給やボーナスがたくさん支給される時代もありました。特に高度経済成長時代には、景気も企業も右肩上がりで、このような働き方が成立していたのです。しかし、現在の日本では、失われた20年と言われるように、景気回復が見られても当時のような待遇は期待できません。

その頃の働き方は、会社に認められることが重要で、多くの時間を仕事に費やし、上司や同僚に評価されることが求められていました。この時代には「残業・長時間労働をすることで人は成長する」という考え方が根付いていました。

確かに、残業をすればするほど年収や収入が増える時代がありました。残業代が多く支払われ、残業を重ねることで昇進の道が開かれる、そんな経験をした人も少なくありません。そうした人たちは、残業=成長と勘違いしてしまうのも無理はありません。
#失われた20年

飲食業界における現実


しかし、現代において残業を重ねることは「健康リスク」と「学習リスク」を高めるだけです。これは医学的にも指摘されている通り、長時間労働が健康に悪影響を及ぼし、学びの機会を奪うことは明白です。

僕たちの1日は24時間しかありません。その中で長時間を仕事に費やせば、自分の時間が削られ、新しい情報や知見に触れる時間がなくなります。これは自身の成長を止める原因となります。残業による達成感は確かにありますが、それが成長につながっているかどうかは全く別問題です。

飲食業界では、いまだに長時間労働やサービス残業が常態化しているところも多いです。僕も飲食業界で働いている中で、長時間労働の経験があります。初めて店を任された時、毎日長時間働き続けました。確かにその経験は貴重でしたが、ある時体調を崩し、それがきっかけで働き方を見直すことになりました。
#働きすぎて体調崩す

長時間働くことのリスク


健康リスク

長時間労働は心身に大きな負担をかけます。過労によるストレスは心臓病や高血圧、糖尿病などのリスクを高めるほか、精神的なストレスも増大し、うつ病や不安障害の原因となることがあります。特に、飲食業界では立ち仕事や重労働が多いため、身体的な負担も大きいです。

家庭や人間関係への影響

長時間労働が続くと、家族や友人との時間が減り、人間関係が疎遠になることがあります。家庭内でのコミュニケーション不足は、家庭内問題の原因となり、さらなるストレスを生むことがあります。

学習リスク

長時間労働により、自分の時間が削られると、新しいスキルや知識を習得する時間が取れなくなります。これにより、個人の成長が停滞し、長期的にはキャリアの発展にも影響を与えることがあります。

生産性の低下

疲れが溜まると、集中力や判断力が低下し、生産性が落ちることがあります。長時間働いても成果が上がらない場合、効率的な働き方を見直す必要があります。
#リスク

店のトップが長時間労働をすることの影響

スタッフへのプレッシャー

店のトップが長時間労働を常態化すると、他のスタッフも同じように働くことが期待されると感じることがあります。このプレッシャーはスタッフのストレスを増大させ、結果として健康や仕事の質に悪影響を与える可能性があります。

悪循環の形成

トップが長時間労働を続けることで、その行動が「模範」となり、他のスタッフも同様の働き方を取るようになることがあります。これにより、長時間労働が組織全体の文化として定着し、効率的な働き方やワークライフバランスが損なわれる悪循環が生まれます。

離職率の増加

長時間労働が常態化している職場では、スタッフの満足度が低下し、離職率が高くなる可能性があります。特に、若い世代はワークライフバランスを重視する傾向が強いため、過度な労働時間に対する不満が募りやすいです。

クリエイティビティの低下

長時間労働によりスタッフが疲弊すると、新しいアイデアや創造的なアプローチを生み出す余裕がなくなります。これは特に飲食業界において、新メニューの開発やサービス改善に悪影響を及ぼします。
#悪循環

長時間勤務が常態化する原因

社内文化と慣習

多くの企業や店舗では、長時間労働が「頑張っている証」として評価される文化が根強く残っています。この文化が変わらない限り、スタッフは長時間働くことが期待されると感じるでしょう。

労働力不足

特に飲食業界では、慢性的な労働力不足が原因で、一人当たりの仕事量が増え、結果として長時間労働が常態化することがあります。人手不足が解消されない限り、この状況は改善されにくいです。

効率の悪い業務プロセス

業務の進行が非効率であれば、自然と労働時間が長くなります。業務フローの見直しや効率化が行われないと、長時間労働は続くでしょう。

トップダウンの圧力

経営者や管理職が長時間労働をしていると、それがスタッフに対して無言のプレッシャーとなり、同様に長時間働くことを期待される雰囲気が醸成されます。

適切なマネジメントの欠如

効果的なマネジメントが行われないと、業務の優先順位付けが不適切になり、結果として長時間労働が必要になることがあります。適切なタスク管理や時間管理が欠如している場合も同様です。
#俺頑張ってるアピールはやめよか

店のトップの責任とアクション

長時間労働の是正

もういい加減、長時間労働やサービス残業を常態化させるのはやめるべきです。お店のトップがまず認識しなければならないのは、長時間労働やサービス残業をスタッフに強制してはいけないということです。これを「当たり前」と思わせてはいけません。むしろ、効率的な働き方を奨励し、スタッフが健康的に働ける環境を整えることがトップの責任です。

効率的な働き方の推進

無駄な作業を削減し、業務フローを見直すことで、労働時間を短縮しつつ生産性を向上させることが可能です。例えば、業務の見直しや優先順位の設定を工夫することで、効率的に仕事を進めることができます。

実践例

タスクの優先順位付け:日々の業務を重要度と緊急度で分類し、最も重要なタスクから取り組むことで、時間を有効に使います。

デジタルツールの活用:プロジェクト管理ツールや時間管理アプリを活用して、効率的にタスクを管理します。

ミーティングの効率化:無駄なミーティングを減らし、必要なミーティングも短時間で終わらせるよう工夫します。

定期的な自己評価 : 自身の働き方や時間の使い方を定期的に見直し、必要に応じて改善策を講じることが重要です。例えば、月に一度、自分の働き方を振り返り、無駄な時間や作業を見つけて改善する習慣をつけることが効果的です。
#リーダーの責任

まとめ

長時間労働や残業が成長を呼ぶという考え方は、過去の遺産です。現代では効率的な働き方とバランスの取れた生活が重視されています。特に店のトップは、スタッフに長時間労働やサービス残業を強いることなく、効率的で健康的な労働環境を提供する責任があります。もういい加減、そんな状態はやめるべきです。自分自身の時間を大切にし、新しい知識やスキルを身につけることで、真の成長を遂げることができます。定期的に自身の働き方を見直し、健康と学習のバランスを保つことが、これからのキャリアにとって最善の選択となると思います。
#飲食の未来

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