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“何が起こるか・・・待ってみようじゃん?”_”The Thing”(1982)

目に余る怪物の恐ろしさより、目に余る南極の男臭さ。怪物にとっては目障りなのか、みんな、喰われる。

言わずもがな、身の毛も凍る、ホラー映画の金字塔。舞台が極寒の南極、閉鎖された空間に忍び込んだ異形の恐怖は、今なお見るものを圧倒する。
「何かが起こる気配」気分だけで全編プッシュしたのは正解だろう。油断すると、暑苦しい男臭さばかりが顔を出す。図体は立派な大の大人ばかりが、怪物たちの前に為すすべもなく一人また一人とやられていくのが面白い。


ネタバレしてしまえば、
男たちの友情はもろくも崩れ、最後には互いに互いを疑い合う「ふたり」だけが残される。その最後の会話から。

[last lines]
Childs: Fire's got the temperature up all over the camp. Won't last long though.
MacReady: Neither will we.
Childs: How will we make it?
MacReady: Maybe we shouldn't.
Childs: If you're worried about me...
MacReady: If we've got any surprises for each other, I don't think we're in much shape to do anything about it.
Childs: Well, what do we do?
MacReady: Why don't we just... wait here for a little while... see what happens?
https://www.imdb.com/title/tt0084787/quotes/?ref_=tt_trv_qu

信頼感に溢れたチームは崩壊し、相手の正体を見極めようと覗き込む(しかしその正体は分からないだろう)疑心暗鬼の二人だけが残される、皮肉。
友情や連帯や勇気を自負する男性にとって、これほど屈辱的で、これほど恐ろしい結末はないだろう。

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