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映画の名セリフ、、引いてみた。

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甘い言葉がある。辛い言葉がある。英語だとわかるニュアンス、日本語の方が腑に落ちやすいフレーズもある。 そんな映画の英語の名セリフを、拙訳と共に引いてみる。 目標は和田誠の「お楽し…
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2023年10月の記事一覧

「君は子供みたいに振舞うんだね。」「…イイ男ってのは子供心をいつまでも忘れないものさ!」_YEAR OF THE DRAGON(1985)

ベトナム帰還兵でもあるスタンリー・ホワイト警部(ミッキー・ローク)が、チャイナタウンに転属することになった。チャイナタウンに巣食うチャイニーズ・マフィアを壊滅するために若きボス・ジョーイ・タイ(ジョン・ローン)を追いつめていく。ジョーイ・タイもホワイトの妻を殺害し報復。暴力の応酬はとどまることなく…。 以上、あらすじからして、「ランボー」同様ベトナム・ベテランがベトナムで味わった挫折、失われた自己肯定感を、他所の野蛮人の土地で正義のヒーローとして暴れる中で取り戻す「汚名返上」

"惨めでも疲れ果ててもいないのだな、私の若いころと違って。"_"Breaking Away"

日本では「ヤング・ゼネレーション」という絶妙にダサい邦題で公開された1979年のアメリカ映画「Breaking Away」より。インディアナ大学の学生たちが自転車競技に情熱を燃やす姿を描いている。監督は「ブリット」で当時絶頂のスティーブ・マックイーンを主役に、ロケ撮影で映画史上最高と言われるカーアクションを演出したピーター・イェーツ。 ピクサーの「カーズ」原語版において1942年型ウィリスMB、退役軍車のサージ役を演じたポール・ドゥーリイが、仕事に家庭にもほとほと疲れ果てた

「まさか…お父さんが我が子の前でハダカになって踊るというのかい?」「天に誓って、そうだよ。」_『The Full Monty』(1997)

メジャーどころの映画であれば「イエスタデイ」のジョン・レノン役、または「007 ワールド・イズ・ノット・イナフ」の敵テロリスト役で見る者に強い印象を残した男優ロバート・カーライルは1961年4月14日、スコットランドのグラスゴー生まれ。 グラスゴーの演劇青年だった彼は、ケン・ローチ監督の『リフ・ラフ』で建築作業現場ではたらくナイーブな好青年、スティーヴを演じて注目された。以来、90年代を通じ、職人肌の監督たち(アントニア・バード、マイケル・ウィンターボトム、ダニー・ボイル)の

「大人はなんでも知ってるんだ、子供は口出しするんじゃない!」_『Suburbicon』(2017)

2017年に公開されたアメリカのクライム・コメディ映画、ジョージ・クルーニーが監督、マット・デイモン、ジュリアン・ムーア、オスカー・アイザックなどが出演した『Suburbicon』(邦題「サバ―ビコン 仮面を被った町」)より。 と映画冒頭でナレーションされるように、物語は1950年代のアメリカの郊外、サバービコンという平和な新興住宅街で展開される。 サバ―ビコンは白人の中流階級の家族が住む理想的な場所とされ、ガードナー・ロッジ(マット・デイモン)は下半身不随の妻ローズ(ジュ

「ほんとの話だったの!?」「ほんとの話だったさ!」_『Secondhand Lions』(2003)

映画「シックス・センス」は、フィラデルフィアの小児精神科医であるマルコム・クロウ(ブルース・ウィリス)が、9歳の少年コール・セアー(ヘイリー・ジョエル・オスメント)の治療を受け持つところから始まった。コール少年は、死者と対話できる能力のために、心がすっかりねじくれてしまっている。 いまとなっては手垢がついてしまった衝撃の結末を除いて観ると、「シックス・センス」本編は、極めて真っ当な「グッド・ウィル・ハンティング」や「いまを生きる」の系譜、90年代好みの「大人が子供を導く映画」

"マイケル・サリヴァンの人となりを尋ねられたら、いつもこう答える、「私の父親だった」と。"『Road to Perdition』

2002年に公開されたトム・ハンクス主演の壮絶なマフィア・アクション映画『Road to Perdition』(邦題:「ロード・トゥ・パーディション」)より。 監督・製作はサム・メンデス、音楽はトーマス・ニューマン、撮影はコンラッド・L・ホールと、通好みのスタッフ勢ぞろい。 冒頭、雪が降りしきる中、少年が静かに町の中を駆けていく、色調を押さえたカメラで切り取られたシーンだけで、この映画を見て正解だと感じさせてくれる。 舞台は1931年のアメリカ、禁酒法時代のシカゴ。主人公マ

「ベンジャミン・フランクリンが今日生きていたら、凧あげの資格を有してないと、牢獄に放り込まれたでしょうね!」_"Tucker: The Man and His Dream"(1988)

「Winny」みたいな映画が見たければどうぞ、あるいは「Winny」じゃ物足りない方におススメの一作: 1988年に公開されたアメリカの伝記映画で、映画監督フランシス・フォード・コッポラが監督し、ジェフ・ブリッジスが主演した作品「タッカー(原題:Tucker: The Man and His Dream)」より。 映画は1940年代のアメリカを舞台に、実在の自動車製造業者プレストン・タッカー(ジェフ・ブリッジス)が彼の自動車メーカー「タッカー・カー・コーポレーション」を設立

「ヒトは求めてならないのだ、自分が自分である理由を!」スポックが昂らせて語る「Star Trek: The Motion Picture」(1979)

「スター・トレック」第1シリーズのThe Original Series(以下、TOSと略す)は、 というオープニングのナレーションに、そのコンセプトが端的にあらわされた1話完結型のSFドラマ。 西暦2263年に地球を旅立ち、5年間の深宇宙探査に赴いたエンタープライズ号。異星人との対外折衝に艦内のドラマ、中でも冒険家で型破りなカーク船長、論理を重んじ感情を示さない副長のスポック、人情味あふれる医師のマッコイの3人が織り成す人間模様が最大の魅力といっても過言ではない。 さて