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「好き」は魔法の杖  母として 地域の大人として 今 伝えたいこと

今回登場するのは、今、大活躍中!のチームにいがたを支える副リーダー「えんさん」こと、清水恵美さんです。試行錯誤をしていたえんさんが、ある衝撃的な体験をきっかけに、たどり着いた想いとは?

わくわくして動き出さずにはいられない原動力「わくわくエンジン®」を持って活動している方たちを紹介する連載「わくわくエンジン図鑑」。
認定NPO法人キーパーソン21がお届けします。

【図鑑No.31】
お名前
 
清水 恵美(えんさん)
お仕事 
お母さん、PTA役員として
子どもたちに体験して欲しいと感じたものを先生に提案し、子どもたちが学校生活の中で、大人に見守られながら安心して経験を積んでいけるように活動すること
わくわくエンジン
最初:子どもたち自身のわくわく発見のお手伝いをすること
最新:良いところを組み合わせて、楽になるようにみんなを巻き込んで、みんなでレベルアップすること

忘れられない、ある朝の体験

私は東京で生まれ、結婚を機に仕事を辞め、新潟に引っ越しました。初めての土地で、子育て主体の生活が始まり、これまでの生活とは一変。ママ友との情報交換のやり方や地域とのつながり方を模索していました。

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そんな中、長女が小学校低学年の頃のこと。

朝、マンションの敷地内で人が倒れているのを見つけたのです。それは、同じマンションに住む高校生の男の子が、飛び降りて自ら命を絶った現場でした。うっすらと明るくなる中、まだブルーシートもかけられていない男の子の姿、そばで崩れ落ちる母親…

ショックでした。

その場に居合わせて、男の子は「助けて」と誰にも言えなかったのだろうか、「あなたの世界はもっと広くて、活躍するステージはどこにでもあるんだよ」と伝えてくれる大人はいなかったのだろうかと考えました。そしてこの先、娘が悩んだ時に、はたして自分は母として寄りそえるだろうか、子どもは自分に話をしてくれるだろうか…。

思えば、地域には小さい子どもの居場所や遊び場はあるけれど、中高生の居場所はないということにも疑問を持ち始めました。また、学校も中学生のことは大人として扱い始め、小学生ほどの手厚いケアはなくなり、中学生はどこで相談するのだろう?どこで大人との接点を持っているのだろうと気になりました。

私はもともと、保健室の先生になりたかったんです。自分は感情移入をしすぎなタイプなので、向いていないかなと思ってあきらめたのですが、でも、子どもたちの居場所のことを放っておいてはいけない、自分にできることはないかという想いも強く、情に流されすぎずに子どもたちと接することができる方法を模索していました。

「好き」は魔法の杖

どんな関わり方をすれば、人との繋がりを楽しく、自分の人生も楽しくできるだろうかと、コーチングやアドラー心理学、対話ルール等、様々な情報を集めて学びました。そして、コーチング講座でのご縁をきっかけに関心を持ったのが、キーパーソン21の活動でした。

第三の大人が関われるという点に特に興味をひかれ、講座に参加してみてびっくり!たった2時間のワークで自分の「好き」の源である「わくわくエンジン」を発見できる!「すきなものビンゴ」のプログラムはなんて素敵なんだろうと感動しました。

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何しろ「好き」は自分発なので、「好き」を見つけたら、その先につながる助言をしてくれる人は必要かもしれないけれど、自分の進路に指導者がいなくても進んでいける。「好き」を見つけようと自分自身と対話をすることで、自分を大切にすることができるし、受け身にならないので自分の人生に責任が持て、困難を乗り越える力もわく。

「好き」は、魔法の杖みたいだと思いました。

「すきなものビンゴ」の講座に参加して、飛び降りの現場を見て以来ずっと続いていた「めまい」もおさまりました。それだけ、プログラムの可能性を感じたからなのだと思います。

学校導入の高かった壁。突破口は娘の受検!

「すきなものビンゴ」のプログラムをぜひとも広げたいと思い、地域のボランティアに参加したり、PTA活動に参加したりと行動に移したのですが、学校への導入はたやすくは実現しませんでした。ある学校では、校長先生は賛同くださったものの、現場の先生から余計な手は入れたくないとの反対意見が出たり、またある学校では負担がかかりすぎるとお断りされたり。「子どもたちが将来やってみたい職業として、自分たち教員が知らない職業を言われたときの対応に困る」という声もありました。

そんな中、娘が受検を希望していた中等教育学校のオープンスクールに参加した時のこと。
娘の質問の機会に乗じて、上野校長先生に思いきって「キーパーソン21の者なのですが」と声をかけてみたのです。
すると「教育新聞で見ました」との嬉しい反応が!

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総合学習の時間での導入を検討しようということになり、すぐに教頭先生を呼んでくださいました。この取り組みをきっかけに、私はこの中等教育学校のPTA役員として現在まで関わることになりました。上野校長先生は、子どもたちが興味のある分野でお仕事をされている大人と繋げてお話をする場を用意してくださる素敵な方です。キーパーソン21の想いに通じるものがあると思います。こんな素敵な校長先生がいらっしゃる新潟中に活動をさらに広げていければと考えています。

家族で「好き」を言い合い、嬉しい変化が!

我が家では、「すきなものビンゴ」に家族でも何度か取り組んでいます。
お互いの「好き」を言い合い、さらけ出すことで、自分やお互いへの理解も深まり、家族の言動にも変化が表れています。

例えば、長女の場合
以前のわくわくエンジン「みんなで一緒に楽しむ」から「新しい発見に対するわくわくをみんなで共有したい」に深まっています。それが表れたと感じるのは、コロナ禍での中等教育学校の文芸会です。クラス単位で15分の動画をオンライン上で作り発表したのですが、その際も総監督に立候補。初の試みでしたが、仲間と一緒にトラブルを乗り越え、作品を作り上げることができました。

次女は
以前はお姉ちゃんのマネばかりして、負ける試合はしないタイプでした。
でも、ある時、学習参観日にめずらしく手を挙げたのです。そして先生に当てられると、「忘れました!」実は、答えはわからないけれど、当たるか当たらないかドキドキしながら手を挙げてみよう、という彼女なりのチャレンジだったようです。そして、だんだんと「私はこれをやってみようと思う」と自分から言うように変わっていきました。次女の最近のわくわくエンジンは「自分と気持ちを大事にする」です。きっと、まわりの反応などを気にしすぎることなく、自分の気持ちのままに行動できるようになったのだと思います。

変化があったのは、子どもだけではありません。

夫は薬剤師なのですが、「すきなものビンゴ」を通して、自分がなぜこの仕事を選んだのか、がピンときた!そうです。これまでは、人と話すのは得意ではないと思っていたけれど、薬剤師として人にわかりやすく説明するというところにやりがいを感じていたのです。

また、お互いの思いから刺激を受けることもあります。

例えば、私の「アップデートしていきたい」という思いを伝えたところ、夫も「自分もスキルアップしたい」と共感してくれたり。
「すきなものビンゴ」は、1回受けて終わりではなく、取り組むたびに新しい発見があるのも魅力だと思います。

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いろんな敷居を取り払って希望を次の世代につなげたい!

私が最近見つけたわくわくエンジンは、「良いところを組み合わせて、楽になるようにみんなを巻き込んで、みんなでレベルアップすること」です。
私が考える「楽」は、わかりやすくて、誰でもすぐ参加できて、敷居の低い状態なのだと思います。

そして「すきなものビンゴ」は、まさにこれを体現するプログラムだと思っています。大人も子どもも明るく楽しく、重くならずに参加できる。このプログラムをこれから色々な方たちとやっていきたい。例えば、同じ年齢の子どもたちが集まる学校に限らず、異年齢の生徒が集まる支援学級、また通学せず通信制で学んでいる子どもたち、そして、就活を控えた大学生や、自分のキャリアに悩んでいる大人たちも。仕事を探しに来た大人たちに、まずビンゴをしてみましょうと明るく呼びかけてみる。

自分のわくわくエンジンを見つけることで、大人も子どもも勇気が出るんじゃないかなと思うのです。

自分の人生の主体は自分。
人の評価の中で生きているとブレて悩みも生まれるけれど、わくわくエンジンをもとに自分で決めれば、自分の人生に責任が持てて、やる気が起きる。

スランプ時でもダメージや挫折した時でも、人生を前進させるパワーが持てる。これからどんどん進化、変化していく時代の中でも、自分の人生を進めていけるのではないかと思うのです。自分のわくわくエンジンさえわかっていれば大丈夫!この希望を次の世代にぜひ繋いでいきたいです。

私の目標は、「たんけんぼくのまち」のチョーさんです。地域に根づき、子どもたちの視野や知識を楽しく広げ、親しまれる人。そんな魅力ある人を目指していきたいです。

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あとがき
「みんなを巻き込んで」というわくわくエンジンの通り、家族を巻き込み、新潟内でも着実にわくわくエンジンの輪を広げているえんさん。お話を伺っている最中にも、画面越しに、えんさんの思いの温かさと強さが伝わってきて、私も、すっかり前向きな気持ちに押し上げてもらっていました。えんさんの巻き込みパワー、本当にすごい!

(ライター:ずーみん)


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