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ドラッグストア・ボーイ【コラム】

 NANJAMANの歌【GANGSTA 893 -AK47 MIX-】にはこうある。

 パッと見 のん気な 日本やけれど ちゃんといるとこいるんやヤクザもん
 パッと見 平和な 日本やけれど ちゃんといるとこいるんや極道もん

 そう、この国には反社会的勢力、あるいは妄信的な愛国者のはみ出しものである“極道”がいる。それは沖縄でも変わらない。沖縄はいま旭琉会の一枚岩だが、それには属さない輩も多くいる。旭琉会について言及するのはやめておこう。ぼくだって命は惜しい。

 さて、ぼくはヒップホップやレゲエなど反骨精神を持つ音楽が好きだ。歌とは祈りであり(もっと沖縄の文化的な記事のときに話そう)嘆きでもあり、メッセージである。言いたいことがあるとき、それが何かしらによってはばかられるとき、ひとは言葉に言霊を込め歌にする。ではヒップホップやレゲエが歌うおおよそのテーマはなにか、それは【解放】である。国家権力からの解放。あるいは超自然的な現象に回帰するべくしての解放。つまり、アフリカから労働力としてアメリカ、ジャマイカに渡った黒人奴隷農場からの【脱出】の手段である。
 その中でも多く歌われるのが警察への反抗だ。国家権力の名のもとに、虎の威をかるキツネ。いや、犬が、醜い豚のように丸々太った法律が、「射殺しても立件にいたらない殺人」を平然とのさばらせているのである。特に今、ブラック・パンサー党、マルコムXやパブリック・エネミー(キング牧師は偉大だがこのくくりには入らないだろう)が隆盛をふるっていたときのように、黒人の命が白人の警察官によって奪われる痛ましい事件が起きた。覚えているひとも多いだろう。【ジョージ・フロイドの死】である。これは、SNSの発展により、未だアメリカのゲットーでは黒人差別が根付いていることを示す結果となった。有色人種が差別されることは、この国ではあまりないが世界ではまだまだ根深い。この短い動画にこころを痛め、賛同するひとびとによって、命の平等を問う【ブラック・ライヴズ・マター】へと展開していく。【ブラック・イズ・ビューティフル】、【パワー・トゥ・ザ・ピーポー】、【陽気なジェンキンス】を思い出させる、大きなムーブメントであり政治へのアクションだ。ぼくはこれを支持する。

 なぜぼくがここまで警官を挑発したのか、訳はもちろんある。それは世界を牛耳る米軍が、ナンジャマンの言うように、「世界の警察」と呼ばれている点にある。
 米軍が警察ならば、米軍の駐留するこの島はさながらフェンスの内外が逆になった、「自由の利く」収容所のようだ。そんな島で暮らして、ぼくは9.11を、そしてイラク戦争へ向かうアメリカをフェンスのこちら側から見てきた。それは、あまりにも暴力的で稚拙な、「復讐」という名の「侵略」であった。どう戦争ができるように法律や常識が怒りによってすり変わっていったかを知りたい方はアメリカが戦争にまで向かう様子を皮肉ったアーロン・マッグルーダーのコミックス、【ブッシュが最も恐れた小学生 ブーン・ドッグス】を読むと面白いだろう。とにかくアメリカが戦争中は大変だった。彼らは爆音を伴う悲痛な叫びをあげながら空を支配し、意図せずともこの街を汚した。北谷町砂辺の防波堤には【R.I.P】(安らかに眠れ)を頭文字にひとの名前が連なった。悲しみの連鎖は、繋がれたチェーンのようにぼくらを拘束し、牢屋に押し込めた。暗い日々だった。
 
 米軍が残した功罪とはアメリカの文化を持ち込んだことである。それは甘美なものばかりだった。ジャズにハリウッド。ガムにキャンディ。アイスクリーム。ラッキーストライク。etc。そして、米軍下がりのアメリカン・ギャングスタだ。
 米兵として沖縄に着任したが、様々な理由(主に金銭的な)で本国に帰れなくなってしまったアメリカ人だ。こういった人材に関しては、沖縄は日本の中でも抜きんでている。というひともいれば、東京のほうが危ない。というひともいる。意見は多々あり。その全体像をつかめていないのが実際だろう。基地の中は治外法権。何が起きているかは日本もアメリカも、ましてや沖縄でさえも覗きえない。
 一度、源氏名(ストリート・ネーム)が“飛んだ目のディビット”という黒人と話したことがある。メキシコ産のサティバ、と呼ばれる品種の大麻をさばいている、ドラッグ・ディーラー。いわゆる薬の売人だ。彼らは1オンス辺り1,400ドルでさばいている。1オンス28、41gであるから、1gあたり5,000円というわけだ。これはこの島ではアベレージだろう。どこからきた?と聞くとアメリカだという。今アメリカは急速なマリファナ合法の過渡期にある。需要があれば供給は動く。だから、荷物の中に紛れ込ませているのさ。彼は言う。マリファナについては、医療用、嗜好用といろいろあるし意見も分かれている。ぼくはここでは私見を述べることは避けさせていただく。ちなみに米軍基地内はアメリカ合衆国カリフォルニア州に相当するため、コカインなども流行っているらしい。これに関し、軍医療関係者は「我々はハードドラッグの蔓延の抑制と兵士の心身の健康のためにいるのであって、大麻の所持、利用は重要ではない」と匿名で見解を地元紙に寄せていた。そう、これが世界の警察の実態である。

 近所のジャマイカ料理屋に行き、マリファナを吸ってカレーを食べていると、旅行者に一服させてくれと言われることがある。なあに、ここまでこればおかしなことじゃないさ。

 最近になって流行っているネタは、インディカだったりする。インディカとはその名の通りインド原産のマリファナだ。これは沖縄に古くからいる。大陸系、中華マフィア。いわゆるチャイニーズマフィアが流している。古くからのルートということもあり大本がしっかりしているようで、ネタについてのばらつきや、価格の変動もあまりないように見られる。1gだいたい5,000~4,500円といったところか。ネタの多くはパケ(ジップつきの小さなポリ袋)ではなく、ブラント(葉巻の巻紙で巻いたネタ)を1本、2,500円とかで売られていることが多い。しかし、中国本土の大都市でドラッグの類が禁止なのに相まってか、彼らは閉鎖的でよそ者を好まない。マジック・マッシュルームなども流れてくる。昔、某雑貨店(ヴィレッジヴァンガード風の)で不通にラッシュなどと売られていた。
 
 さて、日本のヤクザものはどうかというと、あまりペラペラ喋るのも危ないので簡潔に言うが、ある。しかし、ぼくは針を悲劇的だと思うので針を使うブツは嫌いだ。

 ここまでオキナワの現在のドラッグストアを紹介したが、ネットのある時代、どこにいたって葉っぱから氷まで手には入る。時には息抜きに、時には闘うためにそれらを利用して生き延びようとすることは、良しとしよう。他人に迷惑をかけなければ。だが、ブラック・パンサーの崩壊と同じで、標的にされるのは武器ではなく、メッセージである。
 白人至上主義社会の転覆。あるいは白人至上主義に傾倒するひとの失墜を狙い引き金を引けば、それははじまりを意味する。ひとびとの考えを、意識を変えようとメッセージを発信すれば、ネットの発展目覚ましい社会、そいつがどこのだれかはすぐに割れる。大事なのは、仲間であり、口を割らないことだ。行動で示す。道を後ろにつくる。それができれば警察などの国家権力の犬も追ってこれない高みにいける。

ルールをつくろう。
1、 自ら節制し、道を見極める
2、 言葉の管理をしっかりする
3、 信頼できる仲間を持つ
4、 異性には気をつける
5、 金があるときは親兄弟でも気をつける

 若者たちへ言おう。容姿に惑わされず。賢い人間と付き合おう。


ドラッグストア・ルードボーイ 終

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