Asha Wakugami

小説家。ラッパー。DJ。普天間BASE。1.5階のアジト。TUFF CONNECTION、EXPEL KALTAL所属。日々の想いごとをつぶやきます。SNS界隈弱いので、おてやわらかにおねがいいたします。どなたでもフォローしてください。フォロバします。すべての武器を楽器に。

Asha Wakugami

小説家。ラッパー。DJ。普天間BASE。1.5階のアジト。TUFF CONNECTION、EXPEL KALTAL所属。日々の想いごとをつぶやきます。SNS界隈弱いので、おてやわらかにおねがいいたします。どなたでもフォローしてください。フォロバします。すべての武器を楽器に。

マガジン

  • 青い炎【小説】

    沖縄のちいさな離島でくらす、西東かつき。鬼の系譜と、島の未来。守りたい海の行方は。青春小説。

  • ラジオ【GINON LAB】アーカイブ

    沖縄のFMラジオ、FMぎのわん79.7でフティーマ団 いすのき支部がお送りする愉快な番組【GINON LAB】の過去放送したラジオのアーカイブ。ラジオ好きなひとも、ヒマつぶしなどにも、ぜひ!

  • 路傍の一円

    路傍に落ちている一円をひろうのは、ちょっとめんどくさい。わざわざしゃがんで、手をのばさないといけない。しかし、それには一円の価値がある。なら、自分から発せられるものはどうだろう。わざわざ最初から最後まで味わって、最低単位はもらえるのだろうか?自分の価値とは?といった問答をするマガジン。

  • 雑記。

    アシャ的日記。日々の罵詈雑言と、想いごと、ときどき猫。

  • アコークロー【エッセイ】

    ぼくの過去の思い出たちです。

最近の記事

青い炎【小説】第十二話

 顔になにかが当たる感触でかつきは起きる。すると、みんな起きていた。最近こんなことばっかだ、と思い、かつきは立ちあがる。あまりの暑さに、めまいがした。まだ残っていたお茶をのんで、海で顔を洗う。そして、小雨が降っているのに気づく。 「お前らー! 不法侵入だ! 今すぐ取り押さえるぞ!」  辰実ががなっている。横には高そうなスーツを着た男。なんとなくそのインテリな雰囲気に、かつきは嫌な感じを覚えた。参護がタバコを携帯灰皿に捨て、一歩近づく。 「この土地は島民のものでしょう?」 「今

マガジン

  • 青い炎【小説】
    11本
  • ラジオ【GINON LAB】アーカイブ
    26本
  • 路傍の一円
    3本
  • 雑記。
    4本
  • アコークロー【エッセイ】
    4本
  • レモネード【小説】完結
    9本

記事

    青い炎【小説】第十一話

     夜。参護はポンピングでつけた火に木をくべ、たき火をはじめた。工事の関係者は何度か文句を言いに来たが、参護の話す、嘘か本当かわからない話にたじろぎ、半ばあきらめつつ遠巻きに監視していた。 「いやー、島バナナがあってよかった。森さんのおにぎりだけだったらもうギブアップだったぜ」  今日一日で、かつきは参護に抱いていた「ヒーロー感」が薄れがっくりきたのと同時に、彼も同じ人間であり、親しめる部分があることに安堵している自分もいた。 「金星がきれいだなー」 「参護にーにー、金星とかわ

    青い炎【小説】第十一話

    青い炎【小説】第十話

     移設予定地のゲート前で、反対派と役所の人間がいきりたっている。一触即発の雰囲気の中、参護は広夢とかつき、あや子に目をつけた。 「広夢。偶然とはいえ、このふたりを出会わせるなんて、お前ってほんとにすげーよな」  いやーと照れている広夢含む三人を連れて、参護は灯台のほうにむかった。 「なるほどなー。武力は的になる。か。さすがヨシさんらしいや」 「でも力の差があったらそうはならないんじゃない?」  広夢が問う。すると参護は背中を向けたまま話し出した。 「たとえば、自分の隣人がナイ

    青い炎【小説】第十話

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    GINON LAB#30#ものづくり

    記念すべき第30回!なおきちくんとものづくりについて話したかったのですが、ちゃんと告知をしなくてはいけないプレッシャーで、わちゃわちゃしちゃいました!反省。

    GINON LAB#30#ものづくり

    再生

    21時から!

    21時から!

    青い炎【小説】第九話

    ――なんだ?  かつきが目を覚ますと、軒先がうるさい。かつきはふすまをすこし開けて、のぞき見た。たくさんのひとの殺気立った怒声に、ヨシはピンとのびた背筋で自身を釈明するわけでもなく、かつきの父親に責任を押しつけるわけでもなく、ただ、かつきに背中を見せていた。 「そうまでして金がほしいのか!」  男の的外れなひと言に、かつきは飛び出した。 「お前ら!」 「かつき!」  それはちいさな老婆からはなたれたとは思えない輪郭をした声だった。かつきは驚きのあまり、固まる。 「支度して学校

    青い炎【小説】第九話

    昨日こころがしんどすぎて、変な投稿しました。すいませんでした。

    昨日こころがしんどすぎて、変な投稿しました。すいませんでした。

    屋台はじめます【雑記】

    SUZURIを使ってみようと思い、自著「風の棲む丘」のスマホケースをつくってみました。TUFF CONNECTIONのメンバーの作品も、これからどしどしつくっていきます。よろしくお願いします。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書籍ではぼくの本職でもある小説家としての一面が見れます。沖縄県内書店では沖縄県産本コーナーにて。内地のかたは全国の本屋さんで取り寄せが可能で、ネットでもお買い上げいただけます。【湧上アシャ】で検索してください。 ブルー・ノー

    屋台はじめます【雑記】

    青い炎【小説】第八話

     かつきの人生が大きく動き始めて四日目の夜。かつきの家に、一本の電話がはいった。ドアがノックされる。 「はーい」 「かつきちゃん? はいるね」 香織だった。ベッドの上で、灰谷健次郎の「兎の眼」を読んでいたかつきはゆっくり起き上がった。香織は受話器を持っている。 「だれ?」 「辰実さん」  普段、自分たちには興味のない父親からの電話に、かつきは面倒にならなければいいけど、と思いながら出た。 「なに?」 「なに? じゃねえよ。そっちは大丈夫か?」 「直撃は明日だからね」 「明後日

    青い炎【小説】第八話

    青い炎【小説】第七話

     次の日。これといったこともなく、その日の授業は終わりを告げようとしていた。台風前日。空は黒く、土砂降りではないが雨がふっている。風も強く、窓がカタカタ揺れていた。 「じゃあ、今日は終わり。あー、かつき、あとから生徒指導室にくるように」  広夢とあや子はかつきを見た。かつきも面食らっている。昨日は無事にエサをゴンドウにやってすぐに帰った。おとがめだろうか。かつきは担任が先に教室を出ると、ふたりに両手をあげて首をかしげてみせた。 「失礼します」 「おう。まあ、かけろ」  タバコ

    青い炎【小説】第七話

    青い炎【小説】第六話

     かつきが目を覚ます。そこはヨシの部屋だった。ようやく昨日のことを思い出す。広夢に言われたからではないが、すこし横になろうとして、疲れからすっかり眠ってしまっていたのだ。となりではヨシが静かに寝息をたてている。かつきはそっと部屋を出た。 「おはよう。かつきちゃん」 「おはようございます。シャワー、浴びますね」  朝食をつくっている香織の横をすりぬけ、昨日風呂に入っていなかったかつきは、朝シャンしようと浴室へむかった。  洗面所で着替えていると、鏡に自分が映った背中を見る。もち

    青い炎【小説】第六話

    青い炎【小説】第五話

     三人は、夕日が落ちるまで話しこんだ。 「渋谷は怖いところだって教えられてたの」 あや子の東京の話は、ふたりには夢のような世界で、都会の暮らしぶりは想像に堪えなかった。 「海には海の呼吸があるんだ」 一方で広夢のする海の話は、広夢の話しぶりもあるが、あや子にはおもしろくて、笑いが止まらなかった。そんな中、かつきは迷っていた。昨日のことを話すかどうかを。すると、広夢のほうから切り出した。 「かつき。悩みはためこむとよくないぜ」  その言葉に、かつきはポツリ、ポツリと話しはじめた

    青い炎【小説】第五話

    青い炎【小説】第四話

     朝の登校中。かつきは違和感を覚えていた。いつも親し気に話しかけてくる惣菜屋のおばちゃんのよそよそしさや、逆に普段なにも会話しない漁師からの「おはよう」まですべてに勘繰りをしてしまい、うつろなまま学校についた。校門を入ると、小学生が遊んでいる。入口の時計を見る。午前八時前。予鈴がなる。まだ中学生クラスの登校する時間ではなかった。ボーっとしているうちに時間を見間違えていたのだ。 「鬼」  かつきは驚いて振り返った。顔のつくりの似たふたりの少女。広夢の妹だった。 「な、なにか?」

    青い炎【小説】第四話