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披露宴至上主義の結婚式観が怖い

新郎新婦2人きり、挙式のみの結婚式が最高に楽しかった

2019年、私たち夫婦は地元の結婚式場で、新郎新婦だけで挙式を挙げた。

ゲストどころか親も呼ばない2人だけの結婚式だ。

憧れのウエディングドレスを着て、自分好みのウエディングブーケを持ち、牧師先生の元で愛を誓う。

それはもう最高に楽しかった。

あまりに楽しすぎて、もっとたくさんの人に楽しんでほしいと思い、準備から本番当日のことまで詳細にブログに書き記したくらいだ。

>>2人きりの結婚式について書いたブログ

披露宴をしなかったのは、目立つのが嫌いだし、準備に悩まされたくないから。

少人数婚にしなかったのは、周りを気にせず、気楽に楽しみたいと思ったから。

親を呼ばなかったのは、呼んだら号泣して、楽しむどころではなくなってしまいそうだから。

写真だけにしなかったのは、挙式という誓いの儀式そのものに憧れがあったから。

ハネムーンと別にしたのは、分けた方が楽しみが増えていいと思ったから。

しかし、2人だけで結婚式をしたという話をすると、怪訝な顔をされることが多かった。

地元二人挙式は訳ありなのだと思われる

本人たちは最高に幸せだったのだが、周りの反応はとても鈍かった。

「2人で結婚式した!」と言えば、まず最初に返ってくる言葉は「親は?」だったり、「リゾートじゃないの?」だった。

もちろん「2人だけなんて素敵!」と言ってくれる友人もいた。

内心「どうして??」と思っていたのかもしれないが。

結婚式場でさえ、理解がないところもあった。

2人挙式のプランがある結婚式場にブライダルフェアの予約をしたところ、

「どうして2人だけなのですか?」と聞かれたことがあった。

見学中の雑談ならまだしも、見学予約の確認電話でだ。

50人や100人で結婚式をする人たちにもその質問はするのだろうか。

その質問に何の意味があるのだろうか。

出鼻をくじかれてしまった気分だった。

また、SNSで二人挙式の知名度について質問したことがあった。

Twitterで、「地元二人挙式もフォト婚やリゾ婚みたいに流行ったらいいのに!みんな2人でも挙式挙げられるって知らないのかな??」と、

地元二人挙式を知ってるか知らないかを問うアンケートをした。

すると、お金がないとか年齢のせいだと思われるから選ばない、親と不仲の人が選ぶ選択肢など、散々なことを言われ傷ついた。

(そもそもリプライの内容がツイートの趣旨とずれているという事はこの際横に置いておく)

お金や年齢、親を呼ばないといった観点からすると、人気のフォトウエディングやリゾートウエディングとの違いは何なのだろうか。

もしくは、私が知らないだけでフォト婚やリゾート婚の人もとやかく言われているのだろうか。

もっと気軽に自分のやりたいスタイルの結婚式を選べればいいのに。

何か特別な事情が無いと、2人だけの結婚式を選んではいけないというのはあまりに悲しい。

特別な事情を建前にするしかなかった

しかしながら、申し訳なくも私も親の事情を二人挙式をするための言い訳に利用してしまった。

あまりにも理由を問われることが多かったからだ。

相手のこともあるし、他の結婚式スタイルに対してあまり否定的な発言はしたくない。

すると、一番当たり障りのない理由が、自分たちの家庭事情だった。

幸か不幸か、私たちには特別な事情があった。

新婦は死別の片親育ちで、肝心の父親も病気だった。

一方、新郎の親は遠方なうえに離婚しており、父母両方と仲が良い新郎はどちらを呼ぶか思い悩んでいた。

さまざまな事情が重なり、両家顔合わせもせずに結婚している。

しかし、声を大にして言いたいのは、私たちは訳ありだから地元二人挙式を選んだわけではない。

冒頭で述べた理由の通り、地元二人挙式が一番自分たちの価値観に合っていると思ったのだ。

結婚式に親を呼ばないのは親不孝なのか

家庭事情を知らないという事もあって、結婚式の話をすると「親への感謝は??」と言われることも多かった。

なにも結婚式だけが親への感謝を表現する場ではないと私は思う。

私は、結婚式に親を呼ばない代わりに、父娘2人で旅行に出かけた。

たくさん写真を撮ってアルバムを作り、最後のページに手書きのメッセージを書いて渡した。

父としては、「気を遣うこともなく、2人で楽しめてよかった。」と言っていた。

また、相手の親も大事にしていないという事ではない。

結婚前には、夫の父母それぞれに挨拶に行ったし、夫も私の父親に挨拶に来てくれた。

その後も、帰省したり、何か困ったことがあれば手を貸したりしている。

親同士の交流がないだけで、それぞれがお互いの親のことも大切に思っている。

相手の家に入るという、従来の結婚観には合わないかもしれない。

私の結婚観は、幸せな家庭を2人で新しくつくっていくことだった。

その出発点として、新郎新婦2人で愛を誓う挙式に憧れていた。

もちろん、私たちが2人きりで結婚式ができたのは親の理解あってこそだし、自分たちの好きなようにやっていいと尊重してくれたことに、とても感謝している。

結婚式場だって披露宴ありき

話を本筋の二人挙式のことに戻したい。

結婚式場においても、前提として披露宴ありきの風潮がぬぐえない。

会食付きの少人数婚プランにしても、6名~となっていることが多い。

片親一人っ子の私は、結婚相手の家族が4名以上でないと最初の基準にさえ満たない。

また、二人挙式専用プランはさらに探しにくかった。

用意されていたとしても、プラン紹介には2パターンあって、

費用面など何らかの理由で結婚式を諦めたカップルに!

もしくは、2人に合わせた結婚式のスタイルを叶えます!

私は結婚式を諦めたわけでは全くない。

ネガティブな理由で二人挙式を選んだわけではないので、後者の方が好感が持てた。

どうしてみんながみんな披露宴を望んでいる前提なのだろう。

披露宴をしない結婚式にマイナスイメージを持たせるような紹介は少し悲しい。

利益的には披露宴を行う人を優先したいという気持ちもわかるが、あまりに披露宴前提になりすぎている感がある。

新郎新婦に寄り添うとはなんなのか。

寄り添いたいのは披露宴をしたいカップルにだけなのだろうか。

もう少しポジティブな言い回しにしたらいいのにと思った。

逆に、2人だけでも挙式後にフルコース料理を楽しむプランがある結婚式場は素晴らしく思えたのだが、やっている式場の数はとても少なかった。

平日に稼働出来て、数十万円稼げる2人だけの結婚式って結構割のいい商売だと思うのだが、そうではないみたいだ。

親族の相手もしなくていいし、打ち合わせも少なくて双方楽な気がするのだが…

私の望んだ結婚式は、他の人にとっては妥協の結果のものという認識であるのならば、その意識を変えたいと思ってこの記事を書いている。

2人だけの結婚式は諦めた結果ではない

コロナのせいで、本来できるはずだった披露宴を中止し、新郎新婦だけで挙式をする例も増えてきた。

「不本意だったが、やってみれば楽しかった」という声も聞くし、結婚式を諦めないですむための方策として素晴らしいと思う。

ただ、ますます諦めた結果の選択肢として評価されている構図が少し悲しく思えてしまった。

私たちは、地元での2人だけの結婚式を最高の選択肢だと思って選んだから。

コロナになってやっと二人挙式を押し始めた結婚式場にも今更感を感じてしまった。

素直に自分の望む結婚式スタイルを選びたい

結婚式に関しては、やって後悔したとか、やらなくて後悔したとか色々な意見がある。

私は、仕方なく諦めるという点が後悔の種だと考えている。

「AができないからBにするしかない」が、一番あとを引く。

私が知る中には、親族の意向で盛大な結婚式をしたが、気を遣いすぎて楽しめず、今度は楽しむために2人だけで挙式をやり直したというカップルもいた。

自分がやりたいことを実現するのが一番いい。

そのためにも、披露宴ありの結婚式も、フォト婚もリゾート婚もナシ婚も、もちろん地元二人挙式も、ひとしく扱われる平等な選択肢になってほしい。

今回の件は、私の周りでとやかく言う人が目立っただけかもしれない。

大半の人は、どんな結婚式の形も受け入れているのかもしれない。

でも、少しでも地元二人挙式に違和感を感じる人がいるのならば、考えを改めるきっかけになってくれればいいなと思った。

フォト婚やリゾ婚みたいに有名になれば、私が言われて傷ついたような偏見もなくなり、周りの理解も得られるかもしれない。

結婚式場もいろんなスタイルに寄り添ったプランを用意してくれるようになったら引け目も感じにくくなる。

もう一度言うが、私は、夫と一緒に憧れだった誓いの儀式を実現できて、最高に幸せだった。

せっかく多様性が認められる社会になってきているのだから、結婚式にも様々なスタイルが広がってほしい。

世間体だとか、マウントの取り合いだとかのためではなく、自分たちが憧れる結婚式スタイルを自由に選べるようになったらいいなと思う。


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