ワキツレ小アド

能楽堂へ足を踏み入れて以来、その幽玄の世界から抜け出せなくなってしまった会社員。 能楽…

ワキツレ小アド

能楽堂へ足を踏み入れて以来、その幽玄の世界から抜け出せなくなってしまった会社員。 能楽さらに能楽関連書籍を古本屋街で探すうちに、和本にも惹かれ始め、いつしか軍記物を中心とした和本が部屋を埋め尽すようになっている。 現在囃子の稽古とくずし字解読に取組中。

最近の記事

和本に見る能楽 小瀬甫庵『信長記』4 幸若舞「敦盛」人間五十年・・・敦盛は十六で討たれたのに、なぜ人間五十年なのか。

織田信長と言えば「人間五十年」が頭に浮かぶ人が多いのではないだろうか。本能寺の燃え盛る炎の中で舞っているイメージがある。 しかし、いったい誰がその舞を見ながらも生き残り、後世に伝えたのだろうか。 小瀬甫庵『信長記』にも太田牛一『信長公記』には、そのような記述は見られない。 しかし、「人間五十年」こそ信長の生き方、信念を表すものはないような気がする。そこでドラマや映画のクライマックスシーンの演出として用いられたのではないだろうか。 実は、この「人間五十年」は、もっと早い時期

    • 和本に見る能楽 小瀬甫庵『信長記』3 悪七兵衛景清とアザ丸

      今回は平家の侍、悪七兵衛景清を紹介したい。 伝説では合戦後に盲目となったと謂れている。 『甫庵信長記』・『信長公記』ともに景清が所持したという太刀アザ丸を持つと両目を射られたり、眼病を患うなど祟りするので熱田大明神に納めたと云う話を載せている。 さて、では景清とは、どんな人物なのか、能で見てみよう。 能「景清」、「大仏供養」のシテ(主役)である。また、謡曲「八島(屋島)」での軍語、゛錣引き”にも登場する。 景清は、怪力を持つ勇猛な侍として、゛錣引き”で描かれる。 公益社団

      • 和本に見る能楽 小瀬甫庵『信長記』2 牛一と甫庵と清盛と信長

        さて、これから小瀬甫庵と太田牛一それぞれの『信長記』について両者の大きな異同に気を付けながら本文を見ていきたい。 実は、いきなりから冒頭から大きく違っている。 そして今回取り上げる信長と清盛との関係性の記述は、牛一著では見つけられなかった(見落としであることがわかった場合は、後で訂正させていただきたい)。 比較対象の本は、現代語訳版なので表現は関係なく、内容を見ることにする。 参考:『地図と読む 現代語訳 信長公記』中川太古訳 KADOKAWA ここでは、2つの『信長記』

        • 小瀬甫庵『信長記』1

          和本と能楽のつぶやきを『信長記』から手を付けることにした。 なぜか。 日本人の中では、好き嫌いに関係なく織田信長ほど多くの人を惹きつける歴史上の人物はいないのではないだろうか。 少なくとも日本の戦国時代における有名な武将を挙げよと問えば、恐らく第一位に選ばれるのではないかと思う。 だからこの本を取り上げれば、興味を持っていただけるのではないかとの打算が自然と働いたのだ。 それに、ちょうど大河ドラマ「どうする家康」で岡田准一さんが強烈なキャラクターの信長を演じている。見てい

        和本に見る能楽 小瀬甫庵『信長記』4 幸若舞「敦盛」人間五十年・・・敦盛は十六で討たれたのに、なぜ人間五十年なのか。

          能楽と和本との出会い

          手元にある和本(※)の山には、能楽(能・狂言)に関する記述のあるもの、曲や詞章の典拠となったものが多い。いや、意識して関連したものを収集したというべきだろう。 ※有史以来明治初期までに日本で作成された書物(誠心堂書店 橋口侯之介氏) こんな人はそう滅多にいないだろう。少なくとも自分の周りには一人もいない。能楽好きな仲間は少しはいる。が、和本にも興味があるという人はなかなかいない。 さて、能楽との出会い、そして和本に辿り着いた経緯を紹介したい。 能楽囃子は聴いてみると、実はどこ

          能楽と和本との出会い