宇宙放射線シールド

【書類名】明細書
【発明の名称】宇宙放射線シールド
【技術分野】
 【0001】
 本発明は、宇宙機防御用シールドに関するものである。
【背景技術】
 【0002】
 太陽放射線及び銀河宇宙放射線及び放射線帯捕捉粒子及びX線及びγ線などの宇宙放射線は、地球と生命、そして、人工衛星、宇宙船、宇宙ステーション、ローバ、宇宙コロニーなどの宇宙機にさまざまな影響を及ぼす。
 【0003】
 地球と地球の生命は、地磁気と大気によってこれらの宇宙放射線から守られているが、太陽フレアの規模によっては、地球に到来する太陽放射線の増加により、地磁気嵐などによるさまざまな被害を受ける。
 【0004】
 宇宙機は、宇宙放射線に対するさまざまな対策を講じているが、太陽フレアの規模によっては、増加した放射線によって、機器が故障したり、太陽電池やアンテナが損傷したり、搭乗する人間がより多くの放射線を浴びるなどの問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
 【0005】
  【特許文献1】US3465153
  【特許文献2】US4847506
  【特許文献3】EA201700345
  【特許文献4】WO2023249573
【非特許文献】
 【0006】
  【非特許文献1】藤高和信、「有人宇宙活動における放射線防護」、RADIOISOTOPES、1998年発行、47巻10号765~775
  【非特許文献2】五家建夫,古賀清一,松本晴久,込山立人,保田浩志、「宇宙環境における放射線」、保健物理、2011年発行、46巻1号p.31~41
  【非特許文献3】S. Kodaira et al. "Verification of shielding effect by the water-filled materials for space radiation in the International Space Station using passive dosimeters", Advances in SpaceResearch, 53(1), 1‒7 (2014); http://dx.doi.org/10.1016/j.asr.2013.10.018
  【非特許文献4】M. Naito, et al. ‘Applicability of composite materials for space radiation shielding of spacecraft’, Life Sciences in Space Research, Volume 31, November 2021, Elsevier Ltd, pp. 71-79,https://doi.org/10.1016/j.lssr.2021.08.004.(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2214552421000614)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
 【0007】
 本発明の目的は、宇宙放射線を吸収または反射することにより宇宙放射線を遮へいする性質を持つ、放射線を遮へいする性質を持つ物質(以下「放射線遮へい物質」と記す)が有する、宇宙機とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させる効果を、向上させる事である。
【課題を解決するための手段】
 【0008】
 本発明は、宇宙放射線の変化に対応して、放射線遮へい物質を備える宇宙放射線シールドの宇宙放射線の進路上への配置を変化させて最適化する事を最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
 【0009】
 本発明のシールドは、宇宙機に搭乗する人間に到達する宇宙放射線を減少させて、被ばく線量を減らすことにより、宇宙飛行の安全性を高めることができるという利点がある。
 【0010】
 さらに、本発明のシールドは、宇宙放射線による宇宙機と太陽電池の被害を減らし、宇宙機と太陽電池の耐用年数を増して、費用対効果を上げることができるという利点がある。
 【0011】
 さらに、本発明のシールドは、宇宙機とそれに搭乗する人間に到達する宇宙放射線を減少させて、従来よりも長期間または長距離の宇宙航行を可能にし、他惑星などへの有人飛行の実現可能性を高めるという利点がある。
 【0012】
 さらに、本発明のシールドは、宇宙放射線による被害を減らすことで、人類と地球の生命が宇宙環境に適応し、宇宙に生活の場を広げていく一助となるという利点がある。
 【0013】
 さらに、本発明のシールドは、宇宙空間に配置することにより、宇宙放射線から守るべき対象に対応して、任意の大きさや厚さや形状とすることができるという利点がある。
 【0014】
 さらに、本発明のシールドは、宇宙放射線以外の放射線に対しても遮へい効果があるという利点がある。
 【0015】
 さらに、本発明のシールドは、自然現象由来以外の電磁波及び物質に対しても遮へい効果があるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
 【0016】
  【図1】図1は本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例1)
  【図2】図2は本発明の実施方法を示した断面図である。(実施例1)
  【図3】図3は本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例2)
  【図4】図4は本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例3)
  【図5】図5は本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例4)
  【図6】図6は本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例5)
  【図7】図7は本発明の実施方法を示した正面図である。(実施例6)
  【図8】図8は本発明の実施方法を示した側面図である。(実施例6)
  【図9】図9は本発明の実施方法を示した正面図である。(実施例7)
  【図10】図10は本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例7)
  【図11】図11は本発明の実施方法を示した断面図である。(実施例8)
  【図12】図12は本発明の実施方法を示した断面図である。(実施例9)
  【図13】図13は本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例11)
  【図14】図14は本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例12)
  【図15】図15は本発明の実施方法を示した断面図である。(実施例13)
  【図16】図16は本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例14)
  【図17】図17は本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例15)
  【図18】図18は本発明の実施方法を示した説明図である。(実施例16)
【発明を実施するための形態】
 【0017】
 放射線遮へい物質の宇宙放射線遮へい効果を向上させるという目的を、宇宙放射線の変化に対応して、放射線遮へい物質の配置を最適化することで、実現した。
【実施例1】
 【0018】
 図1は、本発明装置の1実施例の説明図、図2は、該実施例の断面図であって、1は宇宙放射線シールド、2は放射線、4は宇宙機、6は回転機構、7はモータ、9は太陽電池、10は太陽電池付宇宙放射線シールド、13は支柱、18は太陽光、23は送電線、26は支持枠である。

図1


図2


 【0019】
 放射線遮へい物質を備えるものを宇宙放射線シールド1とする。
 【0020】
 守るべき宇宙機4の投影面積よりも大きい投影面積を持つ半円形状の宇宙放射線シールド1を、それよりも小さい面積の半円形状の太陽電池9の裏面に、支持枠26によって取り付けて、1枚の半円形状の太陽電池付宇宙放射線シールド10とする(図2)。
 【0021】
 同形状かつ同質量の2つの該太陽電池付宇宙放射線シールド10を、回転機構6を介して互いに回転可能に取り付ける。2つの該太陽電池付宇宙放射線シールド10を、回転機構6の回転中心線と一致する回転中心線を持つ2つのモータ7を介して、半円環形状の支柱13に回転可能に取り付ける。太陽電池付宇宙放射線シールド10の太陽電池9と宇宙機4を送電線23で結ぶ。
 【0022】
 通常は、宇宙機4の姿勢・軌道制御装置(図示せず)を駆動して、宇宙機4に向かう太陽放射線の進行方向に、2つの太陽電池付宇宙放射線シールド10を位置させて、太陽放射線を遮へいして、宇宙機4に到達する太陽放射線を減少させて、宇宙機4とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させる。
 【0023】
 さらに、モータ7を駆動して、2つの太陽電池付宇宙放射線シールド10を回転させて、太陽電池付宇宙放射線シールド10の太陽電池9面を太陽光18に対向させて、発電する(図1a)。
 【0024】
 太陽フレアの発生またはその他の原因などにより、宇宙機4に向かう放射線2が増加する場合は、2つの太陽電池付宇宙放射線シールド10を、互いの逆方向に同時にモータ7によって同じ角速度でそれぞれ180度回転させて、これらの回転力の重心のまわりのモーメントの和を0として、宇宙機4の回転を抑止して、宇宙機4の姿勢を維持して、太陽電池付宇宙放射線シールド10の宇宙放射線シールド1面を放射線2に対向させて、該放射線2を遮へいして、宇宙機4と太陽電池9に到達する放射線2を減少させて、宇宙機4とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させることにより、目的を達成する(図1b)。
 【0025】
 放射線2によって太陽電池付宇宙放射線シールド10と宇宙機4に運動量と角運動量が与えられた場合は、宇宙機4の姿勢・軌道制御装置を駆動して、これらの運動量と角運動量の一部または全部を打ち消して、太陽電池付宇宙放射線シールド10と宇宙機4の軌道と姿勢を制御する。
 【0026】
 放射線2の増加がおさまった後は、2つの太陽電池付宇宙放射線シールド10を、互いの逆方向に同時にモータ7によって同じ角速度でそれぞれ180度回転させて、これらの回転力の重心のまわりのモーメントの和を0として、宇宙機4の回転を抑止して、宇宙機4の姿勢を維持して、太陽電池付宇宙放射線シールド10の太陽電池9面を太陽光18に対向させて、発電する(図1a)。
 【0027】
 さらに、宇宙機4の姿勢・軌道制御装置を駆動して、宇宙機4に向かう太陽放射線の進行方向に、2つの太陽電池付宇宙放射線シールド10を位置させて、太陽放射線を遮へいして、宇宙機4に到達する太陽放射線を減少させて、宇宙機4とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させる。
【実施例2】
 【0028】
 図3は、本発明装置の1実施例の説明図であって、1と4と6と9と10は、図1及び図2と同様である。また、8は回転台座、27は折り畳み可能な太陽電池付宇宙放射線シールドである。

図3


 【0029】
 宇宙機4の投影面積よりも大きい面積の宇宙放射線シールド1を、それよりも小さい面積の太陽電池9の裏面に取り付けて、1枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10とする。
 【0030】
 3枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10を、回転機構6によって連結して、ひとつの折り畳み可能な太陽電池付宇宙放射線シールド27とする。さらに、3枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10を、回転機構6によって連結して、もうひとつの折り畳み可能な太陽電池付宇宙放射線シールド27とする。
 【0031】
 ひとつの回転台座8を、宇宙機4のある一面に取り付けて、その一面と対面する宇宙機4のもう一面に、もうひとつの回転台座8を取り付ける。
 【0032】
 ひとつの折り畳み可能な太陽電池付宇宙放射線シールド27を、回転機構6によって、一方の回転台座8に取り付けて、もうひとつの折り畳み可能な太陽電池付宇宙放射線シールド27を、回転機構6によって、もう一方の回転台座8に取り付ける(図3a)。
 【0033】
 一方の回転台座8に取り付けられた折り畳み可能な太陽電池付宇宙放射線シールド27と、該回転台座8とを連結する回転機構6を軸として、モータやアクチュエータなどの駆動装置(図示せず)によって、折り畳み可能な太陽電池付宇宙放射線シールド27を180度回転させて、該回転台座8から数えて1枚目に位置する太陽電池付宇宙放射線シールド10によって宇宙機4の一面を覆う。
 【0034】
 もう一方の回転台座8を、駆動装置によって90度回転させて、その回転台座8に取り付けられた折り畳み可能な太陽電池付宇宙放射線シールド27を90度回転させる。(図3b)
 【0035】
 該回転台座8に取り付けられた折り畳み可能な太陽電池付宇宙放射線シールド27と、該回転台座8とを連結する回転機構6を軸として、駆動装置によって、折り畳み可能な太陽電池付宇宙放射線シールド27を180度回転させて、該回転台座8から数えて1枚目に位置する太陽電池付宇宙放射線シールド10によって宇宙機4の一面を覆う(図3c)。
 【0036】
 該回転台座8から数えて1枚目に位置する太陽電池付宇宙放射線シールド10と2枚目に位置する太陽電池付宇宙放射線シールド10を連結している回転機構6を軸として、駆動装置によって、2枚目に位置する太陽電池付宇宙放射線シールド10を90度回転させて、該回転台座8に対面するもう一方の回転台座8が取り付けられている宇宙機4の一面を覆う。
 【0037】
 該回転台座8から数えて2枚目に位置する太陽電池付宇宙放射線シールド10と3枚目に位置する太陽電池付宇宙放射線シールド10を連結している回転機構6を軸として、駆動装置によって、3枚目に位置する太陽電池付宇宙放射線シールド10を90度回転させて、宇宙機4の一面を覆う。
 【0038】
 該回転台座8に対面するもう一方の回転台座8から数えて1枚目に位置する太陽電池付宇宙放射線シールド10と2枚目に位置する太陽電池付宇宙放射線シールド10を連結している回転機構6を軸として、駆動装置によって、2枚目に位置する太陽電池付宇宙放射線シールド10を90度回転させて、該回転台座8が取り付けられている宇宙機4の一面を覆う。
 【0039】
 該回転台座8に対面するもう一方の回転台座8から数えて2枚目に位置する太陽電池付宇宙放射線シールド10と3枚目に位置する太陽電池付宇宙放射線シールド10を連結している回転機構6を軸として、駆動装置によって、3枚目に位置する太陽電池付宇宙放射線シールド10を90度回転させて、宇宙機4の一面を覆う。
 【0040】
 以上により、宇宙放射線シールド1面を外側に、かつ、太陽電池9面を宇宙機4側に位置させて、6枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10によって宇宙機4を包む(図3d)。
 【0041】
 宇宙機4をローンチシステムによって宇宙空間に打ち上げて、回転機構6を軸として、駆動装置によって、6枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10を回転させて、ふたつの折り畳み可能な太陽電池付宇宙放射線シールド27を展開させる(図3a)。
 【0042】
 通常は、宇宙機4の姿勢・軌道制御装置(図示せず)を駆動して、または、回転台座8を軸として駆動装置によって折り畳み可能な太陽電池付宇宙放射線シールド27を回転させて、太陽電池9面を太陽に対向させて、発電する。
 【0043】
 太陽電池9の裏面側から太陽電池9に向かう宇宙放射線は、太陽電池9の裏面に取り付けられた宇宙放射線シールド1により、遮へいされて、太陽電池9の被ばく線量は減少する。
 【0044】
 太陽フレアの発生またはその他の原因などにより、宇宙機4に向かう放射線が増加する場合は、宇宙放射線シールド1面を外側に、かつ、太陽電池9面を宇宙機4側に位置させて、6枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10によって宇宙機4の全周囲を包むことにより、宇宙機4に向かうあらゆる方向からの放射線を宇宙放射線シールド1によって遮へいして、宇宙機4と太陽電池9に到達する放射線を減少させて、宇宙機4とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させることにより、目的を達成する(図3d)。
 【0045】
 放射線によって宇宙放射線シールド1に運動量と角運動量が与えられた場合は、宇宙機4の姿勢・軌道制御装置を駆動して、または、電磁波または粒子を天体または宇宙機から宇宙放射線シールド1に照射して、これらの運動量と角運動量の一部または全部を打ち消して、宇宙放射線シールド1と宇宙機4の軌道と姿勢を制御する。
 【0046】
 放射線の増加がおさまった後は、回転機構6を軸として、駆動装置によって、6枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10を回転させて、展開させて(図3a)、宇宙機4の姿勢・軌道制御装置を駆動して、または、回転台座8を軸として駆動装置によって折り畳み可能な太陽電池付宇宙放射線シールド27を回転させて、太陽電池9面を太陽に対向させて、発電する。
【実施例3】
 【0047】
 図4は、本発明装置の1実施例の説明図であって、1と4と6と9と10は、図1~図3と同様である。

図4


 【0048】
 宇宙機4の投影面積よりも大きい面積の宇宙放射線シールド1を、それよりも小さい面積の太陽電池9の裏面に取り付けて、1枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10とする。
 【0049】
 宇宙機4の一端の面積よりも大きい面積の宇宙放射線シールド1を、宇宙機4の一端に取り付け、その一端と対面する宇宙機4のもう一端に、その一端の面積よりも大きい面積の宇宙放射線シールド1を取り付ける。
 【0050】
 宇宙機4の一端に取り付けられた宇宙放射線シールド1の4つの端部に、4枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10を回転機構6によって取り付けて、宇宙放射線シールド1面を外側に、かつ、太陽電池9面を宇宙機4側に位置させて、6枚の宇宙放射線シールド1面によって宇宙機4を包む(図4b)。
 【0051】
 宇宙機4をローンチシステムによって宇宙空間に打ち上げて、回転機構6を軸として駆動装置(図示せず)によって4枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10を回転させて、展開させる(図4a)。
 【0052】
 通常は、宇宙機4の姿勢・軌道制御装置(図示せず)を駆動して、または、回転機構6を軸として駆動装置によって太陽電池9面を回転させて、太陽に対向させて、発電する。
 【0053】
 太陽フレアの発生またはその他の原因などにより、宇宙機4に向かう放射線が増加する場合は、回転機構6を軸として駆動装置によって4枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10を回転させて、6枚の宇宙放射線シールド1によって宇宙機4の全周囲を包むことにより、宇宙機4に向かうあらゆる方向からの放射線を宇宙放射線シールド1によって遮へいして、宇宙機4と太陽電池9に到達する放射線を減少させて、宇宙機4とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させることにより、目的を達成する(図4b)。
 【0054】
 放射線によって宇宙放射線シールド1に運動量と角運動量が与えられた場合は、宇宙機4の姿勢・軌道制御装置を駆動して、または、電磁波または粒子を天体または宇宙機から宇宙放射線シールド1に照射して、これらの運動量と角運動量の一部または全部を打ち消して、宇宙放射線シールド1と宇宙機4の軌道と姿勢を制御する。
 【0055】
 放射線の増加がおさまった後は、回転機構6を軸として駆動装置によって4枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10を回転させて、展開させて(図4a)、宇宙機4の姿勢・軌道制御装置を駆動して、または、回転機構6を軸として駆動装置によって太陽電池9面を回転させて、太陽に対向させて、発電する。
【実施例4】
 【0056】
 図5は、本発明装置の1実施例の説明図であって、1と4と6と9と10と13は、図1~図4と同様である。

図5


 【0057】
 宇宙機4の投影面積よりも大きい投影面積の半球状の宇宙放射線シールド1の内側に、太陽電池9を取り付けて、1枚の半球状の太陽電池付宇宙放射線シールド10とする。
 【0058】
 太陽電池付宇宙放射線シールド10の一端に支柱13を取り付ける。宇宙機4の一端に支柱13を取り付ける。宇宙機4の一端に取り付られた支柱13の端部に、2枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10に取り付けた支柱13を、回転機構6を介して回転可能に取り付けて、宇宙放射線シールド1面を外側に、かつ、太陽電池9面を宇宙機4側に位置させて、2枚の宇宙放射線シールド1面によって宇宙機4を包む(図5b)。
 【0059】
 宇宙機4をローンチシステムによって宇宙空間に打ち上げて、回転機構6を軸として駆動装置(図示せず)によって2枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10を回転させて、展開させる(図5a)。
 【0060】
 通常は、宇宙機4の姿勢・軌道制御装置(図示せず)を駆動して、または、回転機構6を軸として駆動装置によって2枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10を回転させて、太陽電池9面を太陽に対向させて、発電する。
 【0061】
 太陽フレアの発生またはその他の原因などにより、宇宙機4に向かう放射線が増加する場合は、回転機構6を軸として駆動装置によって2枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10を回転させて、重ね合わせて、2枚の宇宙放射線シールド1によって宇宙機4の全周囲を包むことにより、宇宙機4に向かうあらゆる方向からの放射線を宇宙放射線シールド1によって遮へいして、宇宙機4と太陽電池9に到達する放射線を減少させて、宇宙機4とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させることにより、目的を達成する(図5b)。
 【0062】
 放射線によって宇宙放射線シールド1に運動量と角運動量が与えられた場合は、宇宙機4の姿勢・軌道制御装置を駆動して、または、電磁波または粒子を天体または宇宙機から宇宙放射線シールド1に照射して、これらの運動量と角運動量の一部または全部を打ち消して、宇宙放射線シールド1と宇宙機4の軌道と姿勢を制御する。
 【0063】
 放射線の増加がおさまった後は、回転機構6を軸として駆動装置によって2枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10を回転させて、展開させて(図5a)、宇宙機4の姿勢・軌道制御装置を駆動して、または、回転機構6を軸として駆動装置によって2枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10を回転させて、太陽電池9面を太陽に対向させて、発電する。
【実施例5】
 【0064】
 図6は、本発明装置の1実施例の説明図であって、1と4と6と9と10と13は、図1~図5と同様である。

図6


 【0065】
 宇宙機4の投影面積よりも大きい投影面積の半円筒状の宇宙放射線シールド1の内側に、太陽電池9を取り付けて、1枚の半円筒状の太陽電池付宇宙放射線シールド10とする。
 【0066】
 太陽電池付宇宙放射線シールド10の一端に支柱13を取り付ける。宇宙機4の一端に支柱13を取り付ける。宇宙機4の一端に取り付られた支柱13の端部に、2枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10に取り付けた支柱13を、回転機構6を介して回転可能に取り付けて、宇宙放射線シールド1面を外側に、かつ、太陽電池9面を宇宙機4側に位置させて、2枚の宇宙放射線シールド1面によって宇宙機4を包む(図6b)。
 【0067】
 宇宙機4をローンチシステムによって宇宙空間に打ち上げて、回転機構6を軸として駆動装置(図示せず)によって2枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10を回転させて、展開させる(図6a)。
 【0068】
 通常は、宇宙機4の姿勢・軌道制御装置(図示せず)を駆動して、または、回転機構6を軸として駆動装置によって2枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10を回転させて、太陽電池9面を太陽に対向させて、発電する。
 【0069】
 太陽フレアの発生またはその他の原因などにより、宇宙機4に向かう放射線が増加する場合は、回転機構6を軸として駆動装置によって2枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10を回転させて、重ね合わせて、2枚の宇宙放射線シールド1によって宇宙機4の全周囲を包むことにより、宇宙機4に向かうあらゆる方向からの放射線を宇宙放射線シールド1によって遮へいして、宇宙機4と太陽電池9に到達する放射線を減少させて、宇宙機4とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させることにより、目的を達成する(図6b)。
 【0070】
 放射線によって宇宙放射線シールド1に運動量と角運動量が与えられた場合は、宇宙機4の姿勢・軌道制御装置を駆動して、または、電磁波または粒子を天体または宇宙機から宇宙放射線シールド1に照射して、これらの運動量と角運動量の一部または全部を打ち消して、宇宙放射線シールド1と宇宙機4の軌道と姿勢を制御する。
 【0071】
 放射線の増加がおさまった後は、回転機構6を軸として駆動装置によって2枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10を回転させて、展開させて(図6a)、宇宙機4の姿勢・軌道制御装置を駆動して、または、回転機構6を軸として駆動装置によって2枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10を回転させて、太陽電池9面を太陽に対向させて、発電する。
【実施例6】
 【0072】
 図7は、本発明装置の1実施例の正面図、図8は、該実施例の側面図であって、1と2と7~10と13と18と23は、図1~図6と同様である。また、5はロケットまたはスラスタまたは磁気トルカまたはリアクションホイールなどの姿勢・軌道制御装置、17は構体、19はマイクロ波、20はアンテナ、21はアンテナ付宇宙放射線シールド、22は直流/交流コンバータ、24は太陽光発電衛星、29は姿勢・軌道制御装置の推力である。

図7


図8


 【0073】
 宇宙放射線シールド1を、それよりも小さい投影面積の太陽電池9の裏面に取り付けて、1枚の太陽電池付宇宙放射線シールド10とする。
 【0074】
 偶数の該太陽電池付宇宙放射線シールド10を、互いに同形状かつ同質量の2つの太陽電池付宇宙放射線シールド10ごとに、構体17の重心から等距離に位置させて、モータ7によって構体17に取り付ける。
 【0075】
 宇宙放射線シールド1を、それよりも小さい投影面積のアンテナ20の裏面に取り付けて、1枚のアンテナ付宇宙放射線シールド21とする。
 【0076】
 同形状かつ同質量の2つの該アンテナ付宇宙放射線シールド21を、同形状かつ同質量の4つのモータ7を介して同形状かつ同質量の2つの支柱13に取り付ける。2つの該支柱13を、同形状かつ同質量の2つの回転台座8に取り付ける。2つの該回転台座8を、構体17の重心から等距離に位置させて、構体17に取り付ける。
 【0077】
 直流/交流コンバータ22を構体17に取り付ける。太陽電池付宇宙放射線シールド10の太陽電池9と直流/交流コンバータ22を送電線23で接続する。直流/交流コンバータ22とアンテナ20を送電線23で接続する。
 【0078】
 姿勢・軌道制御装置5を構体17に取り付ける。
 【0079】
 以上により、太陽光発電衛星24を構築する(図7)。
 【0080】
 図8aは、当発明を実施した太陽光発電衛星24の通常時の状態を示す側面図である。
 【0081】
 通常は、太陽光発電衛星24の姿勢・軌道制御装置5を駆動して、または、回転台座8を軸として駆動装置(図示せず)によって構体17を回転させて、太陽光発電衛星24の軌道と姿勢を制御する。
 【0082】
 さらに、太陽光発電衛星24の重心から等距離に位置する、互いに同形状かつ同質量の2つの太陽電池付宇宙放射線シールド10を、互いの逆方向に同時にモータ7によって同じ角速度でそれぞれ同角度回転させて、これらの回転力の重心のまわりのモーメントの和を0として、構体17の回転を抑止して、太陽光発電衛星24の姿勢を維持して、太陽電池9を太陽光18に対向させて、発電する。
 【0083】
 さらに、回転台座8を軸として駆動装置によってアンテナ付宇宙放射線シールド21と支柱13を回転させて、さらに、モータ7によってアンテナ付宇宙放射線シールド21を回転させて、アンテナ20の方向を制御して、アンテナ20からマイクロ波19を送出して、受電施設に送電する。
 【0084】
 アンテナ付宇宙放射線シールド21の回転とマイクロ波19の送出によって、太陽光発電衛星24に運動量と角運動量が与えられた場合は、太陽光発電衛星24の姿勢・軌道制御装置5を駆動して、これらの運動量と角運動量の一部または全部を打ち消して、太陽光発電衛星24の軌道と姿勢を制御する。
 【0085】
 図8bは、当発明を実施した太陽光発電衛星24の放射線2増加時の状態を示す側面図である。
 【0086】
 太陽フレアの発生またはその他の原因などにより、太陽光発電衛星24に向かう放射線2が増加する場合は、太陽光発電衛星24の重心から等距離に位置する、互いに同形状かつ同質量の2つの太陽電池付宇宙放射線シールド10を、互いの逆方向に同時にモータ7によって同じ角速度でそれぞれ180度回転させて、これらの回転力の重心のまわりのモーメントの和を0として、構体17の回転を抑止して、太陽光発電衛星24の姿勢を維持して、太陽電池付宇宙放射線シールド10の宇宙放射線シールド1を放射線2に対向させて、該放射線2を宇宙放射線シールド1によって遮へいして、太陽電池9に到達する放射線2を減少させて、宇宙放射線による被ばく線量を減少させることにより、目的を達成する。
 【0087】
 さらに、回転台座8を軸として駆動装置によってアンテナ付宇宙放射線シールド21と支柱13を回転させて、さらに、モータ7によってアンテナ付宇宙放射線シールド21を回転させて、アンテナ付宇宙放射線シールド21の宇宙放射線シールド1を放射線2に対向させて、該放射線2を宇宙放射線シールド1によって遮へいして、アンテナ20に到達する放射線2を減少させて、宇宙放射線による被ばく線量を減少させる。
 【0088】
 アンテナ付宇宙放射線シールド21の回転によって、太陽光発電衛星24に運動量と角運動量が与えられた場合は、太陽光発電衛星24の姿勢・軌道制御装置5を駆動して、これらの運動量と角運動量の一部または全部を打ち消して、太陽光発電衛星24の軌道と姿勢を制御する。
 【0089】
 放射線2によって、太陽光発電衛星24に運動量と角運動量が与えられた場合は、太陽光発電衛星24の姿勢・軌道制御装置5を駆動して、姿勢・軌道制御装置の推力29を生じさせて、または、回転台座8を軸として駆動装置によって構体17を回転させて、これらの運動量と角運動量の一部または全部を打ち消して、太陽光発電衛星24の軌道と姿勢を制御する。
 【0090】
 放射線2の増加がおさまった後は、太陽光発電衛星24の重心から等距離に位置する、互いに同形状かつ同質量の2つの太陽電池付宇宙放射線シールド10を、互いの逆方向に同時にモータ7によって同じ角速度でそれぞれ180度回転させて、これらの回転力の重心のまわりのモーメントの和を0として、構体17の回転を抑止して、太陽光発電衛星24の姿勢を維持して、太陽電池9面を太陽光18に対向させて、発電する(図8a)。
 【0091】
 さらに、回転台座8を軸として駆動装置によってアンテナ付宇宙放射線シールド21と支柱13を回転させて、さらに、モータ7によってアンテナ付宇宙放射線シールド21を回転させて、アンテナ20の方向を制御して、アンテナ20からマイクロ波19を送出して、受電施設に送電する。
 【0092】
 アンテナ付宇宙放射線シールド21の回転とマイクロ波19の送出によって、太陽光発電衛星24に運動量と角運動量が与えられた場合は、太陽光発電衛星24の姿勢・軌道制御装置5を駆動して、これらの運動量と角運動量の一部または全部を打ち消して、太陽光発電衛星24の軌道と姿勢を制御する。
【実施例7】
 【0093】
 図9は、本発明装置の1実施例の正面図、図10は、該実施例の説明図であって、1と2と4~10と13と17~20と23と29は、図1~図8と同様である。直流/交流コンバータ22は、アンテナ付宇宙放射線シールド21を構成するアンテナ20と宇宙放射線シールド1の間に取付けられている。また、25は太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星である。

図9


図10


 【0094】
 守るべき宇宙機4の投影面積よりも大きい投影面積を持つ半円形状の宇宙放射線シールド1を、それよりも小さい面積の半円形状の太陽電池9の裏面に取り付けて、1枚の半円形状の太陽電池付宇宙放射線シールド10とする。
 【0095】
 同形状かつ同質量の2つの半円形状の太陽電池付宇宙放射線シールド10を、回転機構6を介して互いに回転可能に取り付ける。2つの太陽電池付宇宙放射線シールド10を、回転機構6の回転中心線と一致する回転中心線を持つ2つのモータ7を介して、円環形状の構体11に回転可能に取り付ける。
 【0096】
 宇宙放射線シールド1を、それよりも小さい投影面積の直流/交流コンバータ22に取り付けて、該直流/交流コンバータ22をアンテナ20の裏面に取り付けて、1つのアンテナ付宇宙放射線シールド21とする。
 【0097】
 同形状かつ同質量の2つのアンテナ付宇宙放射線シールド21を、同形状かつ同質量の4つのモータ7を介して同形状かつ同質量の2つの支柱13に回転可能に取り付ける。2つの該支柱13を、同形状かつ同質量の2つの回転台座13に取り付ける。2つの該回転台座13を、構体11の重心から等距離に位置させて、構体11に回転可能に取り付ける。
 【0098】
 太陽電池付宇宙放射線シールド10の太陽電池9と直流/交流コンバータ22を送電線23で接続する。直流/交流コンバータ22とアンテナ20を送電線23で接続する。
 【0099】
 姿勢・軌道制御装置5を構体11に取り付ける。
 【0100】
 以上により、太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星25を構築する。
 【0101】
 図9は、当発明を実施した太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星25の通常時の状態を示す正面図である。
 【0102】
 太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星25を、宇宙機4とのランデブー軌道に配置する。
 【0103】
 通常は、太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星25の姿勢・軌道制御装置5を駆動して、宇宙機4に向かう太陽放射線の進行方向に、太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星25を位置させて、太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星25の姿勢を制御して、太陽放射線を遮へいして、宇宙機4に到達する太陽放射線を減少させて、宇宙機4とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させる。
 【0104】
 さらに、太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星25の姿勢・軌道制御装置5を駆動して、さらに、回転台座13を軸として駆動装置(図示せず)によって構体11を回転させて、構体11を太陽に対向させる。さらに、モータ7を駆動して、2つの太陽電池付宇宙放射線シールド10を回転させて、太陽電池付宇宙放射線シールド10の太陽電池9面を太陽光18に対向させて、発電する。
 【0105】
 さらに、回転台座13を軸として駆動装置によってアンテナ付宇宙放射線シールド21と支柱13を回転させて、さらに、モータ7によってアンテナ付宇宙放射線シールド21を回転させて、アンテナ20の方向を制御して、アンテナ20からマイクロ波19を送出して、宇宙機4の受電用アンテナ20に送電する(図10a)。
 【0106】
 アンテナ付宇宙放射線シールド21と支柱13の回転とマイクロ波19の送出によって、太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星25に運動量と角運動量が与えられた場合は、太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星25の姿勢・軌道制御装置5を駆動して、これらの運動量と角運動量の一部または全部を打ち消して、太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星25の軌道と姿勢を制御する。
 【0107】
 太陽フレアの発生またはその他の原因などにより、宇宙機4に向かう放射線2が増加する場合は、2つの太陽電池付宇宙放射線シールド10を、互いの逆方向に同時にモータ7によって同じ角速度でそれぞれ180度回転させて、これらの回転力の重心のまわりのモーメントの和を0として、構体17の回転を抑止して、太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星25の姿勢を維持して、太陽電池付宇宙放射線シールド10の宇宙放射線シールド1面を放射線2に対向させて、該放射線2を遮へいして、宇宙機4と太陽電池9に到達する放射線2を減少させて、宇宙機4とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させることにより、目的を達成する(図10b)。
 【0108】
 さらに、回転台座13を軸として駆動装置によってアンテナ付宇宙放射線シールド21と支柱13を回転させて、さらに、モータ7によってアンテナ付宇宙放射線シールド21を回転させて、放射線2による宇宙放射線シールド1の投影面積が最大となる方向に、アンテナ付宇宙放射線シールド21の方向を制御して、放射線2を遮へいして、アンテナ20と直流/交流コンバータ22に到達する放射線2を減少させて、宇宙放射線による被ばく線量を減少させる。
 【0109】
 放射線2によって太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星25に運動量と角運動量が与えられた場合は、太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星25に取り付けた姿勢・軌道制御装置5を駆動して、姿勢・軌道制御装置の推力29を生じさせて、これらの運動量と角運動量の一部または全部を打ち消して、太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星25の軌道と姿勢を制御する。
 【0110】
 アンテナ付宇宙放射線シールド21と支柱13の回転によって、太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星25に運動量と角運動量が与えられた場合は、太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星25に取り付けた姿勢・軌道制御装置5を駆動して、これらの運動量と角運動量の一部または全部を打ち消して、太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星25の軌道と姿勢を制御する。
 【0111】
 放射線2の増加がおさまった後は、2つの太陽電池付宇宙放射線シールド10を、互いの逆方向に同時にモータ7によって同じ角速度でそれぞれ180度回転させて、これらの回転力の重心のまわりのモーメントの和を0として、構体17の回転を抑止して、太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星25の姿勢を維持して、太陽電池付宇宙放射線シールド10の太陽電池9面を太陽光18に対向させて、発電する。
 【0112】
 さらに、回転台座13を軸として駆動装置によってアンテナ付宇宙放射線シールド21と支柱13を回転させて、さらに、モータ7によってアンテナ付宇宙放射線シールド21を回転させて、アンテナ20の方向を制御して、アンテナ20からマイクロ波19を送出して、宇宙機4の受電用アンテナ20に送電する(図10a)。
 【0113】
 アンテナ付宇宙放射線シールド21と支柱13の回転とマイクロ波19の送出によって、太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星25に運動量と角運動量が与えられた場合は、太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星25に取り付けた姿勢・軌道制御装置5を駆動して、これらの運動量と角運動量の一部または全部を打ち消して、太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星25の軌道と姿勢を制御する。
【実施例8】
 【0114】
 図11は、本発明装置の1実施例の断面図であって、1と2と4は、図1~図10と同様である。また、3は放射線遮へい物質、11はアクチュエータ、12はフレキシブルコンテナ、28はペイロードスペースである。

図11


 【0115】
 宇宙機4の内部に、宇宙機4よりも小さいフレキシブルコンテナ12を設置する。宇宙機4とフレキシブルコンテナ12の空隙に、放射線遮へい物質3を収納して、宇宙放射線シールド1とする。宇宙機4の内面とフレキシブルコンテナ12の外面との間を、複数のアクチュエータ11でつなぐ。フレキシブルコンテナ12の中に、宇宙機4のペイロードスペース28を設けて、人間などの生命または物品などを収納する。
 【0116】
 宇宙機4に向かう放射線2のフラックスが全方位において等しい等方性を持つ場合は、アクチュエータ11を駆動して、宇宙機4の内面とフレキシブルコンテナ12の外面との間隔を均等にして、放射線遮へい物質3を、ペイロードスペース28内の人間などの生命または物品などの周囲に均等に配置して、これらの人間などの生命または物品などの宇宙放射線による被ばく線量を最小化する(図11a)。
 【0117】
 太陽フレアの発生またはその他の原因などにより、宇宙機4に向かう放射線2のフラックスが特定の方位において増加する場合は、アクチュエータ11を駆動して、該方位の宇宙機4の内面とフレキシブルコンテナ12の外面との間隔を大きくして、より多くの放射線遮へい物質3を配置して、増加した放射線2を遮へいして、ペイロードスペース28に到達する放射線2を減少させて、ペイロードスペース28内の人間などの生命または物品などの宇宙放射線による被ばく線量を減少させることにより、目的を達成する(図11b)。
 【0118】
 放射線2によって宇宙機4に運動量と角運動量が与えられた場合は、宇宙機4の姿勢・軌道制御装置(図示せず)を駆動して、これらの運動量と角運動量の一部または全部を打ち消して、宇宙機4の軌道と姿勢を制御する。
 【0119】
 特定の方位における放射線2の増加がおさまった後は、アクチュエータ11を駆動して、宇宙機4の内面とフレキシブルコンテナ12の外面との間隔を均等にして、放射線遮へい物質3を、ペイロードスペース28内の人間などの生命または物品などの周囲に均等に配置して、これらの人間などの生命または物品などの宇宙放射線による被ばく線量を最小化する(図11a)。
【実施例9】
 【0120】
 図12は、本発明装置の1実施例の断面図であって、1~4と17と28は、図1~図11と同様である。アクチュエータ11はワイヤーロープとそれを巻き取るウインチとから構成される。

図12


 【0121】
 宇宙機4の内部に、宇宙機4よりも小さい構体17を設置する。宇宙機4と構体17の空隙に、放射線遮へい物質3を収納して、宇宙放射線シールド1とする。宇宙機4の内面と構体17の外面との間を、複数のアクチュエータ11でつなぐ。構体17の中に、宇宙機4のペイロードスペース28を設けて、人間などの生命または物品などを収納する。
 【0122】
 宇宙機4に向かう放射線2のフラックスが全方位において等しい等方性を持つ場合は、アクチュエータ11を駆動して、宇宙機4の内面と構体17の外面との間隔を均等にして、放射線遮へい物質3を、ペイロードスペース28内の人間などの生命または物品などの周囲に均等に配置して、これらの人間などの生命または物品などの宇宙放射線による被ばく線量を最小化する(図12a)。
 【0123】
 太陽フレアの発生またはその他の原因などにより、宇宙機4に向かう放射線2のフラックスが特定の方位において増加する場合は、アクチュエータ11を駆動して、該方位の宇宙機4の内面と構体17の外面との間隔を大きくして、より多くの放射線遮へい物質3を配置して、増加した放射線2を遮へいして、ペイロードスペース28に到達する放射線2を減少させて、ペイロードスペース28内の人間などの生命または物品などの宇宙放射線による被ばく線量を減少させることにより、目的を達成する(図12b)。
 【0124】
 放射線2によって宇宙機4に運動量と角運動量が与えられた場合は、宇宙機4の姿勢・軌道制御装置(図示せず)を駆動して、これらの運動量と角運動量の一部または全部を打ち消して、宇宙機4の軌道と姿勢を制御する。
 【0125】
 特定の方位における放射線2の増加がおさまった後は、アクチュエータ11を駆動して、宇宙機4の内面と構体17の外面との間隔を均等にして、放射線遮へい物質3を、ペイロードスペース28内の人間などの生命または物品などの周囲に均等に配置して、これらの人間などの生命または物品などの宇宙放射線による被ばく線量を最小化する(図12a)。
【実施例10】
 【0126】
 複数のフレキシブルコンテナによって宇宙機を包む。各フレキシブルコンテナに放射線遮へい物質を収納して、宇宙放射線シールドとする。互いに隣接するフレキシブルコンテナ間をポンプなどで連通して、収納した放射線遮へい物質を相互に移送可能とする。
 【0127】
 宇宙機に向かう放射線のフラックスが全方位において等しい等方性を持つ場合は、ポンプを駆動して、フレキシブルコンテナ内の放射線遮へい物質を、宇宙機の周囲に均等に配置して、宇宙機とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を最小化する。
 【0128】
 太陽フレアの発生またはその他の原因などにより、宇宙機に向かう放射線のフラックスが特定の方位において増加する場合は、ポンプを駆動して、該方位のフレキシブルコンテナ内の放射線遮へい物質を増加させて、増加した放射線を遮へいして、宇宙機に到達する放射線を減少させて、宇宙機とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させることにより、目的を達成する。
 【0129】
 放射線によって宇宙放射線シールドに運動量と角運動量が与えられた場合は、宇宙機の姿勢・軌道制御装置を駆動して、これらの運動量と角運動量の一部または全部を打ち消して、宇宙放射線シールドの軌道と姿勢を制御する。
 【0130】
 特定の方位における放射線の増加がおさまった後は、ポンプを駆動して、フレキシブルコンテナ内の放射線遮へい物質を、宇宙機の周囲に均等に配置して、宇宙機とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を最小化する。
【実施例11】
 【0131】
 図13は、本発明装置の1実施例の説明図であって、1~4と9と11~13と18は、図1~図12と同様である。

図13


 【0132】
 宇宙機4よりも大きい容積を持つフレキシブルコンテナ12によって宇宙機4を包む。フレキシブルコンテナ12と宇宙機4との空隙に、放射線遮へい物質3を収納して、宇宙放射線シールド1とする。フレキシブルコンテナ12の内面と宇宙機4の外面との間を、複数のアクチュエータ11でつなぐ。
 【0133】
 宇宙機4に向かう放射線2のフラックスが全方位において等しい等方性を持つ場合は、アクチュエータ11を駆動して、フレキシブルコンテナ12の内面と宇宙機4の外面との間隔を均等にして、放射線遮へい物質3を宇宙機4の周囲に均等に配置して、宇宙機4とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を最小化する(図13a)。
 【0134】
 太陽フレアの発生またはその他の原因などにより、宇宙機4に向かう放射線2のフラックスが特定の方位において増加する場合は、アクチュエータ11を駆動して、該方位のフレキシブルコンテナ12の内面と宇宙機4の外面との間隔を大きくして、より多くの放射線遮へい物質3を配置して、増加した放射線2を遮へいして、宇宙機4に到達する放射線2を減少させて、宇宙機4とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させることにより、目的を達成する(図13b)。
 【0135】
 放射線2によって宇宙放射線シールド1に運動量と角運動量が与えられた場合は、宇宙機4の姿勢・軌道制御装置(図示せず)を駆動して、これらの運動量と角運動量の一部または全部を打ち消して、宇宙放射線シールド1の軌道と姿勢を制御する。
 【0136】
 特定の方位における放射線2の増加がおさまった後は、アクチュエータ11を駆動して、フレキシブルコンテナ12の内面と宇宙機4の外面との間隔を均等にして、放射線遮へい物質3を宇宙機4の周囲に均等に配置して、宇宙機4とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を最小化する(図13a)。
【実施例12】
 【0137】
 図14は、本発明装置の1実施例の説明図であって、1と2と4と5と29は、図1~図13と同様である。

図14


 【0138】
 守るべき宇宙機4の投影面積よりも大きい投影面積を持つ宇宙放射線シールド1を、宇宙機4とのランデブー軌道に配置して(図14a)、宇宙放射線シールド1に取り付けた姿勢・軌道制御装置5を駆動して、宇宙放射線シールド1の軌道と姿勢を制御する。
 【0139】
 通常は、宇宙機4に向かう太陽放射線の進行方向に宇宙放射線シールド1を位置させて、太陽放射線による宇宙放射線シールド1の投影面積が最大となる方向に宇宙放射線シールド1を回転させて、太陽放射線を遮へいして、宇宙機4に到達する太陽放射線を減少させて、宇宙機4とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させる。
 【0140】
 太陽フレアの発生またはその他の原因などにより、宇宙機4に向かう放射線2のフラックスが特定の方位において増加する場合は、姿勢・軌道制御装置5を駆動して、該方位に宇宙放射線シールド1を位置させて、該方位から宇宙機4に向かう放射線2による宇宙放射線シールド1の投影面積が最大となる方向に、宇宙放射線シールド1を回転させて、増加した放射線2を遮へいして、宇宙機4に到達する放射線2を減少させて、宇宙機4とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させることにより、目的を達成する(図14b)。
 【0141】
 放射線2によって宇宙放射線シールド1に運動量と角運動量が与えられた場合は、姿勢・軌道制御装置5を駆動して、姿勢・軌道制御装置の推力29を生じさせて、これらの運動量と角運動量の一部または全部を打ち消して、宇宙放射線シールド1の軌道と姿勢を制御する。
 【0142】
 特定の方位における放射線2の増加がおさまった後は、姿勢・軌道制御装置5を駆動して、宇宙機4に向かう太陽放射線の進行方向に宇宙放射線シールド1を位置させて、太陽放射線による宇宙放射線シールド1の投影面積が最大となる方向に宇宙放射線シールド1を回転させて、太陽放射線を遮へいして、宇宙機4に到達する太陽放射線を減少させて、宇宙機4とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させる。
【実施例13】
 【0143】
 図15は、本発明装置の1実施例の断面図であって、1と2と4と9と18は、図1~図14と同様である。

図15


 【0144】
 複数の宇宙放射線シールド1を、宇宙機4とのランデブー軌道に配置して、各宇宙放射線シールド1に取り付けた姿勢・軌道制御装置(図示せず)を駆動して、各宇宙放射線シールド1の軌道と姿勢を制御して、宇宙機4近傍の宇宙空間に配置する。
 【0145】
 宇宙機4に向かう放射線2のフラックスが全方位において等しい等方性を持つ場合は、姿勢・軌道制御装置を駆動して、各宇宙放射線シールド1を宇宙機4の周囲に均等に配置して、宇宙機4とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を最小化する(図15a)。
 【0146】
 太陽フレアの発生またはその他の原因などにより、宇宙機4に向かう放射線2のフラックスが特定の方位において増加する場合は、姿勢・軌道制御装置を駆動して、いくつかの宇宙放射線シールド1を移動させて、より多くの宇宙放射線シールド1を、該方位に重ねて配置して、増加した放射線2を遮へいして、宇宙機4に到達する放射線2を減少させて、宇宙機4とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させることにより、目的を達成する(図15b)。
 【0147】
 放射線2によって各宇宙放射線シールド1に運動量と角運動量が与えられた場合は、姿勢・軌道制御装置を駆動して、これらの運動量と角運動量の一部または全部を打ち消して、各宇宙放射線シールド1の軌道と姿勢を制御する。
 【0148】
 特定の方位における放射線2の増加がおさまった後は、姿勢・軌道制御装置を駆動して、各宇宙放射線シールド1を宇宙機4の周囲に均等に配置して、宇宙機4とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を最小化する(図15a)。
【実施例14】
 【0149】
 図16は、本発明装置の1実施例の説明図であって、5は図1~図15と同様である。また、宇宙放射線シールド1は柔軟性を持つ構造を備える宇宙放射線シールド、構体17は弾性を持つ環状の構体である。また、ペイロードスペース28はロケットまたはマスドライバーまたは宇宙エレベータなどのローンチシステムのペイロードスペースである。

図16


 【0150】
 弾性を持つ環状の構体17に展張して取り付けられた柔軟性を持つ構造を備える宇宙放射線シールド1において、守るべき宇宙機の投影面積よりも大きい投影面積を持つ宇宙放射線シールド1の構体17に、ねじり変形を加えて(図16b)、直径の小さいばね形状にして、宇宙放射線シールド1を折り畳んで、ローンチシステムのペイロードスペース28に搭載する(図16c)。
 【0151】
 宇宙放射線シールド1をローンチシステムによって宇宙空間に打ち上げて、宇宙機とのランデブー軌道に配置して、ばね形状の構体17を、ねじり変形によって構体17に蓄積された弾性力により元の環状に復元して、宇宙放射線シールド1を展開させる(図16a)。
 【0152】
 宇宙放射線シールド1に取り付けた姿勢・軌道制御装置5を駆動して、宇宙放射線シールド1の軌道と姿勢を制御する。
 【0153】
 通常は、宇宙機に向かう太陽放射線の進行方向に宇宙放射線シールド1を位置させて、太陽放射線による宇宙放射線シールド1の投影面積が最大となる方向に宇宙放射線シールド1を回転させて、太陽放射線を遮へいして、宇宙機に到達する太陽放射線を減少させて、宇宙機とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させる。
 【0154】
 太陽フレアの発生またはその他の原因などにより、宇宙機に向かう放射線のフラックスが特定の方位において増加する場合は、姿勢・軌道制御装置5を駆動して、該方位に宇宙放射線シールド1を位置させて、該方位から宇宙機に向かう放射線による宇宙放射線シールド1の投影面積が最大となる方向に、宇宙放射線シールド1を回転させて、増加した放射線を遮へいして、宇宙機に到達する放射線を減少させて、宇宙機とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させることにより、目的を達成する。
 【0155】
 放射線によって宇宙放射線シールド1に運動量と角運動量が与えられた場合は、姿勢・軌道制御装置5を駆動して、これらの運動量と角運動量の一部または全部を打ち消して、宇宙放射線シールド1の軌道と姿勢を制御する。
 【0156】
 特定の方位における放射線の増加がおさまった後は、姿勢・軌道制御装置5を駆動して、宇宙機に向かう太陽放射線の進行方向に宇宙放射線シールド1を位置させて、太陽放射線による宇宙放射線シールド1の投影面積が最大となる方向に宇宙放射線シールド1を回転させて、太陽放射線を遮へいして、宇宙機に到達する太陽放射線を減少させて、宇宙機とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させる。
【実施例15】
 【0157】
 図17は、本発明装置の1実施例の説明図であって、2と4は、図1~図16と同様である。また、14は気嚢、15は気体、16は気体発生装置である。宇宙放射線シールド1は、放射線遮へい物質を備える気嚢14に、気体15を充填したものである。

図17


 【0158】
 気体発生装置16に取り付けられた柔軟性を持つ構造を備える気嚢14からなる宇宙放射線シールド1において、その膨張時の投影面積が、守るべき宇宙機4の投影面積よりも大きい宇宙放射線シールド1の気嚢14を折り畳んで、気体発生装置16とともに守るべき宇宙機4の外面に取り付けて、ローンチシステムに搭載する。
 【0159】
 宇宙機4と宇宙放射線シールド1と気体発生装置16とをローンチシステムによって宇宙空間に打ち上げる。
 【0160】
 通常は、宇宙機4に宇宙放射線シールド1と気体発生装置16とを取り付けた状態を維持する(図17a)。
 【0161】
 太陽フレアの発生またはその他の原因などにより、宇宙機4に向かう放射線2のフラックスが特定の方位において増加する場合は、宇宙機4から気体発生装置16に作動信号を送り、気体発生装置16から気体15を発生させて、気嚢14を膨張させて、宇宙放射線シールド1とする。
 【0162】
 宇宙機4の姿勢・軌道制御装置(図示せず)を駆動して、該方位に宇宙放射線シールド1を位置させて、該方位から宇宙機4に向かう放射線2による宇宙放射線シールド1の投影面積が最大となる方向に、宇宙放射線シールド1を回転させて、増加した放射線2を遮へいして、宇宙機4に到達する放射線2を減少させて、宇宙機4とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させることにより、目的を達成する(図17b)。
 【0163】
放射線2によって宇宙放射線シールド1に運動量と角運動量が与えられた場合は、姿勢・軌道制御装置を駆動して、これらの運動量と角運動量の一部または全部を打ち消して、宇宙放射線シールド1の軌道と姿勢を制御する。
 【0164】
 特定の方位における放射線2の増加がおさまった後は、宇宙機4から気嚢14に作動信号を送り、気嚢14から気体15を排気して、通常の状態に戻す(図17a)。
【実施例16】
 【0165】
 図18は、本発明装置の1実施例の説明図であって、1と2と4と5と14~16は、図1~図17と同様である。

図18


 【0166】
 気体発生装置16に取り付けられた柔軟性を持つ構造を備える気嚢14からなる宇宙放射線シールド1において、その膨張時の投影面積が、守るべき宇宙機4の投影面積よりも大きい宇宙放射線シールド1の気嚢14を折り畳んで、気体発生装置16と守るべき宇宙機4とともに、ローンチシステムに搭載する。
 【0167】
 宇宙機4と宇宙放射線シールド1と気体発生装置16とをローンチシステムによって宇宙空間に打ち上げる。
 【0168】
 宇宙機4のランデブー軌道に宇宙放射線シールド1と気体発生装置16とを配置して(図18a)、宇宙機4から気体発生装置16に作動信号を送り、気体発生装置16から気体15を発生させて、気嚢14を膨張させて、宇宙放射線シールド1とする。
 【0169】
 宇宙放射線シールド1に取り付けた姿勢・軌道制御装置5を駆動して、宇宙放射線シールド1の軌道と姿勢を制御する。
 【0170】
 通常は、宇宙機4に向かう太陽放射線の進行方向に宇宙放射線シールド1を位置させて、太陽放射線による宇宙放射線シールド1の投影面積が最大となる方向に宇宙放射線シールド1を回転させて、太陽放射線を遮へいして、宇宙機4に到達する太陽放射線を減少させて、宇宙機4とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させる。
 【0171】
 太陽フレアの発生またはその他の原因などにより、宇宙機4に向かう放射線2のフラックスが特定の方位において増加する場合は、姿勢・軌道制御装置5を駆動して、該方位に宇宙放射線シールド1を位置させて、該方位から宇宙機4に向かう放射線2による宇宙放射線シールド1の投影面積が最大となる方向に、宇宙放射線シールド1を回転させて、増加した放射線2を遮へいして、宇宙機4に到達する放射線2を減少させて、宇宙機4とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させることにより、目的を達成する(図18b)。
 【0172】
 放射線2によって宇宙放射線シールド1に運動量と角運動量が与えられた場合は、姿勢・軌道制御装置5を駆動して、これらの運動量と角運動量の一部または全部を打ち消して、宇宙放射線シールド1の軌道と姿勢を制御する。
 【0173】
 特定の方位における放射線2の増加がおさまった後は、姿勢・軌道制御装置5を駆動して、宇宙機4に向かう太陽放射線の進行方向に宇宙放射線シールド1を位置させて、太陽放射線による宇宙放射線シールド1の投影面積が最大となる方向に宇宙放射線シールド1を回転させて、太陽放射線を遮へいして、宇宙機4に到達する太陽放射線を減少させて、宇宙機4とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させる。
 【0174】
 本発明の実施において、太陽電池の裏面に宇宙放射線シールドを取付ける方法は、ボルトとナットなどの固定具を用いてもよい。または、接着剤を用いてもよい。または、溶接を用いてもよい。
 【0175】
 本発明の実施において、フレキシブルコンテナまたは構体に収納される放射線遮へい物質は、液体などの流体でもよい。または固体の粉体でもよい。またはそれらの混合物でもよい。または水でもよい。またはポリエチレンでもよい。または水素でもよい。
 【0176】
 本発明の実施において、宇宙機は、人工衛星、宇宙船、宇宙ステーション、ローバ、宇宙コロニー、ロボット、ドローンなどでもよい。
【産業上の利用可能性】
 【0177】
 本発明のシールドは、宇宙放射線による被害を減らすことで、人類と地球の生命が宇宙環境に適応し、宇宙に生活の場を広げていく一助となる。
【符号の説明】
 【0178】
 1  宇宙放射線シールド
 2  放射線
 3  放射線遮へい物質
 4  宇宙機
 5  姿勢・軌道制御装置
 6  回転機構
 7  モータ
 8  回転台座
 9  太陽電池
 10  太陽電池付宇宙放射線シールド
 11  アクチュエータ
 12  フレキシブルコンテナ
 13  支柱
 14  気嚢
 15  気体
 16  気体発生装置
 17  構体
 18  太陽光
 19  マイクロ波
 20  アンテナ
 21  アンテナ付宇宙放射線シールド
 22  直流/交流コンバータ
 23  送電線
 24  太陽光発電衛星
 25  太陽光発電及び宇宙放射線シールド衛星
 26  支持枠
 27  折り畳み可能な太陽電池付宇宙放射線シールド
 28  ペイロードスペース
 29  姿勢・軌道制御装置の推力
【書類名】請求の範囲
【請求項1】
 姿勢・軌道制御装置(5)を備えることを特徴とする、宇宙放射線シールド(1)。
【請求項2】
 回転機構(6)を介して宇宙機(4)に回転可能に取り付けられたことを特徴とする、宇宙放射線シールド(1)。
【請求項3】
 フレキシブルコンテナ(12)に、放射線(2)を遮へいする性質を持つ放射線遮へい物質(3)を収納してなることを特徴とする、宇宙放射線シールド(1)。
【請求項4】
 放射線(2)を遮へいする性質を持つ放射線遮へい物質(3)を備える気嚢(14)に、気体(15)を封入してなることを特徴とする、宇宙放射線シールド(1)。
【請求項5】
 請求項1または請求項2または請求項3または請求項4に記載の宇宙放射線シールド(1)において、太陽電池(9)を備えており、かつ、太陽電池(9)の受光素子が無い裏面に面して位置することを特徴とする、宇宙放射線シールド(1)。
【請求項6】
 請求項1に記載の宇宙放射線シールド(1)において、姿勢・軌道制御装置(5)を駆動して、宇宙空間における姿勢または軌道を制御することを特徴とする、宇宙放射線シールド(1)の使用方法。
【請求項7】
 請求項6に記載の宇宙放射線シールド(1)の使用方法において、宇宙機(4)とのランデブー軌道に宇宙放射線シールド(1)を配置することを特徴とする、宇宙放射線シールド(1)の使用方法。
【請求項8】
 請求項7に記載の宇宙放射線シールド(1)の使用方法において、宇宙機(4)に向かって進む放射線(2)と宇宙機(4)との間に、宇宙放射線シールド(1)を放射線(2)の進行方向に対して垂直に配置して、放射線(2)による宇宙放射線シールド(1)の投影面積が最大となる角度に、宇宙放射線シールド(1)を回転させることを特徴とする、宇宙放射線シールド(1)の使用方法。
【請求項9】
 請求項5に記載の宇宙放射線シールド(1)において、太陽電池(9)を宇宙機(4)に面して位置させて、かつ、宇宙放射線シールド(1)を外側に位置させて、太陽電池(9)を備える宇宙放射線シールド(1)によって、宇宙機(4)と太陽電池(9)とを包むことを特徴とする、宇宙放射線シールド(1)の使用方法。
【請求項10】
 請求項5に記載の宇宙放射線シールド(1)において、宇宙機(4)に向かって進む放射線(2)と宇宙機(4)との間に、太陽電池(9)を備える宇宙放射線シールド(1)を位置させて、かつ、放射線(2)による宇宙放射線シールド(1)の投影範囲内に、宇宙機(4)と太陽電池(9)とが位置する角度に、太陽電池(9)を備える宇宙放射線シールド(1)を回転させることを特徴とする、宇宙放射線シールド(1)の使用方法。
【請求項11】
 請求項3に記載の宇宙放射線シールド(1)において、フレキシブルコンテナ(12)の形状を変化させて、宇宙放射線シールド(1)の放射線(2)を遮へいする効果を変化させることを特徴とする、宇宙放射線シールド(1)の使用方法。
【請求項12】
 請求項11に記載の宇宙放射線シールド(1)の使用方法において、フレキシブルコンテナ(12)に取付けたアクチュエータ(11)を用いてフレキシブルコンテナ(12)の形状を変化させて、宇宙放射線シールド(1)の放射線(2)を遮へいする効果を変化させることを特徴とする、宇宙放射線シールド(1)の使用方法。
【請求項13】
 請求項11に記載の宇宙放射線シールド(1)の使用方法において、複数のフレキシブルコンテナ(12)を連通して、複数のフレキシブルコンテナ(12)に収納した放射線(2)を遮へいする性質を持つ放射線遮へい物質(3)を、複数のフレキシブルコンテナ(12)間で移送して、複数のフレキシブルコンテナ(12)内の放射線遮へい物質(3)を増減させて、複数のフレキシブルコンテナ(12)の形状を変化させて、複数の宇宙放射線シールド(1)の放射線(2)を遮へいする効果を変化させることを特徴とする、宇宙放射線シールド(1)の使用方法。
【請求項14】
 請求項12または請求項13に記載の宇宙放射線シールド(1)において、宇宙機(4)に向かって進む放射線(2)の変化に対応して、フレキシブルコンテナ(12)の形状を変化させて、収納した放射線(2)を遮へいする性質を持つ放射線遮へい物質(3)を、宇宙機(4)に向かって進む放射線(2)が増加する方向に移動させて、該放射線(2)を遮へいする効果を向上させることを特徴とする、宇宙放射線シールド(1)の使用方法。
【請求項15】
 宇宙機(4)の重心から等距離に位置する、太陽電池(9)を備える互いに同質量かつ同形状の2つの宇宙放射線シールド(1)を、互いの逆方向に同時にモータ(7)によって同じ角速度でそれぞれ同角度回転させて、これらの回転力の重心のまわりのモーメントの和を0として、宇宙機(4)の回転を抑止して、宇宙機(4)の姿勢を維持することを特徴とする、宇宙放射線シールド(1)の使用方法。
【請求項16】
 電磁波または粒子を天体または宇宙機から宇宙放射線シールド(1)に照射して、宇宙放射線シールド(1)の軌道と姿勢を制御することを特徴とする、宇宙放射線シールド(1)の使用方法。
【書類名】要約書
 本発明の技術分野は、宇宙機防御用シールドに関する。
 解決する課題は、宇宙放射線を吸収または反射することにより宇宙放射線を遮へいする性質を持つ放射線遮へい物質(3)が有する、宇宙機(4)とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させる効果を、向上させる事である。
 解決手段は、宇宙放射線の変化に対応して、放射線遮へい物質(3)を備える宇宙放射線シールド(1)の宇宙放射線の進路上への配置を変化させて最適化する事である。
 本発明の主な用途は、宇宙機(4)とそれに搭乗する人間などの生命の宇宙放射線による被ばく線量を減少させる事である。

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