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カナダの小学校で茶道デモをした去年の今頃

カナダ在住、アラカンのwakeiです。今年でカナダ在住10年目、こちらでひっそり晴れて還暦を迎えることになりそうです。

さて、皆さんは去年の今ごろ何をしていましたか?コロナ下でも予定していたことが思い通りに進みましたか?

私はコロナで予定が大幅に狂いました。2020年の予定通りできた最後のことが、「カナダの小学校で茶道のデモンストレーション」でした。

茶道のデモンストレーションの依頼

前年の秋、小学校の教師をしている友人リズから、「小学校で茶道のデモンストレーションをしてもらえない?」と尋ねられました。

以前も彼女の依頼で彼女の小学校の高学年向けに、一度お茶のデモをやらせてもらいました。子どもたちもとても喜んでくれて、私もとても貴重な体験をさせてもらったいい記憶があります。なので、もちろん答えはYes!

私自身は茶道の先生ではありませんが、私の町にお茶の先生もいませんし、お茶道具を持っていて、お点前ができる人のは、私と流派の違う友人の2人だけなので、こんな話も回って来ます。

よくよく話を聞くと、私のまわりにも、日本で茶道を習っていた、やったことがある方は多いんですが、皆さん、忘れてしまってお点前はできないと言います。

お道具があり、着物を着て、初歩的な盆略点前であっても、茶道に触れる機会のない地方の町では喜ばれ、私のようなものでも役に立ちます。

友人の小学校の先生は裏千家の「みどり会」出身

ちょっとここで友人のリズについて話させてください。

彼女は30年前に日本に英語の教師として2年ほど京都に住んでいました。そのときに裏千家の外国人向けの茶道の研修会「みどり会」の週一回のお稽古に1年間通っていました。

彼女も他の方同様、お点前や茶道の決まりごとは、ほとんど忘れていますが、「茶道はステキだ」と思う気持ちは、ずっと持ち続けています。

リズから「"Peacefulness through a Bowl of Tea"(一椀から平和を)」はとても素晴らしい」と聞いたときはびっくりしました。

30年以上経っても、彼女なりに「みどり会」で学んだことをカナダで少しでも伝えたい、と思っているのです。

リズに「今日庵や家元の近くで無料で、お茶のお稽古ができたリズが羨ましい」というと、リズはとても誇らしげです。「大宗匠はとってもハンサムだった。」なんて話をリズと2人で楽しんでます。

みどり会」が蒔いた種は世界中でリズのように咲いているんでしょうね。

デモンストレーション当日

私がデモンストレーションをするのは全4コマ。全体で180名です。

お点前は略盆点前。

180人分の抹茶を一人ずつ点てるのは無理なので、生徒2人にモデルとしてお客になってもらい、2人にお茶を点てます。残りの生徒はその様子を見学し、ショットグラスのような使い捨てカップで全員が試飲するというやり方です。

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お茶仲間にも手伝ってもらい、どちらかがお点前をしている間に、もう一人が、全員分のお茶を準備します。

生徒に対して授業形式で茶道やお茶の頂き方を説明するのは、リズ。生徒から質問があった場合は、私とお茶仲間が答えるようにしました。

当日は、授業1時間半前に私は道具を持って学校に行ったんですが、リズは授業30分前になっても現れません。心配してる余裕もないので、一人で教室の準備をしました。後で聞いたら、事故で道路がストップしてたそうです。私だけでも予定より早めに行っていて本当によかったです。


なんとか準備もできて、授業が始まると、生徒たちがし~んとして集中してデモを見ています。これには、同席した先生たちもびっくり!カナダでも小学生が授業に集中しにくいのはいっしょですから。

抹茶を飲めないという生徒も少数で、ほぼ飲んでもらえました。質問コーナーでは、積極的に手を上げてくれるのも嬉しかったです。

お昼過ぎに最後のクラスも終わり、後片付けをしていると、ホッとしたのと同時に反省点も出てきますが、こうしてカナダでお茶を喜んでもらえる嬉しさがこみ上げてきます。

お茶と着物が私のカナダ生活を楽しくしてくれた1日でした。

自分ができることを活かす

この小学校でのデモンストレーションで私は以下のことを感じました。

・自分ができることの中に、人を喜ばせることがあるかもしれません。

・人が喜ぶことは、自分のことも喜ばすことができます。

・自分ができることが広がると、人を喜ばせることも増えます。

・自分一人ではできないことも、他人と協力すればできます。

リズはお点前はできないけど、英語でお茶の話を熱く語ることができます。私は英語で流暢に説明することはできないけど、簡単なお点前ならできます。

まさか私が、カナダの小学校で私がお点前をするなんて、思ってもいませんでしたし、海外で自分のできることで人に喜んでもらえるとも思ってませんでした。

そんな貴重な体験をさせてもらった去年の今頃でした。





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