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真っ暗な峠道を先導された不思議なドライブ

私の暮らすバンクーバー島にはサーファーのメッカとも言われるトフィーノという人口2000人程度の町があります。

トフィーノには、ユネスコの生物圏保護区にも指定されている「パシフィック・リム国立公園(Pacific Rim National Park)」があり、太平洋に臨む16㎞にも続く美しい砂浜をはじめ、カナダのウエストコーストの気分を求めて世界中からこの田舎町に観光客がやってきます。

私もこの11年間で数回トフィーノに遊びに行きました。

夏は観光客で宿泊代も爆上がりする人気のトフィーノですが、アクセスは飛行機か車しかありません。

ほとんどが車で向かいますが、このトフィーノに行くのも帰るのも山を抜ける1本道しかありません。
通常本土バンクーバーから来る観光客は、ナナイモまでフェリーで行ってナナイモからトフィーノまで車で約200㎞のドライブになります。

バンクーバーとバンクーバー島の間はフェリーで移動がポピュラー
島の南のビクトリアがブリティッシュコロンビア州の州都。バンクーバーじゃないですよ。

トフィーノからの1本道は1時間以上走らないと途中にガソリンスタンドやコンビニもなく、一部区間は整備も道幅も十分でない上に山道でクネクネしています。

追越し車線のない片側一車線の道は運転初心者には気の重い道のりです。

そんなワイルドで不便なところも魅力でもあるんですが、近年では観光に本気になったのか、そこらじゅうで道路の整備が進んでいます。

今回のトフィーノ行きでも道が拡張されていたり,ガードレールがついたり、舗装されたり、走りやすくなっていました。

そして今回は夕陽が沈むのを待ってトフィーノを出たせいで完全に夜の運転となってしまいました。

夜のドライブは覚悟していたものの、まさかこんなに走っている車が少ないとは? 町を出たときはいっしょだった前方の車もガンガン飛ばして視界からいつの間にか暗闇に消えてしまいました。

そんな一本道を恐々運転していたら、切り崩した岩肌が剥き出しになった巨大な壁が急に強烈なライトで映し出されました。

ここは現在進行中の工事区間で、昼間は一車線ずつの走行になり、ストップ待ちの車の列が続いていた場所です。

ですが夜は、人もいなけりゃ街灯も反射板もなく、曲がりくねった峠道の先は暗闇に吸い込まれています。脇道に停まっている無音の重機類が不気味です。

恐る恐るゆっくりと近づいていくと、全く人の気配のない工事現場にチカチカと点滅している標識のようなトラックが停まっていました。
そして私たちが近づくとゆっくりと動き出しました。

あっ、誰かいるんだ。
しかも真っ暗な道を先導してくれる・・・・?のかな?

なんだか摩訶不思議なドライブ。

そんなに早く走らないでね。見失いそうだから。

真っ暗な山奥ですっかり怯えて泣きたいときに、森の妖精が突然現れて、何も言わずに道案内してくれて出口まで連れて行ってくれた。

みたいな感じ、と同じだよね。

イェイ、なんか怖いけど嬉しくなってきたぞ!

と言うわけで一体いつまで続くのかと思ったけど、無事出口に到着しました。トラックは最後まで無音で見送ってくれたけど、本当に人が乗ってたんだよね。

あんなやさしいお化けだったら大歓迎だけど、あのトラックで一晩中一人で運転する仕事こそ大変な仕事じゃない? 不気味すぎる。

でもカナダ人はアウトドアでキャンプ好きだから、なんともないかな。

なんて考えながら、出口を出ても結局真っ暗。
他の車がいないのも変わらないけど、少なくとも舗装された道で反射鏡も中央線もあって、いつもの夜の田舎の真っ暗な一本道。

深海でライトを照らしながら進むような真っ暗な夜のドライブ。

やっぱり不気味だ。一人じゃ絶対無理。

皆さんはどうですか?夜の運転好きですか?
誰もいない夜の道をスピードをガンガン出す方ですか?

私は追い越され車線で無理せず走りますので、煽らないでどんどん追い越してくださいね。


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